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阿部技術士・労働安全コンサルタント事務所は、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。

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〒771-1330 徳島県板野郡上板町西分字橋北16番地2

消費生活問題メモ11Consumer information

11)偽装あれこれ

 2014年5月11日、マスコミ各紙は「はびこる値引き偽装」を報じていました。徳島新聞によると、「高額に設定した架空の通常価格やメーカー希望小売価格と比較し、大幅に値引きしたように偽装したとして、消費者庁が「景品表示法に違反する恐れがある」と業者に改善を指導した事例が、2012年11月〜2013年11月に86件あったことが10日、同庁への情報公開請求で分かった」とのことでした。

図1.主な改善指導事例
(2012年11月〜2013年11月)   
(出典:2014年5月11日,徳島新聞(1)総合)


 偽装の歴史は古いようです。現代においても、偽装や偽造、捏造に改ざんなど悪意をもって他人をだます事件が跡を絶ちません。

 広辞苑によると、
 「
偽装」とは、「ほかの物とよく似た色や形にして人目をあざむくこと。また、そのもの。特に戦場などで敵の攻撃を避けるために用いる。「−倒産」」となっています。
 「
偽造」とは、「ほんものに類似のものをつくること。偽物をつくること。「−の一万円札」「旅券をーする」」となっています。
 「
改ざん」とは、「字句などを改めなおすこと。多く不当に改める場合に用いられる。「小切手のー」」となっています。
 「
捏造」とは、 「事実でないことを事実のようにこしらえて言うこと。「証拠をーする」「−記事」」 となっています。
 
 「偽装」をするために、偽造や改ざん、捏造が行われています。嘘をついたり、隠したりするために繰り返される辻褄合わせは必ず破たんします。ここでは、思い出すまま、ニュースをいくつか紹介します。


1)
耐震偽装 
  2005年11月、千葉県の元一級建築士が、地震などに対する安全性の計算を記した構造計算書を偽造。
2)
産地偽装
  牛肉、鶏肉、米、茶葉、うなぎ、ふぐ、海ブドウ、ワカメなどの生産地を偽って表示し、消費者や中間業者を欺こ
  うとする行為。
3)
期限表示偽装
  食品の製造日、賞味期限、消費期限などの表示を改ざんする行為。本来なら日持ちする範囲だからと期限を再設定
  し販売する場合など。
4)
危険情報隠蔽
  リコールに相当するような危険情報を隠蔽する行為(リコール隠し)。
5)
JR北海道によるレール幅の改ざん
  JR北海道は2013年12月12日、「函館線大沼駅構内で9月に発生した貨物列車の脱線事故で、現場のレール幅の検
  査データが事故発生2時間後に改ざんされていた」と発表しました。
  実際のレール幅39mmを社員が25mmと改ざんし、補修を要する整備基準値の社内規定(19mm)の2倍を超えて
  いたのですが、事故までの3カ月間、レールは補修されず、同社はこれが事故原因となった可能性を認めました。6)
論文データの不正操作
  高血圧治療薬(降圧剤)「バルサルタン(商品名ディオバン)」に関連する論文で、データの不正操作が見つかっ
  た問題です。厚生労働省は2013年8月、検討委員会を立ち上げ、調査に乗り出しましたが、この問題は、臨床研究
  そのものの信頼を揺らがす事態になりかねません。
7)
大阪地検特捜部主任検事による証拠品FD(フロッピィディスク)のデータ改ざん
  2009年7月、郵便割引制度が悪用された「郵便不正事件」に、村木厚子氏(当時、厚生労働省局長)が関与したと
  する捜査担当の主任検事が描いた筋書きに合わせるため、証拠品であるFD(フロッピィディスク)のデータを改ざん
  したものです。朝日新聞の報道(2010年9月21日)により、被告人のひとりが作成したとされる障害者団体証明 
  書に関し、重要な証拠が改ざんされた疑いがあることが表面化しました。
8)
「発掘!あるある大事典II」で採り上げた納豆のダイエット効果に関するデータ等の捏造
  2007年1月、納豆にダイエット効果があると証言していた米国の大学教授のコメントや実験データなどが捏造であ
  ったことが判明し、番組は打ち切りとなりました。
  そして、NHKと民放連はBPO(Broadcasting Ethics & Program Improvement Organization:放送倫理・番組向
  上機構)の中に、強い権限を持つ「放送倫理検証委員会」を新たに設けました。
9)
東京電力・原子力発電所トラブル記録改ざん
  東京電力・原子力発電所のトラブル記録が意図的に改ざん、隠蔽されていたことが、2002年に発覚しました。点
  検作業を行ったアメリカ人技術者の内部告発により表面化したものですが、当初、東京電力は「記憶にも記録にも
  ない」と非協力的であったため調査は難航した模様です。
10)
旧石器捏造
  考古学研究者の藤村新一が発掘し、日本の前期・中期旧石器時代の遺物や遺跡だとされていた多くのものが、捏造
  であったことが、2000年11月に発覚しました。日本の旧石器研究の未熟さが露呈された事件といわれています。
11)
朝日新聞珊瑚記事捏造
  1989年、沖縄県西表島のア山湾、海中の珊瑚に傷「KY」をつけた朝日新聞社のカメラマンが、その写真をもと
  に新聞記事を捏造し、虚偽報道したものです。

 このように、改ざんや捏造が跡を絶たないのは何故なのでしょうか。最近、国土交通省のホームページにはJR北海道に関する報道発表資料や大臣の定例会見などが数多く掲載されています。JR北海道のずさんな報告にはあきれるばかりですが、 いったいどうなっているのでしょうか。嘘をつかない、隠さない、辻褄合わせをしないという基本的な姿勢をとることが何故できないのでしょうか。
 ところで、今、発生している多くの改ざんや捏造の根本原因は個人又は組織の何れにあるのでしょうか。組織の一員として行動する際、個人の持つ道徳観や倫理観に変化が生じているのでしょうか。大きな事故やトラブルが発生したときに組織される原因の調査や検証チームの中に心理学の専門家はいるのでしょうか。今までと同じような対応ではいつになっても再発の防止はできないと思います。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。
                                               (2014.5.17)
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