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安全情報メモ39Safety information

39)玉掛け作業(力学の知識)

 安全な玉掛け作業をするためには玉掛け用具を使用する各種のクレーン等に関する知識の習得が不可欠となります。 
 同時に、クレーン等の玉掛けには、力学の知識が必要です。玉掛け作業において、理論的に正しい判断をするためには力学の知識は欠かせないものです。玉掛け作業者は、最善の玉掛けができるよう、力学の知識を深め、玉掛けに起因する災害の未然防止に努めなければなりません。
 ここでは、玉掛けに必要な力学について紹介します。

T.用語と単位
 質量、力、重量、荷重等は玉掛け作業に限らずよく見かける用語ですが、その意味と単位(SI単位)を正しく理解して、用いなければなりません。
1)質量
 質量とは重力の影響を除いた物体そのものの量のことです。従って、物体がどこにあっても質量は変化せず、同じ値を示します。質量の単位は「kg」であり、「国際キログラム原器の質量」と定義されています。現在、物理量の内、このように人工物に基いて定義されている値は質量だけで、その他の物理量は普遍的な値となっています。国際キログラム原器はプラチナ(白金)90%、イリジウム10%からなる合金製の円柱で、直径と高さは、何れも約39oです。フランスの国際度量衡局に、三重の気密容器で保管されています。

(参考:物理学概説(多田政忠編))
「二つの物体の質量の比は、同じ大きさの力がこれらの物体に作用したときに、各々が得る加速度の比の逆数である。」
 例えば、滑らかな水平な机の上で、一つの端を固定したバネを一定の長さに伸ばし、他の端に物体Aを取り付けて放した瞬間、物体はバネの縮む方向に加速度を得るが、その加速度の大きさを適当な方法で測って
Aの値を得たとする。次に、全く同じ状態にある物体Oを放して、加速度Oを得たとする。このとき、
  
A/O=O/A  ーーーーーー(1)
によって、質量の比
A/Oを定義するのである。
ここで、ある定まった物体Oを基準にとり、その質量を単位質量O=1と選べば、Aの質量はO/Aとなる。

2)重量
 重量とは質量をもつ物体に重力がはたらくことにより生じる値です。例えば、1kgの重量と言えば1kgの質量に重力がはたらいた時の力のことです。重量の単位には「N」を用います。N(ニュートン)は力の単位で、1kgの質量の物体に1m/s の加速度を生じさせる力と定義されています。従って、地球上では質量1kgの物体は9.8m/s の重力の加速度を受けるので、質量1kgの物体の重量は「9.8kg・m/s =9.8N」となります。

3)力
 「力」とは、例えば、静止している物体を動かす、動いている物体の速度を変える、物体を変形させようとする作用において生ずるものです。しかし、力学における「力」という概念は曖昧なものといわれています。
 古典力学では、「力」という概念が導入されるのと同時に、このときの加速度と力の比例定数として質量いう概念が導入されています。以下の(参考:物理学概説(多田政忠編))をご覧ください。
 なお、力の単位には「N」が用いられます。重量との関係は前項2)のとおりです。

(参考:物理学概説(多田政忠編))
一つの物体をバネにつけて、バネの伸びを二様に変えてみる。すなわち、二様の力を加えると、物体は異なった加速度を得るが、この際、「二つの力の比は、同じ物体に与える加速度の大きさの比である」と定義する。
 すなわち、物体A(質量A)に対して、それぞれ加速度A、
a’A を与えたとすれば、
二つの力の比F’
  
F’A/a’A −−−−−−(2) と定義される。
また、力 F’ が他の物体O(質量O)に対して、加速度O、a’Oを与えたとすれば、(1)によって、
 mA/O=O/A、A/O=a’O/a’
ゆえに、
O/a’A/a’
従って、加速度の比は物体によって変化しない。これによって、上の力の大きさの定義は物理的な意味をもつ。
いま、
  F’
a’O          ーーーーー(3)
を、
  FA=F’a’F’a’ ーーーーー(4)
とかくと、
は物体及び力に無関係な定数となる。従って、一般に
          F=kma                 ーーーーーーーーーー(5)  
とかける。即ち、「力の大きさは、その力の作用する物体の質量とその物体が得る加速度の大きさとの積に比例する。」
特に、単位質量の大きさの加速度を与える力の大きさを単位にとれば、比例定数kは1となり、(5)は
              
F=ma                  −−−−−−−−−−(6)
以上のことをとりまとめ、かつ、力と加速度との方向も述べているのが、運動の第2法則である。

(注意:力と圧力)
 力と圧力は異なるものです。
 力は質量を有する物体に、ある加速度を与えた結果として生ずるベクトル量のことです。物体は外部から力を受けると内部に相対的な変位を生じ、形や大きさが変化します。圧力とは、この力を接触する境界面の面積で割った物理量です。力=圧力×面積で求められます。
 なお、境界面を通じて作用する力を面力といい、力の向きによって、張力、引張応力、圧力、圧縮応力などと呼ばれています。

4)荷重
 荷重とは物体に作用する外部からの力のことです。荷重には、作用の仕方により引張荷重や圧縮荷重、衝撃荷重等があります。荷重の単位は力の単位と同じ「N」を用います。また、クレーン等ではつり上げ荷重や定格荷重と表記していても「質量」の意味で用いていることがあるので注意が必要です。荷重と表示していながら、単位を「kg」としている場合は「質量」の意味で用いられていると思われます。

U.力学の知識
 玉掛け作業における力学に関する事項として、例えば、日本クレーン協会の技能講習用テキストには、次のような項目が記載されています。
1)力の三要素、作用と反作用、
2)力の合成及び分解、
3)力のモーメント、
4)力の釣り合い、
5)質量及び重心、
6)運動、速さ、速度、加速度、慣性、遠心力及び求心力、摩擦力、
7)滑車装置、
8)荷重及び応力、
9)ワイヤロープ・チェイン等の玉掛け用具の強さ、などの記載があります。
 また、クレーン協会のホームページ(URL http://www.cranenet.or.jp/)にもクレーン等の知識について図解を交えて詳細に記載されています。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。 (2013.11.11)
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