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阿部技術士・労働安全コンサルタント事務所は、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。

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安全情報メモ42Safety information

42)労働災害(一酸化炭素中毒)

 厚生労働省の基安化発0722第2号 別紙1によると「一酸化炭素による休業4日以上の中毒災害件数(推定を含む)」は次表のようになっています。

年度       2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 
中毒災害     40  35   58   35   47   69  37   36   31   36  
内、死亡災害    5    1   5   3   7   3   2   6   3   4

 
(参考)
  一酸化炭素は炭素化合物が不完全燃焼する際に発生します。一酸化炭素は無色・無臭で気が付きにくい気体ですが、
  吸入すると血液中のヘモグロビンと結合し、血液の酸素運搬能力が下がるため中毒症状が現われます。
  中毒症状の程度については、新しい時代の安全管理のすべて(大関親(2005))に次のように記述されていいます。
  中毒症状の程度は、一酸化炭素濃度(ppm)とばく露時間(hr)の積(中毒指数)で表される。
           中毒指数が300以下 作用なし
                600以下 多少の作用(異常感)
                900以下 頭痛、吐き気が起こる
               1,000以上 生命危険となる


 このような状況を受け、平成23年7月22日、厚生労働省は労働基準局安全衛生部 化学物質対策課長名で都道府県労働局 労働基準部長宛てに基安化発0722第2号(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/html/tsuchi/item_search.htmlにて検索可)を発出しました。
 
 以下は、基安化発0722第2号の冒頭及び別添1の周知徹底に関する事項を抜粋したものです。

 現在、我が国の化学物質による中毒の労働災害の発生状況をみると、一酸化炭素(以下「CO」という。) によるものが1〜2割を占め、休業4日以上の被災労働者数は毎年30名以上で推移するなど、減少の傾向が みられないところである。ー以下略ー

 そして、[別添1]「一酸化炭素による労働災害の防止について(要請)」では以下の事項について周知徹底が要請されています。
1 基本的事項 CO中毒を防止するための基本的な共通事項は以下のとおり。
(1) 労働衛生管理体制 作業責任者の選任、作業手順書の作成と遵守
(2) 作業管理 作業開始前の燃焼装置等の点検、作業中の換気、CO警報センサーの携帯、呼吸用保護具の使用、異常時の措置
(3) 作業環境管理 濃度測定の実施、換気装置の性能確保
(4) 健康管理 健康診断又は健康測定の実施
(5) 労働衛生教育 雇入れ時及び作業内容変更時等あらゆる機会を活用した計画的かつ継続的な教育の実施
2 CO中毒の事例が見られる主な業種・作業における具体的な措置事項
(1) 建設工事業、設備工事業等
ア COが発生するおそれのある内燃機関を使用する作業及び練炭の使用に係る作業等を行う場合、CO中毒予防に関する知識を有する者の中から作業責任者を選任し(下請け事業者を含む。)、CO中毒予防のため必要な対応を行わせること。 イ 作業責任者は、作業手順書を作成し、これに基づき業務に従事する労働者を指揮すること。
ウ 自然換気の不十分なところでは内燃機関、練炭等を使用しないようにし、やむを得ず使用する場合には、以下の事項を徹底すること。
(ア) 作業を始める(再開するときを含む。)場合には、CO濃度等を測定し、必要な場合は換気を行うこと。
(イ) 作業者の数に応じ、有効な呼吸用保護具を備え付けること。
(ウ) 作業中は十分な換気能力を有する換気装置を設置し、有効に稼働させること。
(エ) 労働者が作業を行っている間、継続的に、CO濃度を測定すること。
(オ) 換気が十分に行われていることが確認されている場合を除き、有効な呼吸用保護具を適正に着用させること。
エ 労働者に対して、以下の事項を実施すること。
(ア) 雇入れ時の健康診断及び定期健康診断を実施すること。
(イ) 健康診断結果に基づき、適切な健康診断実施後の措置を講ずること。
オ 労働者に対し、教育等により以下の点について周知すること。
(ア) CO中毒の発生の状況、CO中毒の症状及びCO中毒防止の重要性
(イ) 換気設備の使用方法、警報装置の使用方法及び呼吸用保護具等の使用方法
(ウ) 緊急時の対応(避難訓練を含む)
カ 「建設業における一酸化炭素中毒予防のためのガイドライン」(平成10年6月1日付基発第329号の2)を適宜参照すること。
(2) 食料品製造業、ホテル旅館業、一般飲食店等
ア CO中毒防止に係る作業責任者を指名し、ガス燃焼機器使用中の換気設備の稼働、ガスの燃焼状況及び換気設備についての定期点検の確認等の職務を行わせること。
イ ガス燃焼機器使用に当たっての換気設備の作動手順、ガスの燃焼状況及び換気設備についての定期点検、業務用厨房不完全燃焼警報センサー作動時の対応等を記載したマニュアルを作成・整備し、関係労働者への周知と遵守の徹底を図ること。
ウ 厨房等で燃焼機器等の火を使用している場所における作業を行う場合に、以下の事項を徹底すること。
(ア) 十分な換気能力を有する換気装置を設置し、有効に稼働させること。
(イ) 業務用厨房不完全燃焼警報センサーを設置し、有効に稼働させ、作動した場合には適切な対応をとること。
(ウ) 作業を行うに当たり、換気装置が有効に稼働していること、排気口につまりがないこと。 等の確認を徹底すること。
エ ガスの燃焼状況、換気設備の稼働状況及び給排気口の異物等の有無等についての定期点検及び必要な補修を実施すること。
オ 労働者に対して、以下の事項を実施すること。
(ア) 雇入れ時の健康診断及び定期健康診断を実施すること。
(イ) 健康診断結果に基づき、適切な健康診断実施後の措置を講ずること。
カ CO中毒予防のための労働者に対する教育等により以下の点について関係労働者に周知すること。
(ア) CO中毒の発生の状況、CO中毒の症状及びCO中毒防止の重要性
(イ) CO中毒防止の予防措置(換気設備の作動手順、ガスの燃焼状況及び換気設備の定期点検、業務用厨房不完全燃焼警報センサー作動時の対応等)に関する具体的な事項
(ウ) 燃焼機器等、火を使用する場合における換気等の必要な対策
キ 「業務用厨房における一酸化炭素中毒による労働災害防止について」(平21年12月4日付け 基安化発1204第2号ほか)を適宜参照すること。
(3) 鉄鋼業
ア 作業を行う場合の責任者を明確にすること。COを取り扱う作業において作業主任者及び作業責任者を選任すること。また、特定化学設備の改造、修理及び清掃等に当たっては、重ねて作業指揮者を選任すること。
イ COを含むガスが存在するおそれのある場所での作業については、作業基準書、施工要領書等で安全な作業手順を定め、徹0000000底すること。
ウ COにばく露するおそれのある作業を行うに当たっては、以下によること。
(ア) CO関連設備内で設備の改善等の作業を行う場合は、特定化学物質障害予防規則第22条に基づきガスを完全に遮断した上で内部のガスを完全に置換した上で行うこと。 なお、上記作業を行うに当たって、設備の構造上やむを得ずガスを完全に遮断できない場合は、原則として送気マスクを用いるか、有効な呼吸用保護具(防毒マスクの破過時間を十分考慮したもの。)を用い、かつ、短時間作業に限定すること。
(イ) CO中毒のおそれがある場所に立ち入るときは有効な呼吸用保護具を着用させること。
(ウ) 施設内の巡視や故障時のメンテナンスにより、特に管理区域(CO濃度の高い場所として事業場で独自に指定しているような場所)に立ち入る時は従事する労働者の全員に対して、CO警報センサー(50ppm以下に設定する)を携帯させること。
(エ) COの漏洩のおそれのある場所には固定式のCO警報センサーを設置すること。
(オ) CO警報センサーに衝撃を与えた場合はその直後に、また、湿気の多い場所で使用している場合は定期的に、その有効性の確認を行うこと。
エ 水封式安全器、シールポット等の有効性検査など、設備を適切な状態に保つために定期的に検査を行うとともに、設備の改修等の際には必要に応じその有効性について改めて確認を行うこと。
オ 労働者に対して、以下の事項を実施すること。
(ア) 雇入れ時の健康診断及び定期健康診断を実施すること。
(イ) 健康診断結果に基づき、適切な健康診断実施後の措置を講ずること。
カ 作業基準書の作成、労働者に対する教育等により労働者に以下の点について周知すること。
(ア) CO中毒の発生の状況、CO中毒の症状及びCO中毒防止の重要性
(イ) CO警報センサーの使用、換気の実施及び濃度測定等の必要な対策
(ウ) COを含むガスが存在するおそれのある場所に必要なく近づかないこと。
(エ) CO中毒のおそれがある場所での作業は呼吸用保護具(送気マスク、防毒マスク等)を着用すること。
(オ) CO中毒の疑われる症状がみられたらただちに医師の診察を受けること。
キ 「鉄鋼業における化学物質管理マニュアルの送付について」(平成17年6月1日付け基安化発第0601001号)、「鉄鋼業における一酸化炭素中毒の防止にかかる点検の実施結果について」(平成18年4月18日付け基安化発第0418001号)を適宜参照すること。
(4) 溶接作業
ア 作業責任者を選任し、下請け事業者を含めCO中毒予防のため必要な対応を行わせること。
イ COを含むガスが存在するおそれのある場所 及びCOが発生するおそれのあるアーク溶接(マグ溶接、被覆アーク溶接)での作業について作業標準書の整備を行うこと。
ウ 通風が不十分な場所において、溶接(特にCOが発生するおそれのあるアーク溶接)を行う場合は、以下によること。 (ア) 十分な換気能力を有する換気装置を設置し、有効に稼働させること。
(イ) 呼吸用保護具の選定にあたっては、CO中毒防止を考慮し、送気マスク(エアラインマスク,ホースマスク等)の導入について検討すること。 なお,作業の特性などにより別の危険が想定され、送気マスクの使用が困難な場合、溶接作業者の背後に吸気口が付いている電動ファン付き呼吸用保護具は,吸入するCO濃度の低減が期待できることから,その導入について検討すること。この場合、他の溶接作業者による溶接の影響を受けるおそれを少なくするため、警報器は溶接作業者の背後に装着することが望ましい。
(ウ) 必要に応じ労働者に対してCO警報センサー(50ppm以下に設定する)を携帯させること。
エ 溶接器具又は溶接機器の稼働状況等についての定期点検及び必要な補修を実施すること。
オ 労働者に対して、以下の事項を実施すること。
(ア) 雇入れ時の健康診断及び定期健康診断を実施すること。
(イ) 健康診断結果に基づき、適切な健康診断実施後の措置を講ずること。
カ 労働者に対する特別教育の実施に当たり、以下の点について周知すること。
(ア) 溶接作業におけるCO中毒の発生状況及びCO中毒防止の重要性
(イ) 風通しの悪い場所で溶接を行う場合等における換気等の必要な対策
(ウ) 呼吸用保護具の適切な選定及び着用方法
(エ) CO警報センサー稼働時の対応
キ 「アーク溶接作業における一酸化炭素中毒の防止について」(平成16年9月21日付け基安化発第0921001号)を適宜参照すること。


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