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阿部技術士・労働安全コンサルタント事務所は、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。

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安全情報メモ43Safety information

43)労働災害(第三次産業)

 2013年4月から第12次労働災害防止計画が始まりました。「労働災害防止計画」とは、労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた中期計画(2013年2月25日策定、3月8日公示)のことです。2012年度のデータが入ったものが2013年12月2日に厚生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei21/)に掲載されました。
 重点施策として1 労働災害・業務上疾病発生状況の変化に合わせた対策の重点化、特に、労働災害件数を減少させるための重点業種対策として、次の二つが挙げられています。
 ・第三次産業(特に小売業、社会福祉施設、飲食店)対策
 ・陸上貨物運送事業対策


 
(参考資料T)
  産業分類として第○次産業という表現を用いることがあります。これは英国出身の経済学者、コーリン・クラーク 
  (Colin Grant Clark)が1941年に考案したものですが、分類の中身は少しずつ変化しているようです。
  しかし、分類の基本的な考え方に大きな変更はないようです。
  第一次産業:自然に働きかけて直接に富を獲得する産業、農業、林業、漁業、鉱業など。
  第二次産業:第一次産業が採取や生産したものを原材料として加工し、富を獲得する産業、製造業、建設業、電気・
        ガス業など。
  第三次産業:第一及び二次産業に分類されない、商品やサービスを提供することにより富を獲得する産業、小売業、
        サービス業など。


 ところで、二年前の2011年7月14日に発出された厚生労働省の基安発0714第2号には、第三次産業(交通運輸業及び貨物取扱業を除く。以下同じ。)における休業4日以上の死傷災害について次のように記載されています。
  
 第三次産業における休業4日以上の死傷災害は、ここ 10年間横ばい状況にあり、災害発生件数全体に占める割合は全産業の4割を超えており年々増加傾向にある。一方、「新成長戦略」(平成22年6月18日閣議決定)における「成長戦略実行計画(工程表)」において、2020年までに実現すべき成果目標として「労働災害発生件数を3割減」が掲げられたことから目標達成のため、第三次産業における労働災害を大幅に減少させる必要がある。
 しかしながら、第三次産業の多くの業種においては、建設業、製造業等に比べて災害発生率が低いこと もあり、労働災害防止に関する取り組みが低調な事業者が少なくないことから、事業者が労働災害防止に 取り組む気運の醸成を図りつつ、災害減少に向けて中長期的に施策を推進することが重要である。
なお、短期的には休業4日以上の死傷災害件数は毎年3%減少させることが必要となっているが、平成22年における同件数は前年比1.9%増となっており、本年は前年比5%の減少を目標に取組を強化することが必要とな っているところである。

 この「第三次産業における労働災害防止対策の推進について」は、 厚生労働省労働基準局 安全衛生部長名で、各都道府県労働局長あてに通達されたものです。

 ここでは通達の内、 基本的考え方のみ抜粋して紹介します。対策の進め方や業種ごとの具体的な実施事項については改めて紹介する予定です。

(1) 第三次産業における労働災害と対策の現状
  第三次産業における労働災害は、年間5万件近く発生しており、全産業の4割を超えている。
 その業種内訳は、災害の多い順に小売業12,329件(25.0%)社会福祉施設5,533件(11.2%) 及び飲食店
 4,021(8.2%)と これら3業種で第三次産業全体の4割半を、全産業の2割弱を占めている。
  また、事故の型別では「転倒」14,619件(29.6%)及び「動作の反動・無理な動作」(以下「動作の反動等」
 という。)7,836件(15.9%)
といった比較的重篤度の高くない災害で、第三次産業における事故 の型全体の4割を
 超える状況にある。さらに、上記3業種においては、災害発生率(年千人率)が全産業平均より低い特徴が見られる。

 (参考資料U)
   千人率:1年間の労働者1,000人当たりに発生した死傷者数の割合を示すものです。
       年千人率=(1年間の死傷者数/1年間の平均労働者数)×1000

ー(略)−
  しかしながら、第三次産業においては、災害発生件数の多い小売業、社会福祉施設、飲食店等の業種を中心に、  
  [1]業界として労働災害防止への関心が高くない、
  [2]指導対象事業場が広範囲にわたる等の課題があり、これまでの対策が必ずしも災害減少に結びついていない状
   況にある。   
(2) 対策推進に当たっての方向性   
  上記(1)の労働災害及び対策の現状を踏まえ、新成長戦略において掲げられた「労働災害発生件数を3割減」の目
 標を達成するため、従来の対策に加え、小売業、社会福祉施設、飲食店等を対象として、「転倒」、「動作の反動等」
 による災害防止を重点として、事業者の労働災害防止への関心を高めつつ、 自主的活動を促進するための対策を進め
 ていくこととする。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  (2013.12.12)
                                          

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