本文へスキップ

阿部技術士・労働安全コンサルタント事務所は、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。

TEL. 088-694-3482

〒771-1330 徳島県板野郡上板町西分字橋北16番地2

安全情報メモ48Safety information

48)小型移動式クレーン(構造・装置)

1)クレーン等の構造
 移動式クレーンは上部旋回体、旋回装置及び下部走行体を主要構造部として構成されています。
 そして、それぞれの構造部は次のような役割を担っています。
  ・上部旋回体はジブ等を含むクレーン装置のうち旋回する部分、
  ・旋回装置は上部旋回体を旋回させるための装置、
  ・下部走行体は走行装置とアウトリガー及びクレーン装置のうち旋回しない部分。

 移動式クレーンの構造は1996年2月1日に発出された基発第47号「クレーン構造規格及び移動式クレーン構造規格の適用について」により規定されています。その後、技術の進展に伴い、2003年9月2日に発出された基発第0902007号(「クレーン構造規格及び移動式クレーン構造規格の適用について」の一部改正について)により改正されています。

以下は、都道府県労働基準局長あての通達の一部を引用(和暦を西暦に変更、下線部追記)したものです。

   クレーンの構造規格(1995年労働省告示第134号)及び移動式クレーン構造規格(1995年労働省告示第 135号) 
  (以下、「新規格」という。)は、1995年12月26日に公布され、1996年2月1日から適用されることとなっている。
  今回の(1996年2月1日の基発第47号による)改正は、クレーン及び移動式クレーンに係る構造規格を当時の技術
  の進歩に対応させるとともに、ISO(国際標準化機構)及び諸外国のクレーン及び移動式クレーンの構造に関する規
  格との整合性の確保を図るため、従来の規格を全面的に見直したものであり、これによりクレーン及び移動式クレ
  ーンの安全確保等をより一層推進しようとするものである。これに伴い、従来のクレーン構造規格(1976年労働省
  告示第80号)及び移動式クレーン構造規格(1976年労働省告示第81号)(以下「旧規格」とい う。)は、廃止される。
   ー以下、省略ー

(参考資料)
 移動式クレーン構造規格
  労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第37条第2項及び第42条の規定に基づき、
  移動式クレーン構造規格を次のように定める。
   第1章 構造部分等
    第1節 材料(第1条−第2条)
    第2節 許容応力(第3条−第6条)
    第3節 荷重(第7条−第9条)
    第4節 強度(第10条−第12条)
    第5節 安定度(第13条−第16条)
   第2章 機械部分
    第1節 ブレーキ等(第17条−第19条)
    第2節 ドラム等(第20条−第23三条)
    第3節 安全装置等(第24条−第34条)
    第4節 操作部分等(第35条−第37条)
   第3章 加工(第38条−第40条)
   第4章 ワイヤロープ及びつりチェーン(第41条−第42条)
   第5章 雑則(第43条−第45条)
  附則 別表(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)
  関連通達  
    平成8年2月1日 基発第47号  
    平成15年9月2日 基発第0902007号


2)クレーン等の装置
 ここでは、小型移動式クレーンに装備されているつり上げ、起伏、旋回等の装置を紹介します。それぞれの装置は表1に示すクレーン等の種類に応じた構造で組み込まれています。
@パワーテイクオフ(Power Take Off)装置
 車両駆動用のエンジン動力を取り出してクレーン用動力に利用するための装置のことです。この装置は車両駆動用の動力を作業機の駆動のために取り出すための機構を有しており、耕耘機や農耕用トラクターなどにも使用されています。
A巻き上げ装置
 巻き上げ装置とはウインチとも呼ばれ、動力により回転させるドラムにワイヤロープ等を巻き付け、荷の巻上げ、巻下げを行うものです。動力の伝達は、車載用ではパワーテイクオフ が主流のようです。この方式による動力の伝達は、機械式と呼ばれるギアのみによるものと、歯車ポンプを駆動し油圧モーターで駆動する油圧式とがあります。小型のものを除き、殆どのものが油圧式です。
B旋回装置
 旋回装置は上部旋回体を旋回させる装置です。旋回モータの動力を旋回減速機に伝え、旋回歯車に噛み合っているピニオンを回転させて上部旋回体を旋回させています。上部旋回体は旋回フレームに組み立てられており、旋回フレームにはジブ取付用のブラケット、巻上装置、ジブ、運転室、カウンタウエイト等が取り付けられています。
C起伏装置
 クレーンのジブ取付部を支点としてジブを上下させる装置を起伏装置といいます。ジブの起伏装置は 電動機やブレーキ、減速装置、ドラムを備えています。ドラムを回転させることにより起伏用ワイヤロープの巻取りや巻戻しを行い、ジブを起伏させています。
D伸縮装置
 クレーンのジブを伸ばしたり縮めたりする装置を伸縮装置といいます。ジブとは上部旋回体の一端を支点とした腕のことで、箱型構造の伸縮ジブやラチス構造の継ぎジブなどがあります。継ぎジブはジブを継ぎ足してジブの長さを変える機械式ですが、伸縮ジブは油圧シリンダや伸縮用ワイヤロープとの組み合わせによりジブの伸縮を行います。起伏装置との組み合わせ操作により、つり荷の巻上げや巻下げを行います。
Eフック及び格納機構
 小容量のクレーンには片フック、 大容量のクレーンには両フックが使用されています。小型移動式クレーンに用いられるフックは片フックが一般的です。フックには玉掛け用ワイヤロープの外れ止め装置を備えなければなりません。作業終了時にフックをジブ先端に格納する機構を設けたクレーンもあります。

表1.移動式クレーン等の種類
(出典:クレーン等安全規則の別表を基に概要等を追記)


 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。   (2014.1.4)                                            

バナースペース

阿部技術士・
労働安全コンサルタント事務所

〒771-1330
徳島県板野郡上板町西分字橋北
16番地2

TEL 088-694-3482
FAX 088-694-3482