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阿部技術士・労働安全コンサルタント事務所は、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。

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安全情報メモ75Safety information

75-2)東洋ゴム工業不正事案/免震材料に関する第三者委員会報告書

 昨年、発覚した東洋ゴム工業の免震材料の不正事案については「免震材料に関する第三者委員会」が設置され、専門的な見地から不正事案の原因究明や再発防止対策などの検討が行われておりました。そして、平成27年7月29日にこれらの検討結果が報告書としてまとめられ、国土交通省に提言されました。
 第三者委員会は各分野の学識経験者6名で構成され、委員会は7回開催されました。報告書は本文28ページ、参考資料22ページからなっておりますが、ここでは、報告書の一部を抜粋して紹介します。詳細は国土交通省のホームページでご確認ください。
  まず、東洋ゴム工業の社外調査チームが実施した調査報告書(公表版)について、第三者委員会として再発防止策を検討するうえで重要と考えられるポイントが、
 V 免震材料の不正事案に係る判明事実と発生原因  
  1.国土交通省が実施した調査及び東洋ゴム工業(株)による調査  
  (2)東洋ゴム工業(株)による調査   
    F 原因及び背景(17〜18頁)の中で、次のイ〜カ(ルは欠項?)のように整理されています。
    ここでは、項目のみ記載します。
   
イ 規範遵守意識の著しい鈍磨
   ロ 規範遵守意識の鈍磨を醸成させる企業風土
   ハ 管理・監督機能の脆弱性等
   ニ 会社としてのリスク管理の不備
   ホ 社内監査体制の不備
   へ 経営陣の意識・判断の甘さ
   ト 社内報告体制の不備
   チ 社内調査体制の不備
   リ 開発技術部門及び法務・コンプライアンス部門の地位の脆弱性
   ヌ 既存のガバナンス制度の不活用
   ヲ 検査におけるデータ処理過程の記録化の不備
   ワ 断熱パネル問題発生時の調査の不十分
   カ 断熱パネル問題の再発防止策の不奏功

 
 そして、 25頁には、
 W 第三者委員会としての提言
 1.大臣認定制度の見直しを含む再発防止策について
 (4)東洋ゴム工業(株)に求める今後の対応
  の中で、東洋ゴム工業に求める今後の対応が次のように述べられています。
   
社内で起きた問題に対して真摯に向き合う文化を育てる必要がある。このような社内文化の育成に責任を持った人  材を配置し、その文化を社内に浸透させることが必要である。また、製品を製造する者として、顧客に向き合い、顧  客の視点に立ったものづくりに携わるべきで ある。
   東洋ゴム工業(株)は、平成27 年6 月23 日に改善措置と再発防止策として、緊急品質監査等の緊急対策、品質保証  部門の組織再編・権限強化、コンプライアンスオフィサー制度の導入等をはじめとする継続対策を講ずることを公表  している。
   これらの再発防止策の実施において、今回の不正事案が平成19 年の断熱パネル問題発覚時にも併行的に起こって  いて、今回まで継続していたことを教訓として、本再発防止策においてはその実行スケジュールを明確にし、徹底展  開を図るとしており、これを形骸化させず、実質的に機能し続けさせることが求められる。
   そのため、再発防止策の全般にわたり外部に対して継続的に「見える化」を行い、社会に対する説明責任を果たす  べきである。
   具体的には、再発防止策の対応状況について常に外部へ見える形で情報提供すること、再発防止策のタイムスケジ  ュールが示されていないものについては明確化すること、顧客への説明を含め品質管理に関する具体的な取組みを公  開することが挙げられる。
   また、安全性に直結する種類の製品を製造するメーカーとしての責任を果たすためには、免震材料の品質が建築物  全体に及ぼす影響について適切な知識を有することが求められるため、免震建築物の専門家による技術指導を受ける  など、技術者を育成することが必要である。
   なお、国土交通省においても、抜き打ちによる立入検査の実施などを通じ、東洋ゴム工業(株)において適切な生産  体制・品質管理体制の維持が図られるよう、しっかりと取り組むことが必要である。

 
 ところで、前項75-1)、前々項75)でも述べた「不正を犯すことに何ら抵抗がない社員と不正をみて見ぬふりをする管理者がいる『不正が可能な組織』」をどのように変えていけばよいのか。
 地位が人をつくるという説もあるが、組織を守るためと称して「隠したり、嘘をついたり、辻褄合わせをする職場をつくる人」になってしまうことがあるのも真実である。高松市選挙管理委員会の票数水増し、辻褄合わせ事件では、誰ひとり「ノー」と言えなかった。
 このように、跡を絶たない事故・品質トラブル・不正を防止するため、いま、求められているものは、これらを生みだせない職場環境、見逃せない管理体制、放置できないシステムではないだろうか。
 事故・品質トラブル・不正を、「生み出さない、見逃さない、放置しない」ではなく、悪意をもってしても、これらを「生み出せない、見逃せない、放置できない」職場環境の構築が喫緊の課題だと考える。
 課題解決に向けて、それぞれの職場(組織)では、次のようなハードとソフトの両面から対策が必要と考える。
  @人の介在を極限まで排除する。(ハード対応)
  A介在する人の質管理(人数合わせの人事管理ではなく適材適所の人質管理)を行う。(ソフト対応)

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  (2016.1.27)
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75-1)東洋ゴム工業の不正・企業風土が原因(最終報告書)

 東洋ゴム工業は免震ゴム問題に関する2015年4月24日の中間報告に続き、6月22日、最終報告書を公表しました。不正発覚後、東洋ゴム工業は利害関係を有しない外部の専門家(弁護士)で構成する社外調査チームに調査を依頼していたもので、4月25日と6月23日の徳島新聞にはそれぞれのポイントが図1のように記載されていました。

図1.東洋ゴム工業不正
中間報告と最終報告のポイント

(出典:中間報告;徳島新聞社会(26)2015年4月25日、最終報告;徳島新聞社会(23)2015年6月23日)


 6月22日に公表された最終報告書は第1 序、第2 調査の結果、第3 原因及び背景、第4 再発防止策の提言及び第5 結語までの本文290頁、さらに、別紙の46頁と合わせて全336頁で構成されています。
 調査の結果、品質保証部門の担当者もデータ改ざんに関与し、不正は開発部門だけではないことが判明しました。調査チームは一連の問題の主な原因を「企業風土に求めざるを得ない」と指摘し、抜本的な改革を求めています。
 
 ここでは、報告書の第5 結語の一部を抜粋して紹介します。
   
本調査では、地震国である我が国に住む人々の生命・財産に直結する免震積層ゴムの開発・製造・検査過程にお
  いて、その性能指標が技術的根拠なく恣意的に操作されるという極めて重大な問題行為が明らかとなった。
   また、本調査で認定した多くの事実を分析すると、かかる重大な問題行為の主な原因を個人の資質に帰すことはで
  きず、TR のもつ企業風土に、それを求めざるを得ないことが、明らかになった。 さらには、本調査においては、
  にわかには信じ難い事実がいくつも判明した。例えば、「地震国である我が国に住む人々の生命・財産に直結する
  免震材料の開発・製造・販売について、十分なリスク管理がなされないままに杜撰な体制でなされていたこと」、
  「問題が発覚してから国土交通省への一報までに長期間を要していたこと」、「重大な不祥事であった断熱パネル問
  題の際に、その深い反省のもとで実施したはずの全事業に対する緊急品質監査が形式的なものであったこと」などで
  ある。
   このような事実に照らすと、TR には、同様の不祥事の発生につながる風土が根付いてい るものといえ、TR が現
  状の企業風土を変革しない限り、今後、TR が同様の不祥事を起こす 可能性が低いということはできない。 したが
  って、将来的に不祥事を起こさない企業になるため、TR には、企業風土を抜本的に変革すること、いわば、企業と
  して新しく生まれ変わることが必要である。−(略)−


 調査結果の最終報告書が提出された翌日(6月23日)の徳島新聞は次のように報じています。
 東洋ゴム不正 社長・会長ら引責辞任 改ざん社員の告訴検討

  −略ー
  代表権を持3人全員がそろって返上する異例の事態となった。
  −略ー
  意図的に改ざんの事実を隠したことは否定した。同社は今後、社内で懲罰委員会を開催した上で、改ざんに関わった
  社員らを刑事告訴するかどうか検討していく考えも示した。また、再発防止に向け、すべての製品の生産工程を監査
  する、弁護士を交えた社内委員会を立ち上げることなども決めた。


 ところで、前項75)でも述べた「不正を犯すことに何ら抵抗がない社員と不正をみて見ぬふりをする管理者がいる『不正が可能な組織』」をどのように変えていけばよいのか。
 地位が人をつくるという説もあるが、組織を守るためと称して「隠したり、嘘をついたり、辻褄合わせをする職場をつくる人」になってしまうことがあるのも真実である。高松市選挙管理委員会の票数水増し、辻褄合わせ事件では、誰ひとり「ノー」と言えなかった。
 このように、跡を絶たない事故・品質トラブル・不正を防止するため、いま、求められているものは、これらを生みだせない職場環境、見逃せない管理体制、放置できないシステムではないだろうか。
 事故・品質トラブル・不正を、「生み出さない、見逃さない、放置しない」ではなく、悪意をもってしても、これらを「生み出せない、見逃せない、放置できない」職場環境の構築が喫緊の課題だと考える。
 課題解決に向けて、それぞれの職場(組織)では、次のようなハードとソフトの両面から対策が必要と考える。
  @人の介在を極限まで排除する。(ハード対応)
  A介在する人の質管理(人数合わせの人事管理ではなく適材適所の人質管理)を行う。(ソフト対応)

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  (2015.6.30)
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75)リスクアセスメント(東洋ゴム工業の不正事例)

 2015年3月13日の国土交通省ホームページに報道発表資料「東洋ゴム工業(株)が製造した免震材料の大臣認定不適合等について」が掲載され、その後5月28日までに16件が公表されています。この内、3件は「免震材料に関する第三者委員会」の開催についての告知ですが、当委員会は3月31日に設置され、現在までに3回開催されています。
 当委員会は6名の学識経験者で構成されており、当該不正事案を受け、その安全性の検証、原因の究明や、再発防止等について専門的見地から検討し、国土交通省に対して提言を行うことを目的としています。
 第1回目、第2回目については既に議事要旨がホームページに掲載されています。
 第2回目の議事要旨の「(5)原因究明について」述べられた各委員の意見は次のとおりです。
  (委員)ブリジストンの場合は開発段階で第三者が関与していたが、東洋ゴム工業にはそうした機会がなかったので
      はないか。
  (委員)製造段階は、開発に関与した者とは別の者が担当するのが通常のプロセスだが、東洋ゴム工業の免震材料は
      違っていたということではないか。
  (委員)開発、生産、検査などの各段階において「見える化」を図っていくことが重要ではないか。
  (委員)大臣認定の仕組みからすると、自社データを提出することは仕方ないと思うが、一方で、国民の立場からす
      ると、今回の東洋ゴム工業のようなこともあるので、すべての企業を信用することはできない。
  (事務局)どこまでを性善説で考え、どこまでを性悪説で考えるかのバランスが重要ではないか。次回以降、引き続
      きご議論いただきたい。

 本件については、今後の議論を注視したい。  
 ところで、「不正を犯すことに何ら抵抗がない社員と不正をみて見ぬふりをする管理者がいる『不正が可能な組織』」をどのように変えていけばよいのか。地位が人をつくるという説もあるが、組織を守るためと称して「隠したり、嘘をついたり、辻褄合わせをする職場をつくる人」になってしまうことがあるのも真実である。高松市選挙管理委員会の票数水増し、辻褄合わせ事件では、誰ひとり「ノー」と言えなかった。
 このように、跡を絶たない事故・品質トラブル・不正を防止するため、いま、求められているものは、これらを生みだせない職場環境、見逃せない管理体制、放置できないシステムではないだろうか。
 事故・品質トラブル・不正を、「生み出さない、見逃さない、放置しない」ではなく、悪意をもってしても、これらを「生み出せない、見逃せない、放置できない」職場環境の構築が喫緊の課題だと考える。
 課題解決に向けて、それぞれの職場(組織)では、次のようなハードとソフトの両面から対策が必要と考える。
  @人の介在を極限まで排除する。(ハード対応)
  A介在する人の質管理(人数合わせの人事管理ではなく適材適所の人質管理)を行う。(ソフト対応)

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  (2015.6.11)
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