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阿部技術士・労働安全コンサルタント事務所は、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。

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安全情報メモ78Safety information

78-1)台車亀裂/運輸安全委員会報告書公表2019年3月28日⇒南海電鉄ラピート

 2017年12月12日、マスコミ各社は「2017年12月11日に発生した博多発東京行きの新幹線「のぞみ34号」が、走行中に異常音や異臭があり、名古屋駅から運転を取りやめるトラブル」を報じました。
 その後、車両を調べたところ、13号車の台車についているモーターの回転を車輪に伝える「継手」と呼ばれる部品が焦げたように変色し、台車の枠組み部分に亀裂が発見されました。前日の点検では異常は確認されなかったとのこと。博多発の列車は、名古屋までの間、約1000人の乗客を乗せて最高時速300kmで走っていました。国土交通省は、運行を続けていれば、最悪の場合、脱線する恐れがあったとし、国の運輸安全委員会は、
重大インシデントとして調査を進めていましたが、2019年3月28日、運輸安全委員会ホームページで「報告書(RI2019-1-1)」を公表しました。
 そして、当該重大インシデントの原因を以下のとおり推定しています。(以下、緑字引用)
    
本重大インシデントは、車両の台車枠の側ばりに発生した亀裂が疲労により進展し、台車枠が変形したため、
   歯車形たわみ軸継手が許容範囲を超えて変位し損傷したことにより発生したものと推定される。  車両の台車枠
   の側ばりに亀裂が発生したことについては、亀裂の起点であるスロット溶接部裏境界近傍に、溶接施工時に生じた
   割れが存在していた可能性が考えられ、加えて、
   (1)焼鈍後に軸ばね座下面に肉盛溶接を施工したことにより、スロット溶接部近傍に残留応力が生じていたこと、
   (2)側ばり下板に軸ばね座を取り付ける際に、側ばり下面を過度に研削したことにより側ばり下板の板厚が薄く
   なり、板厚が設計上の基準値以下になっていたこと が関与したものと推定される。
    また、側ばり下面が過度に研削され側ばり下板の板厚が薄くなっていたことが亀裂の進展速度を速め、車両寿命
  (台車使用期間)より短い期間で亀裂が進展したものと推定される。

    
なお、側ばり下面を過度に研削したことについては、台車枠の製造時に、側ばり下面が膨らみ、軸ばね座の取付
   けに当たり加工が必要となった問題に対し、根本的な要因や対策を検討せずに対処したこと、及び台車枠の強度に
   関わる作業指示が十分認識されないまま製造作業が進められたことが関与したものと推定される。


 この報告書が公表されて、凡そ5か月が過ぎた
2019年8月26日、国土交通省は南海電鉄の特急「ラピート」の台車で長さ約14cmの亀裂が見つかったことを明らかにしました。同時に、運輸安全員会はこの事案を重大インシデントとして鉄道事故調査官二人を派遣しました。この事案も運輸安全委員会のホームページで鉄道重大インシデントの統計の2019年車両障害として挙げられています。現在は調査中のため、発生時の概要のみ記載されています。
 亀裂は8月24日に見つかっていましたが、南海電鉄はその事実を明らかにしていませんでした。報道によると南海電鉄の広報担当者は発表しなかった理由について「けが人もおらず、30分以上の遅延や運休もなかった。対応が間違っていたという認識はない」と話したとのこと。重大インシデントとした運輸安全委員会と対応が間違っていたという認識はないとした南海電鉄広報担当者の間には大きな溝があります。この溝を埋めない限り同様な事案は再発するのではないでしょうか。今後の調査結果が待たれます。
 「疑わしいときは、手落ちなく考えて最も安全と認められるみちを採らなければならない。」という言葉は、1951年に日本国有鉄道が定めた「
安全綱領」に記されています。また、JR西日本が、2005年に発生した福知山線の脱線事故の後、定めた「安全憲章」にも同様の言葉が書かれています。
 これらは、鉄道の長い歴史の中で繰り返された事故の教訓を言葉にしたものです。なぜ生かすことが出来ないのでしょうか。教訓は言葉だけのものではなかったはずです。認識や見解の相違では片付けられないのです。事故が起こってからでは遅いのです。
 
参考1:日本国有鉄道が定めた安全綱領 1951年7月2日、運輸省令第55号として「運転の安全の確保に関する省令」
  が定められ、安全綱領がそこに明記されました。
      1.安全は輸送業務の最大の使命である。
      2.安全の確保は規程の遵守及び執務の厳正から始まり不断の修練によって築き上げられる。
      3.確認の励行と連絡の徹底は安全の確保に最も大切である。
      4.安全の確保のためには職責をこえて一致協力しなければならない。
      5.疑わしい時は手落ちなく考えて最も安全と認められるみちを採らなければならない。
  参考2:安全憲章前文 私たちは、2005年4月25日に発生させた列車事故を決して忘れず、お客様のかけがえのない
  尊い命をお預かりしている責任を自覚し、安全の確保こそ最大の使命であるとの決意のもと、安全憲章を定めます。
      1.安全の確保は、規程の理解と遵守、執務の厳正および技術・技能の向上にはじまり、不断の努力によって
       築きあげられる。
      2.安全の確保に最も大切な行動は、 基本動作の実行、確認の励行および連絡の徹底である。
      3.安全の確保のためには、 組織や職責をこえて一致協力しなければならない。
      4.判断に迷ったときは、最も安全と認められる行動をとらなければならない。
      5.事故が発生した場合には、併発事故の阻止とお客様の救護がすべてに優先する。
 
 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。 (2019.10.10)
                                           安全情報メモ一覧へ戻る

78)リスクアセスメント(新幹線のぞみ34号・台車亀裂)

 平成17年の労働安全衛生法の改正により、同法に第28条の2が追加され、平成18年4月から事業者に新たに「リスクアセスメント」実施が法令上の努力義務とされました。
(参考)
 第28条の2 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、  又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等を調査し、その結果に基づいて、この法律又はこれに基づく  命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなけ  ればならない。ただし、当該調査のうち、化学物質、化学物質を含有する製剤その他の物で労働者の危険又は健康障  害を生ずるおそれのあるものに係るもの以外のものについては、製造業その他厚生労働省令で定める業種に属する事  業者に限る。
 2 厚生労働大臣は、前条第1項及び第3項に定めるもののほか、前項の措置に関して、その適切かつ有効な実施を図  るために指針を公表するものとする。

 リスクアセスメントについては厚生労働省から「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」を基本指針として、「化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針」、「機械の包括的な安全基準に関する指針」が基本指針に基づく詳細指針として、それぞれ公表されています。

 
2017年12月12日、マスコミ各社は「2017年12月11日に発生した博多発東京行きの新幹線「のぞみ34号」が、走行中に異常音や異臭があり、名古屋駅から運転を取りやめるトラブル」を報じました。
 その後、車両を調べたところ、13号車の台車についているモーターの回転を車輪に伝える「継手」と呼ばれる部品が焦げたように変色し、台車の枠組み部分に亀裂が発見されました。前日の点検では異常は確認されなかったとのこと。博多発の列車は、名古屋までの間、約1000人の乗客を乗せて最高時速300kmで走っていました。国土交通省は、運行を続けていれば、最悪の場合、脱線する恐れがあったとし、国の運輸安全委員会は、
重大インシデントとして調査を進めています。
 「疑わしいときは、手落ちなく考えて最も安全と認められるみちを採らなければならない。
 これは1951年に日本国有鉄道が定めた「
安全綱領」に記されている言葉です。JR西日本が、2005年に発生した福知山線の脱線事故の後、定めた「安全憲章」にも同様のことが書かれています。鉄道の長い歴史の中で繰り返された事故の教訓を、なぜ生かすことが出来なかったのでしょうか。教訓は言葉だけのものではなかったはずです。
 
参考1:日本国有鉄道が定めた安全綱領 1951年7月2日、運輸省令第55号として「運転の安全の確保に関する省令」
  が定められ、安全綱領がそこに明記されました。
      1.安全は輸送業務の最大の使命である。
      2.安全の確保は規程の遵守及び執務の厳正から始まり不断の修練によって築き上げられる。
      3.確認の励行と連絡の徹底は安全の確保に最も大切である。
      4.安全の確保のためには職責をこえて一致協力しなければならない。
      5.疑わしい時は手落ちなく考えて最も安全と認められるみちを採らなければならない。
  参考2:安全憲章前文 私たちは、2005年4月25日に発生させた列車事故を決して忘れず、お客様のかけがえのない
  尊い命をお預かりしている責任を自覚し、安全の確保こそ最大の使命であるとの決意のもと、安全憲章を定めます。
      1.安全の確保は、規程の理解と遵守、執務の厳正および技術・技能の向上にはじまり、不断の努力によって
       築きあげられる。
      2.安全の確保に最も大切な行動は、 基本動作の実行、確認の励行および連絡の徹底である。
      3.安全の確保のためには、 組織や職責をこえて一致協力しなければならない。
      4.判断に迷ったときは、最も安全と認められる行動をとらなければならない。
      5.事故が発生した場合には、併発事故の阻止とお客様の救護がすべてに優先する。

 
2017年12月15日の石井国土交通大臣の記者会見より一部引用 しました。
 
(問)今月11日に発生した、JR西日本の東海道・山陽新幹線のぞみ34号の件でお伺いします。 台車に亀裂が発生する
  新幹線で初の重大インシデントとなりましたが、大臣が把握されている事実関係、その他、国土交通省の対応などが
  あれば教えてください。
 (答)12月11日に博多発東京行の東海道・山陽新幹線のぞみ34号におきまして、13号車の台車に、亀裂の発生や歯車
  装置の油漏れ等の事象が生じました。新幹線の台車で今回のような箇所に亀裂が発生したのは初めてのことであり、
  新幹線の輸送の安全を確保する上で、重大な事案であると考えております。これを受けまして、運輸安全委員会は、
  当該事象を重大インシデントといたしまして、12日に調査を開始いたしました。 また、国土交通省といたしまして
  は、12日にJR西日本とJR東海に対して、徹底した原因究明と再発防止対策の実施を指示いたしました。 更に、翌
  13日に、新幹線を運行するJR5社に対して、この事象を周知するとともに、台車の緊急点検を実施して、本日までに
  報告するように指示をしております。国土交通省といたしましては、今後の運輸安全委員会やJR西日本による調査等
  も踏まえまして、高速走行する新幹線の安全輸送が確保されるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えており
  ます。 (以下、略)

 
2017年12月15日、NHKの時論公論では「新幹線の台車に亀裂 何が起きた? なぜ止めなかった?
(中村幸司解説委員)(http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/286806.html)と題して解説されています。
 解説のポイントは次の二点です。以下、一部引用し、追記しています。(赤字・追記等は筆者)
▽台車に
何が起きたと考えられるのか、
▽異常に気づいてから、3時間にわたって運行を続けていますが、
なぜもっと早く止めなかったのか
 図1は解説で用いられた台車枠の亀裂発生場所の概略です。モーターの回転が歯車を介して、車軸、車輪に伝えられます。 台車は、車体を支え、車輪がレールの上を安定して走れるようにするために、きわめて重要です。台車が損傷すれば、脱線のおそれもあります。その重要部分に、なぜこれほどの亀裂ができたのでしょうか。なお、数値等は12月15日時点の情報に基づいています。

図1.台車枠の亀裂の場所
(出典:2017年12月15日NHK時事公論)

●台車では溶接部分に亀裂がおきやすいとされています。このため、亀裂による事故やトラブルを未然に防ぐ対策が採られています。それが、検査です。 この車両をもつJR西日本が、台車の検査を行っています。
全般検査」は、車体を解体して詳しく調べるいわゆる「オーバーホール」のことで、3年、または120万km走行する毎に行います。 (直近では2017年2月21日⇒異常なし
交番検査」は45日、または6万km走行、 (直近では2017年11月30日⇒異常なし
仕業検査」は2日に1回行われます。(2017年12月11日未明⇒異常なし
特に注目されるのは台車をはずして詳細に調べた2月の全般検査です。このとき、すでに亀裂があったのか、あるいは全般検査のあと、何らかの理由で一気に亀裂が出来たのか。詳細は分かっていませんが、いずれにしても
検査で異常なしとされた台車で、これだけの亀裂が出来ることはあってはならないことです。
●次に、なぜもっと早くに列車を止めなかったのか、という問題です。今回のトラブルでは、最初に異常に気がついてから運転を取りやめるまで、3時間、距離にして、約740kmを走行しています。 注目したいのは、異常に気づいたとき何を根拠に安全であると判断したのかです。なぜ専門的な知識のある担当者が、重大な事態を見過ごしてしまったのか。一連の関係者の判断のどこに問題があったのか明らかにすることが求められます。
   
⇒関係者の判断にその場の空気が影響したのでしょうか?
    山本七平著「空気の研究」の中に、次のような件(くだり)があります。「空気」とはまことに大き
    な絶対権を持った妖怪である。一種の「超能力」かも知れない。(中略)この「空気」なるものの正
    体を把握しておかないと、将来なにが起こるやら、皆目見当がつかないことになる。

 いったん運行継続を判断したとしても、においやうなり音の原因が分かっていない以上、その判断が正しかったかどうか、繰り返し確認する慎重さが求められると思います。亀裂の原因はどこにあるのか、点検のあり方はいまのままでいいのか、そして、異常に気づきながら列車の運行を続けた判断、その問題はどこにあるのか。

 
2018年01月18日 、 NHKの時論公論では「どこまで解明? 新幹線の台車亀裂」(中村幸司解説委員)
(http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/288684.html)と題して、解説されています。
 破断寸前だった台車の問題、どこまで解明されたのでしょうか。JR西日本の調査からは、担当者に安全についての意識が欠けていたことが浮かび上がってきました。一方、台車の検査について定めた国土交通省のマニュアルに問題があることも、分かってきました。
 解説のポイントは次の三点です。以下、一部引用し、追記しています。 (赤字・太字・追記等は筆者)
▽すぐに止めなかった判断について
▽亀裂を定期検査で発見できなかった問題について、
▽再発防止に向け、何が必要なのか
●新大阪までに気づいた異常は、合計30件に上っています。このあと、運行はJR東海に引き継がれ、京都を出発後に再び異臭が確認されました。これだけの異常があったのに、運行を続けた判断が問題視されています。 なぜ止めなかったのか。異常が相次ぐ中で、安全に運行できる根拠は何かという視点が欠けている点です。
誰かが「このまま運転して安全といえるのか」という問いかけをすれば、異常の原因が分からない状況では、おのずと運行をやめることになったのではないでしょうか。
   ⇒関係者の判断にその場の空気が影響したのでしょうか?誰かが水を差し、その場の空気を一瞬にして
    崩壊させることはできなかったのでしょうか?
    山本七平著「空気の研究」の中に、次のような件(くだり)があります。「空気」とはまことに大き
    な絶対権を持った妖怪である。一種の「超能力」かも知れない。(中略)この「空気」なるものの正
    体を把握しておかないと、将来なにが起こるやら、皆目見当がつかないことになる。

●2017年2月に全般検査が実施されましたが、異常はみつかりませんでした。 このとき亀裂があったかどうかは分かっていませんが、仮になかったとすれば、亀裂は想定以上の速さで進んだことになり、検査間隔を短くするといった必要もでてきます。逆に、亀裂があったのであれば、見逃したことになります。国土交通省は、台車の定期検査については、平成13年に作られたマニュアルを見直す方針を示していますが、検査方法を変更するだけでは十分ではありません。設計・製造時の対策や過去の実績から、亀裂は生じないとした判断におごりはなかったのか。マニュアル作成の過程を検証することが求められます。
●定期検査で亀裂は発見されず、最後の砦ともいうべき乗務員らの判断に問題があった結果、重大なインシデントを引き起こしました。設計から運用まで、すべての段階で問題点や改善点を洗い出し、再発防止につなげなければなりません。

 2018年2月28日、川崎重工業は「 N700系新幹線車両台車枠について」を公表し、原因究明などへの取り組み姿勢を明確にしています。
 2018年2月28日、NHKの時論公論では「新幹線 台車亀裂の原因と求められる安全対策」(中村幸司解説委員)
(http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/291178.htmlと題して解説されています。
 
2018年2月28日に行なわれた川崎重工業の「 N700系新幹線車両台車枠について」の公表並びにJR西日本の記者会見により「台車を製造する際、金属の一部を削るという設計にない加工をしたため、強度が不足し、亀裂が発生していたということ」が明らかになりました。
 解説のポイントは三点です。以下、一部引用し、追記しています。(赤字・太字・追記等は筆者)
▽明らかにされた亀裂の原因とは、どういったものだったのか、
▽営業運転に使われている他の車両の台車は安全といえるのか、
▽再発防止に向けて、何が求められるか、
●図2はのぞみの台車枠の亀裂の状況です。亀裂は、車体の重さを車輪に伝える重要な台車の骨組み部分にありました。 縦17pのうち、残りは上側3pで、破断する一歩手前まで来ていました。この下側の部分が、製造段階で強度不足になったということです。具体的には、下側の鋼材の一部を削っていたということです。このため、設計では厚さが7o必要ですが、最も薄いところで4.7oしかなく、設計より強度が不足していました。下の部分から始まった亀裂が、上側に進展して行ったということです。

図2.のぞみの台車枠の亀裂発生状況
(出典:2018年3月3日、徳島新聞社会(32))

 台車は川崎重工業が製造したものです。削った理由について川崎重工業は、「下に取り付ける台座と合わせるために、下側の表面を一部削った」と説明しています。この下側については設計上、0.5oまで削ることは認められています。しかし、担当者がこれを拡大解釈して、設計で認められていない程度まで削っていたということで、品質管理体制に問題があったとしてます。設計以上に鋼材を削れば強度が落ち、同時に亀裂が生じやすくなることは明らかです。そうしたことが、なぜ行われ、なぜ防げなかったのか。人の命を乗せる高速鉄道の台車だということをどう考えているのか、徹底的な検証が求められます。
●再発防止に向けてどうすればいいのか。台車の亀裂に対しては、「設計」から「製造」「検査」そして走行しながらの「運用」の各段階で、何重にも対策が採られてきました。しかし、対策は機能しませんでした。特に、定期検査で発見されるべき亀裂が、みつけられなかった。この部分は、目視の点検では見えにくい部分です。再発を防ぐために何が求められるのでしょうか。まずは、強度不足などが起きないよう、製造の管理や出荷・納品の際の検査の徹底などが必要です。品質は上流で造りこむ、その上で、定期検査の抜本的な見直しです。過去に、事故やトラブルがなかったことは、決して将来の事故やトラブルがないことを保証するものではありません。設計どおりに作ることはもちろんですが、想定していなかったような事態が起きても、乗客の安全を守ることができるようにしなければなりません。

2018年3月2日の国土交通大臣記者会見から一部引用しました。
(問)JR西日本の台車亀裂問題について伺います。2月28日、製造元の川崎重工業が調査結果を明らかにしました。事実関係や大臣の受け止め、今後の対応についてお伺いいたします。
(答)2月28日にJR西日本の社長が記者会見を行いまして、台車の側バリ底面の板厚が設計寸法より薄く研削されるなど製造時の不備があったこと、亀裂は、側バリ底面と軸バネ座の溶接部を起点に発生し、側バリ底面の板厚が薄かったことで、亀裂が大きく進展したと推定されること、側バリ底面の板厚が薄い台車ついては順次取り換えるとともに、その間は定期的に超音波探傷検査により溶接部の傷等を監視していくことなどについて公表いたしました。 また、同日に川崎重工業の社長も記者会見を行いまして、作業指示が十分ではなく、削ってはならない側バリ底面を研削し、この工程が検査で確認されないなど、品質管理に問題があったこと、再発防止のため、車両カンパニープレジデントを筆頭とする品質管理委員会を設立し、品質管理体制を再構築することなどについて公表いたしました。 台車の製造時に不備があり、今回のような重大インシデントの発生につながったことは、高速で走行する新幹線の安全性、信頼性を揺るがしかねない重大な事象であり、誠に遺憾であると考えております。 本件につきましては、現在、運輸安全委員会が調査を行っておりますが、国土交通省といたしましては、今回の公表内容を踏まえ、これまでのJR西日本等に加えて、川崎重工業に対してもヒアリングを行い、今回の事象に至った背景等を更に精査した上で、部品の製造段階におけるミスを根絶するための方策を探ってまいりたいと考えております。 また、今回の事象を踏まえまして、本年2月に設置いたしました「鉄道の輸送トラブルに関する対策のあり方検討会」におきまして、台車の設計・製造・検査に関する根本的な検証を行うとともに、再発防止策について検討を行ってまいります。 高速で走行する新幹線の安全輸送が確保されるように、しっかりと取り組んでまいります。(以下、省略)

 
 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  (2018.5.6)
                                           安全情報メモ一覧へ戻る

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