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阿部技術士・労働安全コンサルタント事務所は、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。

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技術情報メモ9Technical information

9)変形のメカニズム

 機械材料に求められる重要な性質に「外力に対する強さ」と「外力による変形」があります。
機械を設計する際、最適な材料を選択するためには材料の機械的性質を知らなければなりません。この機械的性質(力学的特性)はJIS規格で定められた材料試験を行うことによって得られます。材料試験には引張、圧縮、ねじり、曲げ、衝撃などがあります。
 外力に対する強さ(応力)と外力による変形(ひずみ)の関係は引張試験により求めることができます。図1は軟鋼の引張試験で得られた応力-ひずみの関係を示したものです。
 材料の種類により、応力とひずみの関係は異なりますが、ほぼすべての固体材料は図2の三つに分類されます。機械を設計する際はこの関係を把握した上で、JIS規格の材料試験で得られた数値を使用しなければなりません。
 ここでは、金属材料が外力を受けた場合、何故変形するのかについて少しだけ詳しく見てみたいと思います。
金属材料は細かな粒子状の結晶が集合したものです。そして、それぞれの粒子は一定の原子配列をした結晶構造を有する結晶粒からなっています。各結晶粒は方位が異なるので、結晶粒の境界には結晶粒界ができます。写真1と2は金属材料の表面を鏡面に仕上げた後、腐食させて撮影したものです。写真1は単結晶なので、結晶粒界はありませんが、写真2は多結晶のため結晶粒界が存在しています。
 多くの金属材料はせん断応力が臨界せん断応力を超えると降伏して、塑性変形します(図1)。それでは何故この塑性変形が生じるのでしょうか。この塑性変形は材料内部の欠陥が原因で生じているのです。この材料内部に存在する一次元欠陥(転位と呼びます)が材料内部を移動することにより材料を塑性変形させているのです。
 しかし、この転位は材料内部の特定の結晶面(すべり面)しか移動できません。このすべり面とすべり方向をすべり系と呼び、各結晶構造ごとにすべり面、すべり方向、すべり系の数が調べられています。通常の金属材料の転位密度は10p/p程度ですが、この初期の転位が、せん断応力を受けて、材料内部で増殖することにより塑性変形が進むことも明らかになっています。
 当事務所ではものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。                                     (2013.5.24)

図1      
応力-ひずみ線図

軟鋼の応力-ひずみ線図を示しています。

図2                      
応力-ひずみ線図

代表的な三つの応力-ひずみ線図です。
出典:機械材料学(日本機械学会)

写真1      
アルミニウム単結晶
のすべり線

出典:機械材料の基礎 (美馬、長谷川)

写真2                  
極軟鋼多結晶のすべり線

出典:機械材料の基礎 (美馬、長谷川)