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阿部技術士・労働安全コンサルタント事務所は、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。

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技術情報メモ28Technical information

28-1)ボルトの緩み等(エスカレーター逆走事故原因)

 2015年1月19日、国土交通省のホームページに、社会資本整備審議会昇降機等事故調査部会(部会長:向殿政男明治大学名誉教授) において、取りまとめられた事故調査報告書が公表されていました。公表された報告書は次の3件です。
 @「東京都内エスカレーター事故調査報告書」 事故発生日:平成20年8月3日
 A「栃木県内エレベーター事故調査報告書」  事故発生日:平成24年6月30日
 B「神奈川県内コースター事故調査報告書」  事故発生日:平成26年3月19日
 ここでは、ボルトの緩みも原因の一つとされた@について概要を紹介します。
 この事故は平成20年8月3日10時頃に発生、東京国際展示場にある地上1階から4階直通の上りエスカレーターが、乗客が乗った状態で逆走し、乗客約50名が転倒、10名が負傷しています。
 報告書によると、エスカレーターの逆走が生じたのは、モーターの停止と同時にブレーキが作動したものの、ブレーキでは制動できなかったものと推定しています。そして、モーター停止後ブレーキにより制動できなかったのは、駆動くさりが大きく弛んだことにより、ブレーキの動摩擦トルクではそれを支えきれなかったため、また、駆動くさりが大きく弛んだのは、固定ベッドと可動ベッドを固定するためボルトの緩み、可動ベッドの回転を抑えるガイドプレートの溶接不良及び設計時の安全率に関する配慮不足により乗り込み人員の荷重で押しボルト等が破損して可動ベッドがずれたことによるものと分析しています。報告書は全38ページで、図や写真も多数掲載されていますが、ここでは1月20日付、徳島新聞に掲載された図を引用しています。                                      
図1.エスカレーター逆走事故
 
(出典:2015年1月20日付、徳島新聞(23)社会)      

 前項28)設計の勘どころの繰り返しになりますが、機械部品の締結方法は永久的締結と一時的締結の二通りに分けられます。永久的締結は、溶接やリベットのように交換時には継手部分を壊さなければなりません。しかし、一時的締結は、ねじ、ピン、キーのなどのように取り外しが可能となっているので、交換が容易です。締結方法を選択する際には、取り外しの頻度、使用環境などを考慮し、最適な選択をしなければなりません。
 ものづくりの現場に限らず、ねじの折損、溶接部の破断など締結に関わるトラブルは少なくありません。




 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。 (2015.1.25)

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28)設計の勘どころ(締結いろいろ)

 機械は部材を組み合わせた構造物、その部材を駆動するための伝動機構及び動力源から構成されています。また、機械には付属の各種センサーから取り込まれた情報を処理する制御系も装備されており、人間に有用な機能を発揮するための役割を果たしています。
 機械の構造は複雑ですが、細かく見れば、共通した機能を有する部品から構成されていることが判ります。これらの部品のことを「機械の要素」とよびます。日本機械学会の「機械実用便覧(改訂第7版)」には第7章に「機械の要素」が採り上げられています。第7章の「機械の要素」は、機械要素、伝動要素、密封要素、弁・管要素で構成されています。
 そして、機械要素は、「ねじ、接着継手、ピン、止め輪、キー及びコッター、スプライン、リベット」に分けられています。
 ここで、「機械の要素」を機能で分類すると次のようになります。機能の分類及び括弧内の要素は代表的な例として記載しています。
  @締結(機械実用便覧の機械要素(上記、太字)で採り上げたもの以外に、溶接継手、軸継手などがあります)
  A軸受・案内(すべり軸受け、転がり軸受、送りねじ等)
  B動力・運動の伝達(軸、軸継手、歯車、ベルト&プーリ、摩擦車、チェイン&スプロケット、カム、リンク等) 
  C制動(ブレーキ、クラッチ等)
  D緩衝(ばね等)
  E輸送(管、管継手、弁など)
  F密封(パッキン、ガスケットなど)
 
 ここでは、@の締結について少し詳しく紹介します。
 機械部品の締結方法は永久的締結と一時的締結の二通りに分けられます。永久的締結は、溶接やリベットのように交換時には継手部分を壊さなければなりません。しかし、一時的締結は、ねじ、ピン、キーのなどのように取り外しが可能となっているので、交換が容易です。締結方法を選択する際には、取り外しの頻度、使用環境などを考慮し、最適な選択をしなければなりません。
 ものづくりの現場において、ねじの折損、溶接部の破断など締結に関わるトラブルは少なくありません。
 ねじの折損を防ぐためにはねじの設計をおろそかにしてはなりません。たかが「ねじ」、されど「ねじ」なのです。設計者は材質の選定から強度設計まで確実に手順を踏んで行う必要があります。経験を過信せず、基本に忠実な設計をしなければなりません。加工者は設計者が描いた図面に忠実に加工しなければなりません。締結時をイメージしなければ、めねじの深さを間違えても気付かず、締結不良を起こしてしまいます。また、組立者は確実に締結できているか、手の感触と目で確認しなければなりません。締結不良のまま使用していると振動によりねじ部に緩みが生じます。この緩みはねじの折損のみならず周辺の部材にも影響を及ぼし大きなトラブルを引き起こす可能性があるのです。
 ねじの緩み対策としては、ばね座金、二重ナットなどがありますが、確実に機械的に固定する方法としては、ピンや小ねじを用いたり、舌付座金、溝付きナット、接着剤を使用することもあります。
 ピンは締結用として使用されるほか、キーと同様に動力伝達用としても使用されます。そして、過負荷でせん断され、機械を保護するための安全装置として使用するピンのことをシャーピンと呼びます。
 溶接継手を設計する場合には継手に作用する応力の算定が重要となります。溶接部の応力分布は複雑ですが、継手の強度計算は継手の「のど断面」に作用する応力について実施します。溶接には、融接(ガス溶接、アーク溶接、TIG溶接など)、固相接合(熱間圧接、冷間圧接、摩擦溶接など)、ろう接(はんだ付け、ろう付け(ろう材融点450℃以上))があり、目的に応じて使い分けられます。                             (2013.7.31)
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