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阿部技術士・労働安全コンサルタント事務所は、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。

TEL. 088-694-3482

〒771-1330 徳島県板野郡上板町西分字橋北16番地2

トピックス詳細36Topics detail

36-3)改むるに憚ることなかれ(実質GDP&実質経済成長率の推移)

 孔子は、人の上に立って政治を行う者の心掛けるべきことを次のように述べています。
 そして、「過ちを犯した場合には、ぐずぐずせず、すぐに改める」、このことは政治家に限ることなく、人として心掛けるべきことと考えます。

 
子 曰、「君 子 不重 則 不 威 。學 則 不固 。主忠 信。無己 者。過 則 勿改 。」    
                                      (論語・学而編)

子曰く、
 「君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ち
 ては則ち改むるに憚ること勿かれ。」と。             (出典:わかりやすい論語・孟子(鎌田正))
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図1.実質GDPと実質経済成長率の推移(1956~2018年)
(出典:本図は内閣府SNAサイトの「国民経済計算」を基に当事務所で作成)

    参考)GDPについて(内閣府ホームページより引用)
    GDP(Gross Domestic Product)=“国内”総生産
    GNP(Gross National Product)=“国民”総生産
    ※ 1993SNAの導入に伴い、GNPの概念はなくなり、同様の概念として“GNI(Gross National Income)=国民総
    所得”が新たに導入された。
    GDPは国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額。 “国内”のため、日本企業が海外支
    店等で生産したモノやサービスの付加価値は含まない。
    一方GNPは“国民”のため、国内に限らず、日本企業の海外支店等の所得も含んでいる。 以前は日本の景気を測
    る指標として、主としてGNPが用いられていたが、現在は国内の景気をより正確に反映する指標としてGDPが
    重視されている。

 図1は1956年から2018年までの実質GDPと実質経済成長率の推移を示しています。また、下段の表は、これまで「改むるに憚ることなかれ」で取り上げた企業等における不正の起点となった年度を示したものです。取り上げた不正には、リコール隠しやデータ偽装、検査データ改ざんなどがありますが、不正の起点は経済成長に陰りが見え始めた頃と一致しているようです。いわゆる高度経済成長期からバブル崩壊、バブル崩壊後の経済状況は概ね以下のようであったと考えます。
 1945年8月15日に終戦、7年の時を経て、1952年4月28日にサンフランシスコ講和条約が発効し、ようやく占領から解放され、主権を回復しました。日本国憲法は1946年に公布され、1947年5月から施行されています。この間、1950年には朝鮮戦争が勃発しています。
 いわゆる
高度経済成長期(1954年12月から1973年11月まで)の実質経済成長率は毎年約10%の右肩上がりで(図1、1956年~1973年の平均は約9.1%)増加。その後、1973年、中東戦争による第一次オイルショックや、1978年、イラン革命による第二次オイルショックの影響も受けましたが、実質経済成長率は約4%(図1、1974年~1990年の平均は約4.2%)で推移し、安定成長はバブル景気崩壊の1990年頃まで続きました。このような一連の経済成長は東洋の奇跡と呼ばれています。この間、東京タワーは1957年6月に着工し、1958年12月に完成。東海道新幹線は1959年4月に着工、1964年10月1日に営業運転を開始。その9日後の10月10日には東京オリンピックが開会。1970年には大阪で万国博覧会が開催されました。このように、高度経済成長期には国家規模のプロジェクトが次々と遂行されました。
 
バブル崩壊は1990年3月に通達された「土地関連融資の抑制について」に加えて、銀行の金融引き締めによる急激な信用収縮と景気後退により始まったとされていますが、2003年頃になり景気はようやく回復基調に転じました。
 しかし、企業では全般的に深刻な人手不足になっており、新卒採用の求人は増加しましたが、不景気のため、新卒の殆どが大企業志望で、終身雇用を求める安定志向の傾向にありました。このため、大企業の競争率が非常に高く、中小企業には新卒が応募してこない状況が続きました。 更に、米国の証券大手リーマンブラザーズの経営破綻を契機に世界金融危機が顕在化した2008年秋以降の求人数はバブル崩壊時よりも急激な落ち込みとなりました。
 このような
バブル崩壊以降、消費や雇用に悪影響を及ぼしデフレ状態になった経済のことを失われた10年とも、その後の世界金融危機を含めて失われた20年とも呼ばれています。
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 トピックス23)~23-3)、35)~35-17)、36}~36-3)まで続けてきた「改むるに憚ることなかれ」は、本項を持ちまして終了します。
 これまで取り上げた不正には、リコール隠しやデータ偽装、検査データ改ざんなどがあります。上述の通り、これらの不正の起点は経済成長に陰りが見え始めた頃と一致しているようです。

 毎回繰返してきたのですが、不正を起こすか起こさないかは「
不正が起こらないような企業風土の醸成不正ができない製造ラインの構築」の程度に大きな開きがあるように思われてなりません。
 専門的な知識のある担当者が、なぜ不正を起こしてしまったのか。再発防止には、一連の関係者の判断のどこに問題があったのかを明らかにすることが求められます。
 関係者の判断に
その場の空気が影響したのでしょうか?
 山本七平著「空気の研究」の中に、次のような件(くだり)があります。
   
「空気」とはまことに大きな絶対権を持った妖怪である。一種の「超能力」かも知れない。(中略)
   この「空気」なるものの正体を把握しておかないと、将来なにが起こるやら、皆目見当がつかないこと
   になる。

 組織の中で、「---------と思うが、どうか?」と上が言えば、それを受け、下は動かざるを得なくなるのではないでし
ょうか。ここは、
「どうか?」で止めてはいけないのです。その場の空気が関係者の判断に影響を及ぼすようではい
けないのです。時には、その場の空気に水を差すことができる組織風土(共有・伝承されている価値観・行動規範・信念
の集合)でなければならないのです。

 このように繰り返されている不祥事が ”品質立国日本” の信頼を揺るがしています。
2018年2月21日、日本品質管理学会、日本科学技術連盟、日本規格協会が共催し、経済産業省と日本経済団体連合会の後援を得て、早稲田大学小野記念講堂において、”品質立国日本”の揺るぎなき地位の確立と次世代への継承を目的に緊急シンポジウムが開催されました。
 日本品質管理学会誌「品質」(Vol.48,No,2,2018)には、ルポルタージュ「緊急シンポジウム”品質立国日本”を揺るぎなくするために~品質不祥事の再発防止を討論する~(緊急シンポジウム実行委員会)」が10ページに渡り掲載されています。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。 (2020.10.26)

36-2)改むるに憚ることなかれ(日立金属の場合①)

 孔子は、人の上に立って政治を行う者の心掛けるべきことを次のように述べています。
 そして、「過ちを犯した場合には、ぐずぐずせず、すぐに改める」、このことは政治家に限ることなく、人として心掛けるべきことと考えます。

 
子 曰、「君 子 不重 則 不 威 。學 則 不固 。主忠 信。無己 者。過 則 勿改 。」    
                                      (論語・学而編)

子曰く、
 「君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ち
 ては則ち改むるに憚ること勿かれ。」と。             (出典:わかりやすい論語・孟子(鎌田正))
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2020年4月27日、日立金属は、「 当社及び子会社の一部製品における 検査成績書への不適切な数値の記載等について」を、自社ホームページに掲載し、自動車部材などに使用される特殊鋼や磁石材料に検査データなどの品質不正があったことを発表しました。
 ホームページによると、不正は、安来工場、熊谷磁材工場、佐賀工場、子会社の株式会社 NEOMAX 九州、株式会社 NEOMAX 近畿や海外拠点などで製造した特殊鋼製品並びに磁性材料製品(フェライト磁石及び希土類磁石)の一部について行われ、いずれも顧客と契約していた品質基準に合うように検査データを書き換えたものを「検査成績書」として提出しています。
 不適切行為に係る製品は次のとおり。
 特殊鋼に係る製品、約30社、14品種。
 フェライト磁石に係る製品、約70社、約580品番の製品。
 希土類磁石に係る製品、リングマグネット型希土類磁石が約50社、約270 品番の製品、
            角型希土類磁石が約20社、約100品番の製品。
 なお、現時点では、本件起因の安全性及び性能に問題が生じた事案は確認されていないが、
不正の期間は、少なくとも10年以上前から継続していたと推定されるとしています。
 日立金属では、他社で品質問題が相次いだ2017年~2018年頃に社内監査を実施していました。この他社には、日立化成も含まれていましたが、不正を見抜くことはできませんでした。社外の弁護士3人で構成する特別調査委員会による全容解明が待たれます。
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 不正を起こすか起こさないかは「
不正が起こらないような企業風土の醸成不正ができない製造ラインの構築」の程度に大きな開きがあるように思われてなりません。
 専門的な知識のある担当者が、なぜ不正を起こしてしまったのか。再発防止には、一連の関係者の判断のどこに問題があったのかを明らかにすることが求められます。
 関係者の判断に
その場の空気が影響したのでしょうか?
 山本七平著「空気の研究」の中に、次のような件(くだり)があります。
   
「空気」とはまことに大きな絶対権を持った妖怪である。一種の「超能力」かも知れない。(中略)
   この「空気」なるものの正体を把握しておかないと、将来なにが起こるやら、皆目見当がつかないこと
   になる。

 組織の中で、「---------と思うが、どうか?」と上が言えば、それを受け、下は動かざるを得なくなるのではないでし
ょうか。ここは、
「どうか?」で止めてはいけないのです。その場の空気が関係者の判断に影響を及ぼすようではい
けないのです。時には、その場の空気に水を差すことができる組織風土(共有・伝承されている価値観・行動規範・信念
の集合)でなければならないのです。

 このように繰り返されている不祥事が ”品質立国日本” の信頼を揺るがしています。
2018年2月21日、日本品質管理学会、日本科学技術連盟、日本規格協会が共催し、経済産業省と日本経済団体連合会の後援を得て、早稲田大学小野記念講堂において、”品質立国日本”の揺るぎなき地位の確立と次世代への継承を目的に緊急シンポジウムが開催されました。
 日本品質管理学会誌「品質」(Vol.48,No,2,2018)には、ルポルタージュ「緊急シンポジウム”品質立国日本”を揺るぎなくするために~品質不祥事の再発防止を討論する~(緊急シンポジウム実行委員会)」が10ページに渡り掲載されています。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  (2020.5.22)

36-1)改むるに憚ることなかれ(自動車業界の場合②)

 孔子は、人の上に立って政治を行う者の心掛けるべきことを次のように述べています。
 そして、「過ちを犯した場合には、ぐずぐずせず、すぐに改める」、このことは政治家に限ることなく、人として心掛けるべきことと考えます。

 
子 曰、「君 子 不重 則 不 威 。學 則 不固 。主忠 信。無己 者。過 則 勿改 。」    
                                      (論語・学而編)

 子曰く、
 「君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ち
 ては則ち改むるに憚ること勿かれ。」と。             (出典:わかりやすい論語・孟子(鎌田正))

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 図1は、2015年以降、印象に残った不祥事をまとめたものです。

 自動車業界で問題となっている不正は検査燃費に関するものです。
 検査に関わる不正は、製品出荷前の完成車検査を資格を有しない社員が行っていた問題のことで、日産自動車とスバルで行われていました。
 燃費に関わる不正は、独フォルクスワーゲン(VW)社で行われ、2015年9月に発覚しました。排ガス規制逃れの違法ソフトウェアを搭載したもので巨額な補償問題へと発展しました。その後、日本でも複数のメーカーから完成車の抜取検査において試験データの改ざんなどの不適切な取り扱いが行なわれていたことが公表されています。
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図1.2015年以降、
  印象に残った不祥事(15件)

 本項では、特に、日本における燃費に関わる不正について、発覚から現在までの大まかな経過を辿ってみます。   
 2016年:三菱自動車工業の燃費試験データ改ざん問題発覚
 2016年:スズキの法令で指定されていない独自の燃費測定問題発覚
 2018.6.5:SUBARU(スバル)が完成車の検査工程で、新たな不正が見つかったと発表。4月末に書き換え問題の
      報告書を公表した際には、吉永社長は「現時点で他に調査が必要な事案はない」としていた。
 2018.7.9:日産自動車が完成検査時の燃費・排出ガスの測定に関する調査の中で、日産自動車九州以外の国内全車両
      製造工場において製造された車両について、一部の排出ガス・燃費測定試験において以下の不適切な行為が
      あったことを公表した。
     (1)試験環境を逸脱した排出ガス・燃費測定試験を行っていた
     (2)測定値を書き換えて、検査報告書を作成していた
 2018.7.9:国土交通省は、燃費・排ガスの抜取検査で、スバル、日産自動車の不正が発覚したことを受け、自動車
      メーカー、輸入車業者に不正がないか調査・報告するよう要請。
 2018.8.8:スズキが完成車の燃費・排ガスの抜取検査において、四輪車6401台で不適切な取扱いがあったと国土交通
      省に報告した。
 2018.8.8:ヤマハ発動機が完成車の燃費・排ガスの抜取検査において、二輪車7台で不適切な取扱いがあったと国土交
      通省に報告した。
 2018.8.9:マツダが完成車の燃費・排ガスの抜取検査において、72台で不適切な取扱いがあったと国土交通省に報告
      した。
 2018.9.26:日産自動車が、完成検査における抜取検査の不適切な取扱いについての詳細調査結果についてとりまとめ
      国土交通省に報告。今回の事案に関する調査結果及び日産自動車としての認識、並びに再発防止策の概要は
      日産自動車ホームページ参照。
 2018.9.28:SUBARU(スバル)が検査不正に関する最終報告書を国土交通省に提出。燃費・排ガス測定データの
      改ざんが遅くとも1990年代前半から行われていた可能性が高いこと、また、ブレーキやメーターの検査に
      関する新たな不正(手順の逸脱)があったことも合わせて公表した。
◆◆◆2018年12月7日~(追記)◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 2018.12.5:フォルクスワーゲングループジャパンが燃費検査の不正を公表。
 2018.9.6:日産自動車で、新車の出荷前の検査に関わる新たな不正が見つかった。ブレーキなど複数の項目に関わる
      可能性があり、対象車のリコールの届け出を視野に入れている。再発防止策が機能していなかった。
 2019.4.12:スズキが車の検査で制動力が不十分なブレーキでも合格とするなどの不正があったとして約200万台のリ
      コールを実施すると発表。ブレーキのほか速度計でも必要な検査項目の省略や無資格の従業員が検査員の印
      鑑を使用していた。また、自社調査に対し、現場が事実を隠蔽した事例もあった。検査データの捏造のほか
      立ち会っていない上司の検査員の流用も判明しており、品質保証意識の欠落の体質がはびこり、不正が繰り
      返された実態が浮き彫りになった。
 国内自動車8社(トヨタ、日産、ホンダ、三菱自工、マツダ、スズキ、ダイハツ、SUBARU)の内、これらの
問題
を引き起こしていないのは、トヨタ自動車、ダイハツ、ホンダの3社のみ
となりました。不正を起こすか起こさな
いかは「
不正が起こらないような企業風土の醸成不正ができない製造ラインの構築」の程度に大きな開きが
あるように思われてなりません。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 専門的な知識のある担当者が、なぜ不正を起こしてしまったのか。再発防止には、一連の関係者の判断のどこに問題があったのかを明らかにすることが求められます。
 関係者の判断に
その場の空気が影響したのでしょうか?
 山本七平著「空気の研究」の中に、次のような件(くだり)があります。
   
「空気」とはまことに大きな絶対権を持った妖怪である。一種の「超能力」かも知れない。(中略)
   この「空気」なるものの正体を把握しておかないと、将来なにが起こるやら、皆目見当がつかないこと
   になる。

 組織の中で、「---------と思うが、どうか?」と上が言えば、それを受け、下は動かざるを得なくなるのではないでし
ょうか。ここは、
「どうか?」で止めてはいけないのです。その場の空気が関係者の判断に影響を及ぼすようではい
けないのです。時には、その場の空気に水を差すことができる組織風土(共有・伝承されている価値観・行動規範・信念
の集合)でなければならないのです。
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このように繰り返されている不祥事が ”品質立国日本” の信頼を揺るがしています。
2018年2月21日日本品質管理学会、日本科学技術連盟、日本規格協会が共催し、経済産業省と日本経済団体連合会の後援を得て、早稲田大学小野記念講堂において、”品質立国日本”の揺るぎなき地位の確立と次世代への継承を目的に緊急シンポジウムが開催されました。
 日本品質管理学会誌「品質」(Vol.48,No,2,2018)には、ルポルタージュ「緊急シンポジウム”品質立国日本”を揺るぎなくするために~品質不祥事の再発防止を討論する~(緊急シンポジウム実行委員会)」が10ページに渡り掲載されています。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  (2019.6.24)

36)改むるに憚ることなかれ(レオパレス21の場合)

 孔子は、人の上に立って政治を行う者の心掛けるべきことを次のように述べています。
 そして、「過ちを犯した場合には、ぐずぐずせず、すぐに改める」、このことは政治家に限ることなく、人として心掛けるべきことと考えます。

 
子 曰、「君 子 不重 則 不 威 。學 則 不固 。主忠 信。無己 者。過 則 勿改 。」    
                                      (論語・学而編)

 子曰く、
 「君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ち
 ては則ち改むるに憚ること勿かれ。」と。             (出典:わかりやすい論語・孟子(鎌田正))

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 2005年11月17日、国土交通省は千葉県にあった建築設計事務所の元一級建築士が、構造計算書を偽造していたことを公表しました。構造計算書とは地震などに対する安全性の計算を記したものですが、建築基準法に定める耐震基準を満たさないマンションやホテルなどが建設されていたという事実が明るみに出されました。一連の事件は構造計算書偽造問題(又は耐震偽装問題)と呼ばれています。耐震偽装は建物を所有したり利用したりする人の命や財産に関わるものであることから大きな社会問題となりました。
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2019年2月7日、株式会社レオパレス21はホームページに以下の内容を公表(一部引用)しています。
         
株式会社レオパレス21は、2018年4月27日付及び2018年5月29日付のニュースリリースの通り、
       一部の当社施工物件で界壁にかかる建築基準法に違反の疑いのあるものが発見されたことから、すべての
       当社施工物件に対する調査(以下「全棟調査」)および補修工事を行なう旨をお知らせ致しました。
        その後の全棟調査の過程で、新たに、法令違反が疑われる複数の不備が確認されたため、以下、その詳
       細と今後の当社の対応についてご報告致します。(略)
        2. 新たに確認された不備内容

         
(1)不備の概要
          ① 界壁内部充填材の相違について 全棟調査の過程で、当社が
1996年6月12日から2001年9月
           17日までに着工
したゴールドレジデンス、(略)
          
② 外壁構成における大臣認定との不適合について 「GR」、「NGR」と、1999年9月14日から
           2001年2月9日までに着工
したヴィラアルタ(略)
          
③ 天井部施工について 全棟調査の過程で、当社が 1996年3月16日から2001年1月22日まで
           に着工
した「GR」のうち、(略)
 今回の不正は民放の独自取材により発覚したとのことです。レオパレス21の不正と耐震偽装問題を同列に比較すべきではないかもしれませんが、レオパレス21は建築基準法違反の耐震偽装問題が発覚する以前から建築基準法違反の疑いがあるマンションを建設していたことになります。

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専門的な知識のある担当者が、なぜ不正を起こしてしまったのか。再発防止には、一連の関係者の判断のどこに問題があったのかを明らかにすることが求められます。
 関係者の判断に
その場の空気が影響したのでしょうか?
 山本七平著「空気の研究」の中に、次のような件(くだり)があります。
   
「空気」とはまことに大きな絶対権を持った妖怪である。一種の「超能力」かも知れない。(中略)
   この「空気」なるものの正体を把握しておかないと、将来なにが起こるやら、皆目見当がつかないこと
   になる。

 組織の中で、「---------と思うが、どうか?」と上が言えば、それを受け、下は動かざるを得なくなるのではないでし
ょうか。ここは、
「どうか?」で止めてはいけないのです。その場の空気が関係者の判断に影響を及ぼすようではい
けないのです。時には、その場の空気に水を差すことができる組織風土(共有・伝承されている価値観・行動規範・信念
の集合)でなければならないのです。
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 このように繰り返されている不祥事が ”品質立国日本” の信頼を揺るがしています。
2018年2月21日、日本品質管理学会、日本科学技術連盟、日本規格協会が共催し、経済産業省と日本経済団体連合会の後援を得て、早稲田大学小野記念講堂において、”品質立国日本”の揺るぎなき地位の確立と次世代への継承を目的に緊急シンポジウムが開催されました。
 日本品質管理学会誌「品質」(Vol.48,No,2,2018)には、ルポルタージュ「緊急シンポジウム”品質立国日本”を揺るぎなくするために~品質不祥事の再発防止を討論する~(緊急シンポジウム実行委員会)」が10ページに渡り掲載されています。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  (2019.2.24)

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