3)拙政園と寒山寺
蘇州は250年以上の歴史を有する古都であり,「上有天堂、下有蘇杭(天には極楽があり、地には蘇州、杭州がある)」と伝えられている。世界遺産に指定されている名園の「拙政園」と唐代の詩人、張継が七言絶句「楓橋夜泊」を詠んだ 「寒山寺」を訪れた。
拙政園は明代の高官、王献臣が1509年に建設した水がテーマの庭園である。庭園の面積は約5万㎡、8年がかりで建設された。中国には名園が多い。拙政園は蘇州の4大名園(拙政園、留園、獅子林、滄浪亭)にも,中国の4大名園(頣和園、拙政園、避暑山荘、留園)にも数えられている。これらの名園はすべて世界遺産に登録されている。
拙政園
(2010.5.18撮影)
寒山寺は臨済宗の仏教寺院で、南北朝時代の梁(南朝)の天藍年間(502~519年)、武帝の時代に「妙利普陀塔院」として創建された。その後、戦災、火災により焼失したが、再建を繰り返し、現在の寒山寺は清末の1906年に程徳全が再建したものである。
楓橋夜泊(張継)
月落烏啼霜満天 月落ち、烏啼きて、霜、天に満つ
江楓漁火対愁眠 江楓(こうふう)、漁火(ぎょか)、愁眠(しゅうみん)に対す
姑蘇城外寒山寺 姑蘇(こそ)、城外の寒山寺
夜半鐘聲到客船 夜半の鐘声(しょうせい)、客船(かくせん)に到る
寒山寺
(2010.5.18撮影)
寒山寺
釈迦如来像(大雄宝殿)(2010.5.18撮影)
日本でよく読まれた漢詩の選集には唐詩選と三体詩があるが、楓橋夜泊は両方に収載されている。
唐詩選は唐代の詩人127人の詩選集であり、全7巻に465首が収載されている。日本には江戸初期に渡来し、漢詩の入門書として盛んに読まれた。三体詩は唐代の詩人167人の作を七言絶句、七言律、五言律の三体に分けて編纂した書である。七言絶句は漢詩形の一つで、七言四句からなる近体詩である。唐代(628~907年)に発達し、盛唐以後、最も盛んになった。
(2012.11.14)