21)スイスチーズモデル (The 'Swiss Cheese' Model of Defences)
写真1に示したようにある種のスイスチーズにはブロックに「眼」(eyes)と呼ばれる穴が開いた独特の外観をしています。
英国マンチェスター大学教授のJames Reason は「Managing the Risks of Organizational Accidents」の中で、このスイスチーズ(図1及び2参照)を用いて多重に備えた防護壁が破られるメカニズムを説明しています。
James Reasonの組織事故の考え方については日本品質管理学会の「人間行動に起因する事故・品質トラブル未然防止のための方法論の体系化」の中でも「リーズンのアプローチ」として紹介されています。
・穴は既に空いた状態になっているもの(潜在的原因)があり、多重防護のうちの幾つかは既に直線状に貫通した状態
にあります。最期の1枚が即発的エラーとして潜り抜けたとき、事故は発生します。
・潜在的に空いている穴は、一定の位置に留まるのではなく、移動や発生・消滅を繰り返します。問題は穴が開くこと
ではなく、潜在的原因となる穴が放置されていることであり、それらを如何に発見し塞ぐかが事故の未然防止に必要
となります。組織事故として解析することの重要性は、即発的エラーだけでなく、これら潜在的原因も同時に明らか
にし、対策をとるところにあるといえます。潜在的な原因の多くが組織的な要因だからです。
当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。
写真1.スイスチーズ
(出典:Wikipedia)
図1.The ideal and the reality for defences-in-depth
(出典:Managing the Risks of Organizational Accidents、
James Reason)
図2.An accident trajectory passing through corresponding holes in the layers
of defences,barriers and safeguards.
(出典:Managing the Risks of Organizational Accidents、
James Reason)
(2013.6.26)