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阿部技術士・労働安全コンサルタント事務所は、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。

TEL. 088-694-3482

〒771-1330 徳島県板野郡上板町西分字橋北16番地2

安全情報メモ35Safety information

35)玉掛け作業(労働災害事例)

 職場の安全サイト(http://anzeninfo.mhlw.go.jp/index.html)には安全に関わる各種のデータベースがあります。そして、災害事例として、労働災害事例、死亡災害データベース、労働災害(死傷)データベース、ヒヤリ・ハット事例、機械災害データベースが挙げられています。

 特に、労働災害事例では、2013.10.29現在、2329件の死亡災害や重大災害などの事例について、発生状況や発生原因、そして対策がイラスト付きで紹介されています。これらの事例は、業種、事故の型、起因物、キーワードを入力することにより検索し、詳細を確認することができます。

 そこで、業種、事故の型は指定せず、起因物を「」、キーワードを「玉掛け」として、検索したところ、以下のとおり、12件抽出できました。

@鉄骨をトラックから荷降ろし作業中、鉄骨が荷台上で横転し、荷台上にいた玉掛け者が鉄骨とともに転落し死亡
A船内荷役作業中、船倉内の積荷が崩落して作業者に撃突
B船に積み込むスチールコイルの仮置場で下敷きになる
C積載型トラッククレーンで板ガラス梱包ユニットを積込中、ユニットが倒れる
Dトラックの荷台から転がった荷とともに落下し、その下敷となる
E移動式クレーンを使用し、建築中の建物内の開口部から荷を下ろす作業中に吊り荷の一部が落下
Fリース用の仮設資材の移動中に荷が崩壊
G機械を搬出するためジャッキアップしたところ機械が倒れ下敷きとなる
H鋳物の型ばらし作業中、傍らに積み重ねていた金枠が崩壊
I仮置きしたH鋼が倒壊
Jブリキ製シートの積み込み作業中、崩れたシートにはさまれて死亡
K船倉内における積荷の崩壊

玉掛け作業とは玉掛け用具を用いて行う荷掛け、荷外しなどの一連の作業のことです。玉掛け用具には 吊りチェーン、フック、シャックル、リング、アイ、ワイヤロープ、繊維ロープ、繊維ベルトなどがあります。これらの玉掛け用具を使用する各種のクレーン等の運転者と玉掛け作業者は緊密に連携しながら作業を行わなければなりません。そして、安全な玉掛け作業をするためには玉掛け用具を使用する各種のクレーン等に関する知識の習得が不可欠となるので、注意が必要です。

 ところで、平成12年2月24日、基発第96号「玉掛け作業の安全に係るガイドラインの策定について」が各都道府県労働基準局長あてに発出されています。
 以下はその内容です。
 詳細は(URL http://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-41/hor1-41-1-1-0.htm)に記載されています。

   玉掛け作業は、製造業、建設業等において、日常的に頻繁に行われる作業であり、最近10年間のクレーン及び移
  動式クレーンに係る死亡災害の発生状況を見ると、不適正な玉掛け方法等が原因とみられる災害による死亡者が毎年
  50人程度となっている。その内容をみると、玉掛け方法が適切でなかったためにつり荷が落下したものや、劣化あ
  るいは損傷した玉掛け用具を使用したために、玉掛け用具が破損し、つり荷が落下したもの等基本的な玉掛け作業に
  おける安全上の措置が不十分であったものがみられる。また、つり上げ荷重が小さいクレーンや1t未満の比較的軽い
  つり荷に係る玉掛け作業においても死亡災害が相当数発生している。  
   このような状況を踏まえて、今般、玉掛け作業に起因する労働災害を防止するため、玉掛け者はもちろんのこと、
  クレーンの運転者、合図者等の玉掛け作業に関わる労働者の基本的な作業分担、作業の実施に際しての留意事項等を
  取りまとめた「玉掛け作業の安全に係るガイドライン」を
別添のとおり策定したので、関係事業者に対し、本ガイ
  ドラインの周知徹底を図り、玉掛けに関連する労働災害防止の一層の推進を図られたい。  
   なお、本ガイドラインについては、別紙のとおり労働災害防止団体等あて要請を行っているので、了知されたい。

 別添
の「玉掛け作業の安全に係るガイドライン」は3章からなっています。
 詳細は(URL http://www.jaish.gr.jp/horei/hor1-41/hor1-41-1-1-2.html)に記載されています。
  主な項目は次のとおりです。

    第1 目的  本ガイドラインは、労働安全衛生関係法令と相まって、クレーン、移動式クレーン、デリック又は
      揚貨装置(以下「クレーン等」という。)の玉掛け作業等について安全対策を講じることにより、玉掛け作業
      等における労働災害を防止することを目的とする。
    第2 事業者等の責務  玉掛け作業を行う事業者は、本ガイドラインに基づき適切な措置を講じることにより、
      玉掛け作業等における労働災害の防止に努めるものとする。 玉掛け作業に従事する労働者は、事業者が本
      ガイドラインに基づいて行う措置に協力するとともに、自らも本ガイドラインに基づく安全作業を実施する
      ことにより、玉掛け作業等における労働災害の防止に努めるものとする。
    第3 事業着が講ずべき措置
      1 作業標準等の作成
      2 玉掛け等作業に係る作業配置の決定
      3 作業前打合せの実施  
       事業者は、玉掛け等作業を行うに当たっては、玉掛け作業責任者に、関係労働者を集めて作業開始前の打
       合せを行わせるとともに、以下に掲げる事項について、玉掛け等作業に従事する労働者全員に指示、周知
       させること。
       (1) 作業の概要
       (2) 作業の手順
      4 玉掛け等作業の実施  
       事業者は、玉掛け等作業の作業中においては、各担当者に以下に掲げる事項を実施させること。
       (1) 玉掛け作業責任者が実施する事項
       (2) 玉掛け者が実施する事項
       (3) 合図者が実施する事項
       (4) クレーン等運転者が実施する事項
      5 玉掛けの方法の選定  
       事業者は、玉掛け作業の実施に際しては、玉掛けの方法に応じて以下の事項に配慮して作業を行わせるこ
       と。
       (1) 共通事項
       (2) 玉掛け用ワイヤロープによる方法  
       (3) クランプ、ハッカーを用いた方法
      6 日常の保守点検の実施  
       事業者は、玉掛け用ワイヤロープ等の玉掛用具について、以下に従って点検及び補修等を行うこと。
       (1) 玉掛用具に係る定期的な点検の時期及び担当者を定めること。
       (2) 点検については別紙の点検方法及び判定基準により実施するとともに、点検結果に応じ必要な措置を
         講じること。
       (3) 点検の結果により補修が必要な場合は、加熱、溶接又は局所高加圧による補修は行わないこと。
       (4) 玉掛用具の保管については、腐食、損傷等を防止する措置を講じた適切な方法で行うこと。


 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。 (2013.10.29)                                            

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