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阿部技術士・労働安全コンサルタント事務所は、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。

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技術情報メモ46Technical information

46)事故・トラブルの未然防止(第1回 情報収集)

 品質の良い製品を安く、タイムリーに供給しなければ顧客の信頼は得られません。このため、ものづくりの現場では、人や機械、材料などの工場の資源を経済的に運用し、生産合理化を目指しています。
 しかし、ものづくりの現場ではいろいろなトラブル、事故が発生しています。原因が究明され、再発防止対策が講じられているものがある反面、新たな原因による新たなトラブルが後を絶たないのが現実ではないでしょうか。これらについては対策が不完全であったと反省し、新たに対応すればよいと思います。対策が的確になればトラブルは時間と共に減少し、生産性の向上に繋がることになります。そこで、事故・トラブルの未然防止の進め方について数回に分けて考えてみたいと思います。

 ここでは、第1回目として「情報収集」について紹介します。
事故・トラブルなどの失敗を活かすためには情報を整理し、伝えることができる形にしなければなりませんが、本項(事故・トラブルの未然防止)ではその手順の一例を紹介します。図1.は手順のフローを示したものです。トラブル情報の収集からトラブルの未然防止システムの確立までを示しています。

図1.未然防止システムの確立手順


@トラブル情報の収集
  発生したトラブルを分類し、時系列に並び替え、そのトラブルの軽重を判断する。 
  製造工程ではチョコ停から長時間停止まで種々のトラブルが発生している。

   ●チョコ停   
    自動化設備においてワークに対する搬送、加工又は組立などの自動作業を行う際、一時的な不具合により設備の
    持つ機能が一時的に停止する状態であり、以下の条件を満たす不具合を指す。    
    但し、ここでいう「設備の持つ機能が一時的に停止する状態」は設備停止の場合と設備空転の場合を含む。
    
    一時的に停止した設備機能は人間が介在しない限り自動的には復帰できない。
    
    一時的にに停止した設備機能の復帰は設備部品の交換を行う必要がなく、短時間かつ簡便な処置(異常ワークの
    除去、ワークの再セット、設備の再起動など)によって済む。

   ●チョコ停以外の停止
    1)慢性的に発生
      原因は判明しているが、現在の技術では対応できないことが多い。比較的短時間で復旧できる。    
      原因不明のもの。チョコ停から長時間停止まで幅が広い。  
    2)突発的に発生    
      原因の推定が容易な場合が多い。創業から一年以上経過し、比較的安定期に入った製造設備において機械要
      素の寿命、溶接不良等の構造欠陥、設計製作に起因する欠陥により発生するトラブルである。    
      長時間停止や品質異常になりそうなものは何度か発生し、その内、恒久対策できるものは完了していること
      が多い。

(参考資料T)
   生産性は生産活動への投入量と産出量を用いて、次式で求められます。
    
生産性=産出量/投入量
   一般的に、共通的な尺度で統一した次式の総合生産性を用います。
    
総合生産性=売上金額あるいは生産金額/(労働投入金額+設備投入金額+原材料投入金額)
    
(出典:機械実用便覧)
   生産管理の役割はこの総合生産性を向上させることを目的にしています。総合生産性を向上させることは合理的に
  工場の生産を行うことにほかなりません。そして、品質(Q)・コスト(C)・納期(D)に要約される生産合理化の目標を
  達成するために、人、機械、材料などの工場の資源を経済的に運用することも生産管理の役割なのです。

(参考資料U)
   広辞苑によると「情報とは判断を下したり行動を起こしたりするために必要な、種々の媒体を介しての知識。」と
  されています。
   中国、呉の時代、孫武(孫子)が説いた兵法書(1巻、13篇)に次の件(くだり)があります。
     「---故に曰く、彼を知りて己を知れば百戦して殆うからず、彼を知らずして己を知れば一勝一負す。
     彼を知らず己を知らざれば戦う毎に必ず殆うし。
(出典:「孫子」謀攻篇五(金谷治訳注))」
          ここで「彼」を「機械装置或いはトラブルの予兆など」、「己」を「オペレータの機械装置習熟度
          或いはトラブル対処の技能」と読み替えると次のようになります。
          「彼」を知り、「己」を知っているオペレータは的を得たトラブル対処ができます。
          「彼」を知らなくても「己」を知っているオペレータは巧くいったり、いかなかったりですが、 
          まあ、勝率5割は確保できます。しかし、「彼」も知らず、「己」も知らないオペレータは
          必ず失敗します。
  このように、ものづくりの現場では「彼」を知り、「己」を知ることが必要になりますが、孫子は情報の重要性にも
  触れています。 

 当事務所ではものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。                                     (2013.12.7)
                                           

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