47)事故・トラブルの未然防止(第2回 パレート分析)
品質の良い製品を安く、タイムリーに供給しなければ顧客の信頼は得られません。このため、ものづくりの現場では、人や機械、材料などの工場の資源を経済的に運用し、生産合理化を目指しています。
しかし、ものづくりの現場ではいろいろなトラブル、事故が発生しています。原因が究明され、再発防止対策が講じられているものがある反面、新たな原因による新たなトラブルが後を絶たないのが現実ではないでしょうか。これらについては対策が不完全であったと反省し、新たに対応すればよいと思います。対策が的確になればトラブルは時間と共に減少し、生産性の向上に繋がることになります。そこで、事故・トラブルの未然防止の進め方について数回に分けて考えてみたいと思います。
ここでは、第2回目として「パレート分析」について紹介します。
事故・トラブルなどの失敗を活かすためには情報を整理し、伝えることができる形にしなければなりませんが、本項(事故・トラブルの未然防止)ではその手順の一例を紹介します。図1.は手順のフローを示したものです。トラブル情報の収集からトラブルの未然防止システムの確立までを示しています。
図1.未然防止システムの確立手順
Aパレート分析
問題とする事象をいくつかの項目でとらえ、項目ごとの値を棒の高さで表し、その高さの順に並べた棒グラフとそれぞれの棒の高さを累積した折れ線グラフで表した図を用いるものである。この図をパレート図とよび、これを用いたパレート分析は比較的簡便に使用でき、問題とする事象の中で重点となる項目を見つけ出すのに用いられる。収集したトラブル情報の中からアクションの対象 項目を見出し、優先順位をつけるには最適な手法である。 発生したトラブルを分類し、時系列に並び替え、そのトラブルの軽重を判断する。
図2はパレート図の一例を示したものである。改善目標の設定と改善項目が1つのグラフ(パレート図)から読み取ることができるため品質向上の道具としてよく使用されている。
図2.パレート図の例
(グラフタイトル、項目などは非表示としています。)
(参考資料T)
パレート図はイタリアの経済学者、パレート(V.Pareto)の「所得曲線の法則」と
アメリカの統計学者、ローレンツ(M.O.Lorenz)の「所得の不均等曲線」を、
アメリカの経営コンサルタント、ジュラン(Dr.J.M.Juran)が「不良改善の有力な手法」として
紹介、普及しました。
当事務所ではものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。 (2013.12.8)