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阿部技術士・労働安全コンサルタント事務所は、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。

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〒771-1330 徳島県板野郡上板町西分字橋北16番地2

トピックス詳細27Topics detail

27)形勢逆転(孫子 形篇&勢篇)

 品質の良い製品を安く、タイムリーに供給しなければ顧客の信頼は得られません。このため、ものづくりの現場では、人や機械、材料などの工場の資源を経済的に運用し、生産合理化を目指しています。
 しかし、ものづくりの現場ではいろいろなトラブル、事故が発生しています。原因が究明され、再発防止対策が講じられているものがある反面、新たな原因による新たなトラブルが跡を絶たないのが現実ではないでしょうか。これらについては対策が不完全であったと反省し、新たに対応すればよいと思います。対策が的確になればトラブルは時間と共に減少し、生産性の向上に繋がることになります。
 そこで、必要になるのは発生した事故や品質トラブルの再発防止或いは未然防止対策です。応急処置や恒久対策など状況により対応は異なります。

 
中国、呉の時代、孫武が説いた兵法書『孫子』(13篇)の第4篇は「形 篇」、第5篇は「勢 篇」です。「形 篇」には、「軍の形(態勢)」について、「勢 篇」には、軍の形(態勢)から発動する「戦いの勢」について記載されています。(出典:「孫子」(金谷治訳注))」

 ここでは、分かり易くするために図1のように事故や品質トラブル発生時の対応手順と対比してみました。

 事故や品質トラブルが発生すると発生原因の調査と再発や未然防止対策の検討が始まります。この際、例えば、調査委員会のようなものが組織されますが、この組織は嘘をついたり、隠したり、辻褄合わせをするような組織であってはなりません。公平かつ公正に真実が追求できる組織の態勢でなければなりません。どのような問題にでも粘り強く対応できる態勢を整える必要があるのです。そうすることで初めて事故や品質トラブルの真の原因に近づけるのです。
 そして、この組織の行動は、客観的事実によってのみ評価されるものでなければなりません。ものづくりの現場では、例えば、5ゲン主義(古畑)や、これに現人(畑村)を加えて、発生原因に迫ります。このとき、信頼できるのは客観的な事実のみなので、迅速な情報収集が必要になります。

 このように原因究明と再発防止対策が適切に行なわれるためには組織の態勢つくりが極めて重要になります。態勢が整っていない組織の行動ではデータが不完全になり、真実に迫ることができません。

 また、真実に迫るすべての行動は、PlanーDoーCheck-Act でなければなりません。このような手順を踏むことで、あらゆるロスを少なくすることができるのです。迂直の計を忘れてはなりません。真実に迫る行動の前途には多くの障害が立ちはだかりますが、勢をもって行動することにより困難な状況のブレークスルーが可能になります。形勢逆転のチャンスは飽くなき探求心をもって真摯に取り組む態勢にこそ巡ってくるものです。

図1.得失の計
(出典:「孫子」形篇(一)・勢篇(四),(六)(金谷治 訳注))を事故等発生手順と対比して表現(当事務所))

 なお、作者の孫武については諸説あるようですが、wikipediaには次のように記載されています。
 
「金谷治は、『孫臏兵法』に「孫氏の道」とあることから、孫武を中心にした孫氏学派のような兵法家集団がおり、
  今の孫子兵法は孫武の作に兵法家たちが付加して成立したものだと考えており、天野鎮雄は、孫子兵法の重複部分を
  削ったものが、おそらく孫武の真作に近い部分ではないかと考え、「原孫子」を推定している。」

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  (2014.4.9)
                                           

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