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トピックス詳細38Topics detail

38)天知,神知,我知,子知(後漢書・楊震伝)/天網恢恢,疏而不失(老子・第73章)

 広辞苑によると、「後漢書は、二十四史の一つ。後漢の事跡を記した史書。本紀10巻、列伝80巻は南朝の宋の范曄(398〜445)の撰。432年頃成立。志30巻は晋の司馬彪の「続漢書」の志をそのまま採用した。その「東夷伝」には倭に関する記事がある。」とあります。
 表題の前半「天知、神知、我知、子知(後漢書楊震伝)」は、原文の「至夜懷金十斤、以遺震。震曰、故人知君、君不知故人、何也。密曰、暮夜無知者。震曰、天知、神知、我知、子知、何謂無知。密愧而出。」から引用したもの。
 原文の書き下しは、「夜に至り金十斤を懐にし、以って震に遺らんとす。震曰く、「故人君を知る、君故人を知らざるは、何んぞや」と。密曰く、「暮夜なれば知る者無し」と。震曰く、「天知る、神知る、我知る、子知る、何んぞ知るもの無しと謂うや」と。密愧じて出ず。(注:震 … 楊震。54〜124。後漢の政治家。密 … 王密。昌邑の長官。暮夜 … 夜中)」となります。(参考:Wikipedia「後漢書楊震伝」)
 表題の後半「
天網恢恢,疏而不失(老子・第73章)」は、原文の「勇於敢、則殺、勇於不敢、則活。此兩者或利或害。天之所惡、孰知其故。「是以聖人猶難之」。天之道不爭而善勝、不言而善應、不召而自來、■然而善謀。天網恢恢、疏而不失。」から引用したもの(■は糸偏に旧字の単で、「せん」、ゆっくりするの意)。
 原文の書き下しは、「敢えてするに勇なれば則ち殺され、敢えてせざるに勇なれば則ち活く。此の兩つ者(ふたつは)或いは利あり或は害あり。 天の惡む所、孰か其の故を知らん。 是を以て聖人すら猶之を難しとす。 天の道は、爭わずして而も善く勝ち、言わずして而も善く應じ、召かずして而も自ら來たり、■然(のろのろ)として而も善く謀る。 天網は恢恢(ひろびろ)、疏(まばら)にして而も失はず。」となります。(参考:老子訳注(任継愈、坂田祥伸、武田秀夫)
「老子は、すべては自然にうまく配置されているのであり、人間はただ自然の配置に随順することができるだけであり、争うことがあってもいけない。することがあってもいけない。言うことがあってもいけない。そうであってこそ逆に利益を手にしうる、と考える。作為があれば、かえって不利な結果がもたらされる」と解説されています。

 二人の間だけの秘密であっても、それは、天も知り、神も知り、我も知り、相手も知っているので、いつかは他に漏れるものです。漏れないと思っていても、不正や悪事は、いつかは必ず世間の人に知られるようになります。隠したり、嘘をついたり、辻褄合わせをしても、作為がある秘密は必ず漏れるものと心得ておかなければなりません。改めるのを憚るとどのようになるのでしょうか。天罰覿面、悪事の報いはわが身に跳ね返ってくるのです。
 図1は実質GDPと実質経済成長率の推移のグラフに、「改むるに憚ることなかれ」で採り上げたトピックスの起点になる年度を朱記したものです。改めずに続けてきた結果、どのようになったのか、
本項では、これまで、「改むるに憚ることなかれ」で採り上げてきた具体的な事例
トピックス23)〜23-3)、35)〜35-17)、36)〜36-3))などを中心に、随時、紹介したいと考えています。
 因みに、労働災害が発生した場合、次に述べる刑事責任、民事責任、社会的責任並びに行政処分等への対応の責任が問われます。「そんな法律があるなんて知らなかった」は通用しないのです。
1)刑事責任
 刑事責任とは、一定の違法行為に基づいて刑罰を受けなければならない法律上の地位のことで、災害が発生すると、労働基準監督署が発生状況や原因等の調査を行います。そして、労働安全衛生法違反の疑いがある場合、労働基準監督官は特別司法警察職員としての捜査を行い、結果によっては、実施行為者とともに事業者も送検されます。また、警察による業務上過失致死傷の違反の有無などについても捜査が行われ、労働基準監督機関及び警察機関から管轄の地方検察庁へ送致されます。そして、送致された事件は、担当検察官により起訴するかどうかについて聴取、調査などが行われます。
2)民事責任
 民事責任とは、債務不履行又は不法行為による損害賠償責任のことで、労働災害の場合、災害によって被った労働者の身体、生命、健康などの損害について事業者に対して賠償請求できます。この際、最も多く問われているのは債務不履行(安全配慮義務違反)の問題です。即ち、事業者が安全管理に万全を尽くしていないために発生した災害については、労働安全に関する法令違反がなくても被災者等の利害関係者から安全配慮義務違反として損害賠償責任を問われることがあります。このため、安全配慮義務を果たすためには法定基準を守るだけではなく、災害を予見し、結果(災害)を回避することが可能な災害防止措置を講じなければならないのです。近年、対象は過労自殺、健康への配慮、セクハラ、パワハラへの対応等にも及んでいます。(参考:陸上自衛隊事件、川義事件)
3)社会的責任
 例えば、事業場内で発生した災害の発生や危険物や有害物の発散などにより近隣住民に直接もしくは間接に損害を与えた場合、企業は経済的損失を抱えるだけでなく、被害を被った住民から厳しく責任を追及されます。ISO26000に規定されているCSR(企業の社会的責任)には、労働における安全衛生も重要な事項となっています。企業は、安全衛生対策に万全を期し、災害の未然防止に努めなければならないのです。
4)行政処分等への対応
 労働基準監督署の災害調査時などにおいて、労働安全衛生法違反として、機械設備の使用停止命令、作業停止命令などの行政処分や法令違反の是正勧告を受けることがあります。また、建設業などでは、その災害を発生させた事業者は、許可を取り消されたり、公共工事の入札の参加が一定期間停止されることもあります。

図1.実質GDPと実質経済成長率の推移(1956〜2018年)
(出典:本図は内閣府SNAサイトの「国民経済計算」を基に当事務所で作成、
「改むるに憚ることなかれ」で採り上げたトピックスの起点となった年度を朱記。)

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  (2020.3.5)                                             

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