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阿部技術士・労働安全コンサルタント事務所は、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。

TEL. 088-694-3482

〒771-1330 徳島県板野郡上板町西分字橋北16番地2

安全情報メモ14Safety information

14-6)原子力発電・積極活用へ方針転換

 2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴い発生した福島原発事故を契機に、発電用原子炉等の原子力施設の安全規制強化の一環として原子炉等規制法も大幅に見直され、2012年6月に改正され、2013年7月に堂改正法が施工されました。また、原子力安全・保安院と原子力安全委員会が廃止され、安全規制行政を一元的に担う新たな組織として原子力規制委員会が2012年9月19日に発足しました。
 改正法により、 原発の運転期間は使用前検査に合格した日から起算して40年とされ、1回に限り、20年を超えない期間延長することができるとされていましたが、2022年12月22日、政府は原子力発電所の運転期間について、実質的に上限の60年を超えて運転できるようにする基本方針を取りまとめました。この政府方針を受け、原子力規制委員会は長期運転の安全を確保する規制の見直しの議論を本格化させました。
 
2023年2月28日、「電力の安定供給や脱炭素を掲げ、60年を超える原発の運転延長を可能にする、エネルギー関連の五つの法改正案を閣議決定した」とマスコミ各社は報じました。福島原発事故後に導入した「原則40年、最長60年」という運転期間の規定を原子炉等規制法から電気事業法に移管し、規定の大枠を維持した上で、停止期間を計算から除外し、運転できる期間を長くするとしています。 (2023.2.28)

14-5)福島原発事故発生11年・最高裁初判断(国の責任否定)

 「東京電力福島第1原発事故で非難した住民らが国に損害賠償を求めた集団訴訟で、最高裁第2小法廷は2022年6月17日、国の賠償責任を認めない判決を言い渡した」とマスコミ各社は報じています。
 実際の津波は2008年に東京電力が試算したものと比べ規模も方角も異なり、仮に国が規制権限を行使して東京電力に必要な措置を命じていても、津波による大量の浸水を防ぐことができなかった可能性が高いと指摘し国の法的責任を否定しました。これは約30件の同種訴訟のうち、福島、群馬、千葉、愛媛の各県で起こされた原告約3700人による訴訟における統一判断です。なお、二審段階で群馬訴訟は国の責任を否定し、福島、千葉、愛媛訴訟では認めていました。
 裁判の争点は津波の予見可能性と結果の回避可能性でした。今回の判決は、結果の回避可能性については国が東京電力に対策を命じていても津波による大量の浸水を防ぐことはできなかったと判断しましたが、津波の予見可能性については判断していません。今回の判決が後続の関連訴訟に及ぼす影響は大きいと思われます。
 予見可能性と結果の回避可能性で思い出すのが労働安全衛生における安全配慮義務の問題です。厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」には、安全配慮義務が次のように説明されています。ここでは、全文を引用(下線、太字は筆者)しています。
 
安全衛生キーワード「安全配慮義務」
   労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、使用者において配慮する義務のことで
  す。
   労働者は、通常の場合、指定された場所で、提供された設備、器具等を用いてまたは使用者の指示に従って労働に
  従事するので、労働契約の内容として具体的に定めていなくても、労働契約を結ぶことに伴って信義則上当然に、使
  用者は、労働者がその生命、身体等の安全(心身の健康を含む)を確保しつつ労働することができるよう、必要な配
  慮をすべきこととされています。このことは、陸上自衛隊事件(最高裁判決昭和50年2月25日)、川義事件(最高裁
  昭和59年4月10日)などの判例で確立した考え方となっており、使用者が、この義務を怠り、労働者に損害を生じさ
  せたときは、その損害を賠償しなければなりません。この損害賠償は、労災認定による補償と並行して請求されるこ
  とがあります。
   通常、次の3条件がある場合に該当します。
   (1)予見の可能性(損害の発生が予見出来ること。使用者が予見していなくとも、予見出来ると認定できる場合
      を含む)
   (2)結果回避義務を果たさなかった
   (3)因果関係があること
   この安全配慮義務は、民法に規定はありませんが、判例法上認められてきたものです。平成21年3月施行の労働契
  約法第5条において明文化が図られましたが、抽象的な一般条項であるともいえるので判例などの積み重ねでより具
  体的になってくるでしょう。
   なお、生命、身体等の安全には、心身の健康も含まれます。それは過労死に関する判例、システムコンサルタント
  事件(最高裁平成12年10月13日)、過労自殺に関する判例、電通事件(最高裁平成12年3月24日)が参考になります。
   これらの判例のように、労働契約法第5条の「必要な配慮」とは、一律に定まるものではなく、使用者に特定の措
  置を求めているわけではありませんが、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等の具体的な状況に応じて、必要な
  配慮をすることが求められています。
   なお、労働安全衛生法をはじめとする労働安全衛生関係法令には、事業主の講ずべき具体的な措置が規定されてい
  ますが、これらは当然に遵守されなければなりません。
   したがって、安全配慮義務が求める「必要な配慮」は、労働安全衛生法などの労働安全衛生関係法令を守るという
  ことだけでなく、より広範囲の「必要な配慮」が必要といえます。

 畢竟、どういう場合に安全配慮義務違反が認められるかは、労働者が置かれている職種、労務内容などの具体的な状況により異なるのですが、違反しないためには「法定基準を守るだけではなく、災害を予見し、回避するための災害防止措置を講じなければならない」ということになります。                    (2022.6.18)

14-4)安全配慮義務

 安全配慮義務に関わる事件として次の二つを紹介します。
詳細は、厚生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoukeiyaku01/dl/12.pdf)を
ご覧ください。
 一つ目は、陸上自衛隊員が、自衛隊内の車両整備工場で車両整備中、後退してきたトラックにひ かれて死亡した事例で、国の公務員に対する安全配慮義務を認定しました。
 二つ目は、宿直勤務中の従業員が盗賊に殺害された事例で、会社に安全配慮義務の違背に基づく 損害賠償責任がある
とされました。
 ところで、厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」には、安全配慮義務が次のように説明されています。ここでは、全文を引用(下線、太字は筆者)しています。
 
安全衛生キーワード「安全配慮義務」
   労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、使用者において配慮する義務のことで
  す。
   労働者は、通常の場合、指定された場所で、提供された設備、器具等を用いてまたは使用者の指示に従って労働に
  従事するので、労働契約の内容として具体的に定めていなくても、労働契約を結ぶことに伴って信義則上当然に、使
  用者は、労働者がその生命、身体等の安全(心身の健康を含む)を確保しつつ労働することができるよう、必要な配
  慮をすべきこととされています。このことは、陸上自衛隊事件(最高裁判決昭和50年2月25日)、川義事件(最高裁
  昭和59年4月10日)などの判例で確立した考え方となっており、使用者が、この義務を怠り、労働者に損害を生じさ
  せたときは、その損害を賠償しなければなりません。この損害賠償は、労災認定による補償と並行して請求されるこ
  とがあります。
   通常、次の3条件がある場合に該当します。
   (1)予見の可能性(損害の発生が予見出来ること。使用者が予見していなくとも、予見出来ると認定できる場合
      を含む)
   (2)結果回避義務を果たさなかった
   (3)因果関係があること
   この安全配慮義務は、民法に規定はありませんが、判例法上認められてきたものです。平成21年3月施行の労働契
  約法第5条において明文化が図られましたが、抽象的な一般条項であるともいえるので判例などの積み重ねでより具
  体的になってくるでしょう。
   なお、生命、身体等の安全には、心身の健康も含まれます。それは過労死に関する判例、システムコンサルタント
  事件(最高裁平成12年10月13日)、過労自殺に関する判例、電通事件(最高裁平成12年3月24日)が参考になります。
   これらの判例のように、労働契約法第5条の「必要な配慮」とは、一律に定まるものではなく、使用者に特定の措
  置を求めているわけではありませんが、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等の具体的な状況に応じて、必要な
  配慮をすることが求められています。
   なお、労働安全衛生法をはじめとする労働安全衛生関係法令には、事業主の講ずべき具体的な措置が規定されてい
  ますが、これらは当然に遵守されなければなりません。
   したがって、安全配慮義務が求める「必要な配慮」は、労働安全衛生法などの労働安全衛生関係法令を守るという
  ことだけでなく、より広範囲の「必要な配慮」が必要といえます。

 畢竟、どういう場合に安全配慮義務違反が認められるかは、労働者が置かれている職種、労務内容などの具体的な状況により異なるのですが、違反しないためには「法定基準を守るだけではなく、災害を予見し、回避するための災害防止措置を講じなければならない」ということになります。                    (2017.8.14)
                                           

14-3)「津波予見できた」前橋地裁判決

 日本経済新聞など報道各社は「福島第1原子力発電所事故後に福島県から群馬県に避難した住民ら137人が国と東京電力に1人あたり1100万円(総額約15億円)の損害賠償を求めた集団訴訟の判決が2017年3月17日、前橋地裁であり、原道子裁判長は請求の一部を認め、国と東電に賠償を命じた」と報じました。
 原裁判長は判決理由で、「遅くとも2002年7月から数カ月後の時点で、国は非常用配電盤を浸水させる規模の津波の到来を予見できた」注1)と指摘。国には東電に対策を命じる権限があり、「東電に対策を取らせれば事故を防ぐことが可能だった」と結論づけました。また東電について「常に安全側に立った対策を取る方針を堅持しなければならないのに、経済的合理性を優先させたと言われてもやむを得ない対応だった」と厳しく批判しています。
注1)2002年7月に政府の長期評価が巨大地震で津波が原発敷地を大きく上回ると試算していた点について
  巨大津波の予見に関しては、文部科学省・地震調査研究推進本部が、2002 年に「福島沖の更に沖合を含む日本海
  溝沿いのどこかで、M8.2 の大地震が起きる確率は今後30 年以内に20%」との見解を出していた。
   ・文部科学省・地震調査研究推進本部「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」
  この見解を基に、東電は2008 年3 月「福島原発で15.7mの津波が予測される」という結果を得ていた。
   ・政府事故調査報告書「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会、最終報告」2012年7 月23日
   ・国会事故調査報告書「国会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会、報告書」2012 年7 月5 日
  2002年より早い1999年に国土庁(当時)が作製していた津波浸水予測図については
   ・14-2)想定外ではなかった「福島原発事故」をご覧ください。

 
 これは原発事故による避難者ら合わせて約1万2千人が起こしている集団訴訟で、国の賠償責任を認めた最初の判決です。この判決を受け、3月30日14時30分、原子力規制庁は臨時のブリーフィングを行い、福島第一原発事故に伴う国家賠償請求訴訟について13時、控訴状を前橋地裁に提出したと記者発表しました。詳細は原子力規制庁ホームページにブリーフィングの速記録に記載されています。
 今後は、50日以内に提出される控訴理由書により、国の主張の詳細が明らかになりますが、高裁がどのように判断するのか、他の集団訴訟の動向と合わせて気になるところです。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  (2017.4.26)
                                           

14-2)想定外ではなかった「福島原発事故」

 いろいろなトラブル、事故が発生しています。そのほとんどが人間行動に起因するものと考えられます。原因が究明され、再発防止対策が講じられているものがある反面、新たな原因による新たなトラブルが跡を絶たないのが現実ではないでしょうか。これらについては対策が不完全であったと反省し、新たに対応すればよいと思います。対策が的確になればトラブルは時間と共に減少するでしょう。
 しかし、この世の中には新しいものが次から次へと生み出されています。そこには新たなトラブルが潜んでいる可能性があります。これらを想定し、未然防止のための行動をとらなければなりません。このときに何を手段に対応するのでしょうか。品質管理や信頼性工学の手法をよりどころにするほか方法はないと考えます。 FMEA,FMAなどはよく使われる手法です。
 自然災害が発生したとき人工物が自然のエネルギーに耐え切れず大きな災害となることがあります。2011年 3月11日に発生した東日本大震災による災害もそれです。英知を結集して設計製作していたはずの原子力発電所が一瞬にして破壊されてしまいました。想定外の規模であったということだけで片付けられるでしょうか。
 
 2015年6月25日、徳島新聞は次のように報じています。

8b津波で原発建屋浸水 国が99年に予測図作製 福島第一対策強化されず
  福島県の沖合で巨大地震が発生し東京電力福島第一原発を高さ8bの津波が襲った場合、1〜4号機の建屋が浸水する
  との予測図を1999年に旧国土庁が作製していたことが24日、分かった。国は自治体が津波防災対策を検討する「基
  礎資料」として作ったが、原発事故を防ぐための電力会社の対策強化には生かされなかった。(後略)

 図1は国土庁(当時)が1999年に作製していた津波浸水予測図です。2011年3月11日の東日本大震災では東京電力福島第一原発を約11bと推定される津波が襲い、1〜4号機の建屋や地下にあった非常用発電機などが浸水しました。その結果、核燃料の冷却ができなくなり、過酷な事態となりました。

図1.国土庁(当時)が
  1999年に作成していた
  津波浸水予測図

  
(福島第一対策強化されず)


 ところで、この報道の約1か月前、5月25日の徳島新聞には共同通信社ウィーン発のスクープ記事が次のように転載されていました。

安全性過信 事故招く IAEA最終報告「想定外」弁明を一蹴
  「勧告した安全評価を十分実施しなかった」「国際的な慣行に従わなかった」。5月24日判明した国際原子力機関
  (IAEA)がまとめた東京電力福島第一原発事故の最終報告書は、東電や規制当局の認識の甘さを痛烈に批判してい
  る。(1面参照)
  事故当時、東電や日本政府からは「想定外」との弁明が相次いだ。しかし、IAEAは日本が何十年にもわたり原発の
  安全性を過信し、発生の確率が低い災害などに十分備えてこなかったと一蹴した。(後略)

 報道によると、「報告書は42カ国の専門家約180人が参加して作成。要約版約240ページが6月のIAEA定例理事会で審議された後、9月の年次総会に詳細な技術報告書と共に提出される予定で、国際的な事故検証は大きな節目を迎える。事故の教訓を生かした提言も含まれている。」とのことでした。
 
 ここで、greenpeaceのホームページに掲載されている報告書「The Fukushima Daiichi Accident Report by Director General 」のFOREWORD By Yukiya Amano Director Genera の一節を以下に紹介します。
   
A major factor that contributed to the accident was the widespread assumption in Japan that its nuclear
   power plants were so safe that an accident of this magnitude was simply unthinkable. This assumption
   was accepted by nuclear plant operators and was not challenged by regulators or by the government.
   As a result, Japan was not sufficiently prepared for a severe nuclear accident in March 2011.


 また、日本機械学会誌6月号に掲載された特集記事の一つ、福島原発事故における想定外と法的責任−危険社会におけ
る「リスク管理」と「法」のあり方−(古川元晴;日本機械学会誌2015.6 Vol118 1159 350-351) の 4.国民の安全は、「法」によってどのように守られるべきか 4.1「法」の規定はどうなっているか の項の結びに、興味深い記述
があるので紹介します。
   
−略−
    原発の安全を守るための法律としては原子炉等規制法などがあったが、それが十分でない場合は条理によって必
   要とされる注意義務を負担することになるのである。そこで、具体的予見可能性説と危惧感説のいずれによる注意
   義務を負担すべきかは、いずれが条理に適っているかにより判断すべきことになる。
   (注:ここでいう「条理」とは、「物事の道理、すじみち」(広辞苑)の意味である。)

 
 具体的予見可能性説は、東京電力の「想定外」をそのまま容認してしまうものです。
 しかし、危惧感説は、一般より高い注意義務が特別に課される業務には、今まで起きたことがない「未知の危険」であっても、起きる可能性が合理的に危惧(予測)される危険については責任を問える、とする考え方です。
 
 事故は必ず起きるものであると想定し、「防災」と「減災」の両方の重要性を認識し、事故の未然防止に取り組まなければなりません。英知を結集して設計製作していたはずの原子力発電所が一瞬にして破壊されたのは地震や津波の規模が想定外であったということだけでは片付けられないことを肝に銘じなければならないのです。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  (2015.6.29)

                                           

14-1)福島原発事故に学ぶ(元政府事故調査委員会委員長)

 内閣府の原子力委員会定例会議は、原則として毎週1回、一般に公開する形で開催しています。今年の第4回目が、2015年1月28日に、臨時会議として開催されました。
 詳細は原子力委員会のホ―ムページ(http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2015/siryo04/index.htm) に掲載されています。
 議題は二つあり、内一つが、元政府事故調査・検証委員会委員長を務めた畑村陽太郎・東京大学名誉教授の「(1)原子力利用の「基本的考え方」について」でした。畑村氏が作成した会議資料「福島原発事故に学ぶ(全35頁)」は次の4項目で構成されています。
 1. 事故はこれからも必ず起こる
 2. 福島原発事故の検証の継続
 3. 今後の原子力発電を考える
 4. これからの原子力分野のあるべき姿
 畑村氏は、「原子力を扱う限り、事故は今後も必ず起きると認識すべき」と訴えています。それは、努力して考えても人が気付かない領域が残るもので、全てを考え尽くしたと思うのは傲慢であり、絶対安全はあり得ないとしています。  また、資料31頁には、原発を使うとしたら、「安全性が確認できたら・・」 では不十分(この論理は事故が起こったことで破綻)であり、事故は起こるものとして、次のような対応の必要性を説いています。
 ○被害拡大防止策の策定
  実際に近い形で計画の試行
  計画の妥当性の確認
  除染計画の策定と住民への周知及び住民の理解が必要である.
 〇危険なものを危険なものとして議論できる文化の醸成が必要.
 〇想定外に対応できる人間を作る.
 そして、「防災」と「事故時の被害を最小限に抑える減災」の両方が重要であると指摘しています。

 前項14)で述べたとおり、ISO/TECガイド51では「安全とは受入不可能なリスクが無いこと(Freedom from unacceptable risk)」と定義されているます。「絶対安全は存在しない」ので、「安全の確保のため如何にリスクを低減させるか」への発想の転換が必要になります。そして、目指すべきは可能な限りリスクを除去・低減し、発災時に受入不可能なリスクが限りなくゼロに近い社会の実現と考えます。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。   (2015.2.3)
                                           

14)安全とは

 「安全で安心できる社会」と表現する人がいる。広辞苑によると「安全とは物事が損傷したり、危害を受けたりするおそれのないこと。」、「安心とは心配・不安が無くて心が安らぐこと。また、安らかなこと。」と記載されている。
 安全管理の分野に限らず、用語の定義は厳密であり、ISO/TECガイド51では「安全とは受入不可能なリスクが無いこと(Freedom from unacceptable risk)」と定義されている。
 下図は安全とリスクの定義をまとめたものである。「絶対安全は存在しない」ので、「安全の確保のため如何にリスクを低減させるか」への発想の転換が必要と考える。
 また、「絶対安全が存在しない」ことから「安全管理の分野では心配・不安が無い状態」は想定できない。目指すべきは可能な限りリスクを除去・低減し、受入不可能なリスクが無い社会の実現と考える。

図1.安全とは
(絶対安全は存在しない 
⇒如何にリスクを低減させるか)

                                               
 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。 (2013.5.21)
                                           

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