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阿部技術士・労働安全コンサルタント事務所は、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。

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技術情報メモ25Technical information

25)設計の勘どころ(応力集中)

  通常、機械や構造物を設計する際には、使用する部材の破壊や変形の許容値を超えないように部材中に生じる応力を弾性限度以下に選びます。
 しかし、弾性限度以下であっても破壊や変形が生じることがあります。繰り返し荷重による疲労破壊と一定荷重を作用させることによるクリープ現象(変形)が知られています。これらの場合、部材中に生じる応力は疲労限度やクリープ限度以下に設計しておかなければなりません。ここで、疲労限度には繰り返し荷重が(10回以上)作用しても破壊しない応力振幅の値を採用します。また、クリープ現象を生じる材料については例えば1000時間に0.1%の歪を生じる応力の限界をクリープ限度として採用します。
 一般の機械や構造物は複雑な形状をしています。特に断面の形状が急激に変化している個所については形状に基づく応力集中が発生します。このため、構造設計では破壊や変形をが生じない部材に許容される応力(許容応力)を設定すると同時に、形状に基づく応力集中に注意しなければならないのです。
 
 ここでは、応力集中について説明します。

 一様な断面積Aを有する丸棒に引張力Pをさせた場合、丸棒の断面には一様な応力σ(=P/A)が発生します。しかし、機械や構造物は複雑な形状をしており、切欠き、穴、角、段違い部などの存在により、部材の断面形状が急激に変化している箇所には局所的に高い応力が発生します。この現象を応力集中と呼びます。

 この集中応力σmaxと平均応力(公称応力)σの比を応力集中係数と呼び、次式で表します。

    α=σmax/σ

 応力集中係数αは弾性力学を用いて求められます。

 例えば、図1のような楕円孔を有する無限板に静荷重Pが作用したと仮定した場合の応力集中係数を求めると次式のようになります。

図1のA点(X=a)でσyは最大値σymaxとなり、次式で表されます。

    σymax={1+(2a/b)}σ

従って、応力集中係数は次式で求められます。   
    α=σymax/σ=1+(2a/b)

ここで、楕円孔ではなく、円孔を有すると仮定した場合、a=bとなるので、応力集中係数αは3となります。即ち、技術情報メモ24(Unwinの安全率と確率論的安全評価)で述べた安全率の設定は応力集中も考慮した上で行わなければ意味がないのです。 

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。 (2013.7.28)

図1.楕円孔を有する無限板

                                           

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