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阿部技術士・労働安全コンサルタント事務所は、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。

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技術情報メモ30Technical information

30)生産工学(重要性と役割)

 生産工学とは、生産に関わる工学のことで、広辞苑によると、生産とは「人間が自然に働きかけて、人にとって有用な財・サービスを作り出すこと、もしくは獲得すること」、また、工学とは「基礎科学を工業生産に応用して生産力を向上させるための応用的科学技術の総称」と記されています。具体的には、生産工学とは「合理的かつ経済的に生産を行うための生産手段や手順の計画から出来上がり製品の品質保証までを網羅する技術」と言えます。
 生産工学に関する基本的な構成要素について、医薬品製造を例に、少し詳しく紹介します。
@製品設計
 製品企画の段階では顧客ニーズなどを基に構想設計を行います。構想がまとまると製品(詳細な形状や構造に関する)設計に移ります。この段階で設計者は不具合を漏れなく予測しなければなりません。設計者は不具合を予測するため、FMEAやFTA(安全情報メモ11)を実施し、設計に反映し、製品試作を行います。試作品において評価、確認を得た後、生産の準備に入ります。
 これら一連の流れの中で、関連の部署では検討会を行ったり、多くの専門家によるデザインレビューが行われます。デザインレビューは、その目的が設計レベルの向上であることを認識して実施しなければ時間と金の浪費につながるので、注意が必要です。
 医薬品の場合には、その容器に密封性を損なうような欠陥が存在すると充填された薬剤は酸素あるいは水分等の影響を受け、多少にかかわらず品質の劣化を生じる可能性があります。そこで、医薬品製造では製品設計の段階で薬剤の品質を一定期間維持するための剤型、包装容器などを適切に決定する必要があります。
A工程設計
 製品設計の情報を基に、生産方法や生産順序、使用する機械の種類や台数などの検討を行い、全般的な生産工程を設計します。医薬品輸液の製造では、原料秤量工程、調製ろ過工程、滅菌工程、検査工程、包装工程などの工程があります。
B作業設計
 工程設計における検討結果を基に、各工程の内容を詳細に検討し、作業設計を行います。医薬品輸液の製造における調製ろ過工程では、秤量された原料の受け入れから調製ろ過までの作業を詳細に検討し、作業設計を行います。
C生産管理
 生産管理は生産工学の構成要素の一つとして位置付けています。その内容は多岐にわたっています。
 例えば、販売計画、生産計画、生産スケジューリング、人員計画、設備計画、工程管理、資材管理、在庫管理、発注管理、作業管理、品質管理などが含まれています。
 なお、PERT(Program Evaluation and Review Technique)とCPM(Critical Path Method)については別項で紹介する予定です。
D生産設備と配置計画
 生産用主設備(機械、装置、工具器具など)、生産用補助設備(コンピューターなど)、付帯設備(電力設備、空調、給排水配管衛生設備など)などの選定(設計含む)及び配置を計画します。計画の際には、工場内外の各種の制約や製品設計の検討結果を考慮しながら、生産設備と人員の配置を検討しなければなりません。
E生産設備の監視・保全
 機械設備の性能を長期的に維持するためには稼働中の状態監視や適切な保守管理をしなければなりません。規模の大小にかかわらず事故や品質トラブルが発生すると原因の究明と対策に追われることになります。その時、いつも問題になるのが「発生するまで何故気が付かなかったのか」という点です。機械や構造物は完成した時がピークでその直後から経時的な変化が始まっています。従って、機械や構造物を安全に使用するための維持管理の方法を設計段階において考慮しておくことは技術者として当然行うべき責務であります。
 保全方式については安全情報メモ4に詳述しています。保全方式選定の参考になると思います。
F品質保証、など。
 生産された製品は消費者が要求する性能などの品質水準を一定期間維持しなければなりません。製造ラインでは品質を保証するため各種の検査が行われています。しかし、人間による検査には限界があるので、目的に応じた検査装置の検討が行われ、導入されています。製造ラインにおいて品質を作り込み、品質レベルを高く設定し、検出精度の高い検査装置の導入により品質を保証すること、これは極めて自然の成り行きです。品質保証と維持管理については技術情報メモ15
において詳述しています。

 
 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  (2013.8.8)

                                           

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