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阿部技術士・労働安全コンサルタント事務所は、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。

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〒771-1330 徳島県板野郡上板町西分字橋北16番地2

トピックス詳細35Topics detail

35-17)改むるに憚ることなかれ(JR北海道の場合)

 孔子は、人の上に立って政治を行う者の心掛けるべきことを次のように述べています。
 そして、「過ちを犯した場合には、ぐずぐずせず、すぐに改める」、このことは政治家に限ることなく、人として心掛けるべきことと考えます。

 
子 曰、「君 子 不重 則 不 威 。學 則 不固 。主忠 信。無己 者。過 則 勿改 。」    
                                      (論語・学而編)

子曰く、
 「君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ち
 ては則ち改むるに憚ること勿かれ。」と。             (出典:わかりやすい論語・孟子(鎌田正))
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 JR北海道は2013年12月12日、「北海道七飯町の函館線大沼駅構内で2013年9月に発生した貨物列車の脱線事故で、2013年6月に脱線現場近くで計測した基準値を超えるレール幅の異常な広がりが実際は最大39mmだったのに、事故発生の約2時間後に25mmと改ざんされていたことが分かった。」と発表しました。(ニュース詳細9)取って置きニュースいろいろ・2013(第48~最終週)(2014.1.14)並びにトピックス詳細12) 改ざんと捏造(2013.12.16)を参照ください。)
 実際のレール幅39mmを社員が25mmと改ざんし、補修を要する整備基準値の社内規定(19mm)の2倍を超えていたのですが、事故までの3カ月間、レールは補修されず、同社はこれが事故原因となった可能性を認めました。

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 当時、マスコミ各社は
JR北海道 脱線直後レール幅改ざん 基準の2倍超広がり放置 事故原因の可能性
などと報じましたが、この度、札幌簡裁で判決が出されました。

 
2019年2月7日の徳島新聞は、「JR北海道で2013年に起きた貨物列車脱線事故で、虚偽のレール検査数値を国に報告したとして、鉄道事業法違反罪などに問われた当時の本社幹部3人と同社の判決公判が6日、札幌簡裁であり、3人に無罪(求刑罰金40万~30万円)、同社に求刑通り罰金100万円を言い渡した。」と報じています。
 JR北海道は両罰規定で起訴されたものです。両罰とは広辞苑によりますと「企業の従業者が業務に関して取締法規違反を犯した場合に、従業者とともに業務主をも処罰すること。一般に業務主には法人も含まれる。」とあります。
 札幌簡裁は、「幹部3人を改ざんの認識があったとするには合理的な疑いが残るとして、無罪。他方、JR北海道については事故調査を妨害し、多数の従業員が虚偽報告に関与するよう至らしめた責任は重いとして、有罪。」としました。
 この札幌簡裁判決について、
2019年2月20日、札幌区検は、控訴しないことを明らかにし、また、罰金100万円を言い渡されたJR北海道も控訴しないため、簡裁判決(JR北海道の有罪と幹部3人の無罪)が確定しました。
 国土交通省によると、鉄道事業法違反による鉄道事業者の有罪確定は初めてとのことでした。
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不正を犯すことに何ら抵抗がない社員と不正をみて見ぬふりをする管理者がいる『不正が可能な組織』」
このような組織をどのように変えていけばよいのか。地位が人をつくるという説もあるが、組織を守るためと称して「隠したり、嘘をついたり、辻褄合わせをする職場をつくる人」になってしまうことがあるのも真実である。
 このように、跡を絶たない事故・品質トラブル・不正を防止するため、いま、求められているものは、これらを生みだせない職場環境、見逃せない管理体制、放置できないシステムではないだろうか。
 事故・品質トラブル・不正を、「生み出さない、見逃さない、放置しない」ではなく、悪意をもってしても、これらを「生み出せない、見逃せない、放置できない」職場環境の構築が喫緊の課題だと考える。
 専門的な知識のある担当者が、なぜ不正を起こしてしまったのか。再発防止には、一連の関係者の判断のどこに問題があったのかを明らかにすることが求められる。
 関係者の判断に
その場の空気が影響してはいなかったか?
 山本七平著「空気の研究」の中に、次のような件(くだり)がある。
   
「空気」とはまことに大きな絶対権を持った妖怪である。一種の「超能力」かも知れない。(中略)
   この「空気」なるものの正体を把握しておかないと、将来なにが起こるやら、皆目見当がつかないこと
   になる。

 組織の中で、「---------と思うが、どうか?」と上が言えば、それを受け、下は動かざるを得なくなるのではないか。ここは、
「どうか?」で止めてはいけない
その場の空気が関係者の判断に影響を及ぼすようではいけない。
時には、その場の空気に水を差すことができる組織風土(共有・伝承されている価値観・行動規範・信念の集合)でなければならない。
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 このように繰り返されている不祥事が ”品質立国日本” の信頼を揺るがしています。
2018年2月21日、日本品質管理学会、日本科学技術連盟、日本規格協会が共催し、経済産業省と日本経済団体連合会の後援を得て、早稲田大学小野記念講堂において、”品質立国日本”の揺るぎなき地位の確立と次世代への継承を目的に緊急シンポジウムが開催されました。
 日本品質管理学会誌「品質」(Vol.48,No,2,2018)には、ルポルタージュ「緊急シンポジウム”品質立国日本”を揺るぎなくするために~品質不祥事の再発防止を討論する~(緊急シンポジウム実行委員会)」が10ページに渡り掲載されています。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。 (2019.2.22)

35-16)改むるに憚ることなかれ(KYB・カヤバシステムマシナリーの場合②)

 孔子は、人の上に立って政治を行う者の心掛けるべきことを次のように述べています。
 そして、「過ちを犯した場合には、ぐずぐずせず、すぐに改める」、このことは政治家に限ることなく、人として心掛けるべきことと考えます。

 
子 曰、「君 子 不重 則 不 威 。學 則 不固 。主忠 信。無己 者。過 則 勿改 。」    
                                      (論語・学而編)

子曰く、
 「君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ち
 ては則ち改むるに憚ること勿かれ。」と。             (出典:わかりやすい論語・孟子(鎌田正))
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 KYB株式会社(以下、KYB)は、
2018年10月16日の記者会見で、不正の原因は従業員が再検査の手間を省くためだったという呆れた現場の実態を明らかにしましたが、実態解明は外部の弁護士らのチームに委ねていました。(トピックス詳細35-14)改むるに憚ることなかれ(KYB・カヤバシステムマシナリーの場合)(2018.10.18)をご参照ください。)
 そして、
2019年2月13日、KYBは「地震の揺れを抑える免震・制振装置における性能検査記録データ改ざん問題」調査結果を公表しました。
 KYBのホームページには次の報告書が掲載されています。
   1)2019.2.13 当社及び当社の子会社が製造した建築物用免震・制振用オイルダンパーにおける不適切行為に
     関する原因究明・再発防止策について
   2)2019.2.13 当社及び当社の子会社が製造した建築物用免震・制振用オイルダンパーの検査工程等における
     不適切行為に関する外部調査委員会の調査報告について
 2)の別添資料、外部調査委員会による「免震・制振用オイルダンパーの検査工程等における不適切行為に関する調査報告書」は、全99頁(表紙、目次、別紙含む)で、10項目からなり、原因分析は第9、再発防止策の提言は第10において詳述されています。
 
第9原因分析は次の9項目で構成されています。
 1 物作りに携わる者としての最低限の規範意識の欠如
 2 不都合な真実と真摯に向き合わない企業風土
 3 自らの技術力・生産能力を顧みない受注ありきの工場運営
 4 検査の位置づけ、検査体制・方法の不備
 5 試験機に対する不正防止措置の欠如・管理の不十分性
 6 情報共有体制等の不全
 7 特定の一部の者による重要業務の独占
 8 内部監査体制の不備
 9 免震・制振用オイルダンパーの事業化の観点からみた問題点
 また、第10再発防止策の提言は次の二項目からなっています。
 1 具体的な再発防止策提言の内容
  (1)厳格な規範意識の醸成及び企業風土の改革  
  (2)バランスのとれた事業運営体制  
  (3)検査体制・方法の改善  
  (4)試験機の不正防止措置の追加及び管理の強化  
  (5)効率的な情報吸い上げ・フィードバック体制の整備
  (6)内部監査における品質監査体制の強化  
  (7)KYBにおける子会社管理体制の強化
 2 再発防止体制おいて重視されるべきこと  
  (1)本件不正をグループ全体の問題として捉え、KYBグループ全体の不正への向き合い方を抜本的に変革すること
  (2)不正が行われる可能性を直視し、不正をできなくするための現実的、実効的な施策を導入すること

 そして、報告書は、不正防止措置導入後の粘り強い対応について、次のような文章で結んでいます。
(前略)、すなわち、
「仏を作って魂を入れる作業」を継続して行っていくことを求めたい。
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不正を犯すことに何ら抵抗がない社員と不正をみて見ぬふりをする管理者がいる『不正が可能な組織』」
このような組織をどのように変えていけばよいのか。地位が人をつくるという説もあるが、組織を守るためと称して「隠したり、嘘をついたり、辻褄合わせをする職場をつくる人」になってしまうことがあるのも真実である。例えば、高松市選挙管理委員会の票数水増し、辻褄合わせ事件では、誰ひとり「ノー」と言えなかった。
 KYB・カヤバシステムマシナリーでは再検査の手間を惜しみ歴代担当が口頭で不正の手口を継承していたようだ。
 このように、跡を絶たない事故・品質トラブル・不正を防止するため、いま、求められているものは、これらを生みだせない職場環境、見逃せない管理体制、放置できないシステムではないだろうか。
 事故・品質トラブル・不正を、「生み出さない、見逃さない、放置しない」ではなく、悪意をもってしても、これらを「生み出せない、見逃せない、放置できない」職場環境の構築が喫緊の課題だと考える。
 専門的な知識のある担当者が、なぜ不正を起こしてしまったのか。再発防止には、一連の関係者の判断のどこに問題があったのかを明らかにすることが求められる。
 関係者の判断に
その場の空気が影響してはいなかったか?
 山本七平著「空気の研究」の中に、次のような件(くだり)がある。
   
「空気」とはまことに大きな絶対権を持った妖怪である。一種の「超能力」かも知れない。(中略)
   この「空気」なるものの正体を把握しておかないと、将来なにが起こるやら、皆目見当がつかないこと
   になる。

 組織の中で、「---------と思うが、どうか?」と上が言えば、それを受け、下は動かざるを得なくなるのではないか。ここは、
「どうか?」で止めてはいけない
その場の空気が関係者の判断に影響を及ぼすようではいけない。
時には、その場の空気に水を差すことができる組織風土(共有・伝承されている価値観・行動規範・信念の集合)でなければならない。
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 このように繰り返されている不祥事が ”品質立国日本” の信頼を揺るがしています。
2018年2月21日、日本品質管理学会、日本科学技術連盟、日本規格協会が共催し、経済産業省と日本経済団体連合会の後援を得て、早稲田大学小野記念講堂において、”品質立国日本”の揺るぎなき地位の確立と次世代への継承を目的に緊急シンポジウムが開催されました。
 日本品質管理学会誌「品質」(Vol.48,No,2,2018)には、ルポルタージュ「緊急シンポジウム”品質立国日本”を揺るぎなくするために~品質不祥事の再発防止を討論する~(緊急シンポジウム実行委員会)」が10ページに渡り掲載されています。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。 (2019.2.22)

35-15)改むるに憚ることなかれ(日立化成の場合②)

 孔子は、人の上に立って政治を行う者の心掛けるべきことを次のように述べています。
 そして、「過ちを犯した場合には、ぐずぐずせず、すぐに改める」、このことは政治家に限ることなく、人として心掛けるべきことと考えます。

 
子 曰、「君 子 不重 則 不 威 。學 則 不固 。主忠 信。無己 者。過 則 勿改 。」    
                                      (論語・学而編)

子曰く、
 「君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ち
 ては則ち改むるに憚ること勿かれ。」と。             (出典:わかりやすい論語・孟子(鎌田正))
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2018年6月29日、日立化成は、製品検査の一部で不正行為(顧客と取決めた検査を実施せずに出荷)があったことを発表しました。対象は名張事業所で製造した「工場の非常用電源に使う産業用鉛蓄電池」、約6万台で、納入先は約500社に上るとのことです。同事業所の品質保証部長が2018年5月に所長へ不正を報告し、6月になって本社が把握した後、2011年4月から2018年6月までの製造分を調査したところ、安全性の問題は確認されていなかったとのことです。今後、外部専門家による特別調査委員会を設置して原因を究明するとしています。
 
2018年7月2日、日立化成は、その後の調査で、産業用鉛蓄電池の一部製品以外でも、不適切な検査等が行われていたことが判明した旨、ホームページで公表しました。
 不適切な検査等の 不適切な検査等の主な内容は以下の通り。
(1)顧客と取り決めていた検査を怠っていた、
(2)顧客との取り決めとは異なる検査方法で検査を行っていた、
(3)検査報告書に実測値と異なる数値を記載していた、
(4)測定機器の変更について顧客へ申し出ていなかった、
(5)顧客と取り決めた検査条件は守っていたが、社内規定を守っていなかった等。
 対象は、延べ約1,900社に上る模様です。                                以上
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 不正を起こすか起こさないかは「
不正が起こらないような企業風土の醸成不正ができない製造ラインの構築」の程度に大きな開きがあるように思われてなりません。
 専門的な知識のある担当者が、なぜ不正を起こしてしまったのか。再発防止には、一連の関係者の判断のどこに問題があったのかを明らかにすることが求められます。
 関係者の判断に
その場の空気が影響したのでしょうか?
 山本七平著「空気の研究」の中に、次のような件(くだり)があります。
   
「空気」とはまことに大きな絶対権を持った妖怪である。一種の「超能力」かも知れない。(中略)
   この「空気」なるものの正体を把握しておかないと、将来なにが起こるやら、皆目見当がつかないこと
   になる。

 組織の中で、「---------と思うが、どうか?」と上が言えば、それを受け、下は動かざるを得なくなるのではないでし
ょうか。ここは、
「どうか?」で止めてはいけないのです。その場の空気が関係者の判断に影響を及ぼすようではい
けないのです。時には、その場の空気に水を差すことができる組織風土(共有・伝承されている価値観・行動規範・信念
の集合)でなければならないのです。

 このように繰り返されている不祥事が ”品質立国日本” の信頼を揺るがしています。
2018年2月21日、日本品質管理学会、日本科学技術連盟、日本規格協会が共催し、経済産業省と日本経済団体連合会の後援を得て、早稲田大学小野記念講堂において、”品質立国日本”の揺るぎなき地位の確立と次世代への継承を目的に緊急シンポジウムが開催されました。
 日本品質管理学会誌「品質」(Vol.48,No,2,2018)には、ルポルタージュ「緊急シンポジウム”品質立国日本”を揺るぎなくするために~品質不祥事の再発防止を討論する~(緊急シンポジウム実行委員会)」が10ページに渡り掲載されています。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  (2018.6.29)
                                           

35-14)改むるに憚ることなかれ(KYB・カヤバシステムマシナリーの場合)

 孔子は、人の上に立って政治を行う者の心掛けるべきことを次のように述べています。
 そして、「過ちを犯した場合には、ぐずぐずせず、すぐに改める」、このことは政治家に限ることなく、人として心掛けるべきことと考えます。

 
子 曰、「君 子 不重 則 不 威 。學 則 不固 。主忠 信。無己 者。過 則 勿改 。」    
                                      (論語・学而編)

子曰く、
 「君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ち
 ては則ち改むるに憚ること勿かれ。」と。             (出典:わかりやすい論語・孟子(鎌田正))
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 2016年10月16日、油圧機器メーカーであるKYB株式会社とその子会社カヤバシステムマシナリーによる不正が明らかになりました。
 KYBの発表によると、地震の揺れを抑える免震・制振装置で性能検査記録データを改ざんしていたとのことです。改ざんは2013年から続き、全国で986件に上り、2015年に表面化した東洋ゴム工業の免震偽装を規模で上回っています。
 図1は、10月17日付、徳島新聞から引用したKYBの改ざんのポイントと東洋ゴム工業との不正を比較したものです。東洋ゴム工業の不正については、当初、リスクアセスメント事案として、安全情報メモ「75)リスクアセスメント(東洋ゴム工業の不正事例)(2015.6.11)、75-1)東洋ゴム工業の不正・企業風土が原因(最終報告書)(2015.6.30)、75-2)東洋ゴム工業不正事案/免震材料に関する第三者委員会報告書(2016.1.27)」において詳述しています。
 当ホームページでは、東洋ゴム工業以降の不正については「改むるに憚ることなかれ」と題し、トピックスとして採り上げてきました。
 KYBは10月16日の記者会見で、不正の原因は従業員が再検査の手間を省くためだったという呆れた現場の実態を明らかにしましたが、実態解明は外部の弁護士らのチームに委ねています。
 

図1.上段
KYB改ざんのポイント
(出典:2018年10月17付、徳島新聞(1)総合)
図2.下段
東洋ゴム工業とKYBの不正の比較
(出典:2018年10月17付、徳島新聞(27)社会)

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 「
不正を犯すことに何ら抵抗がない社員と不正をみて見ぬふりをする管理者がいる『不正が可能な組織』」、このような組織をどのように変えていけばよいのか。地位が人をつくるという説もあるが、組織を守るためと称して「隠したり、嘘をついたり、辻褄合わせをする職場をつくる人」になってしまうことがあるのも真実である。例えば、高松市選挙管理委員会の票数水増し、辻褄合わせ事件では、誰ひとり「ノー」と言えなかった。
 KYB・カヤバシステムマシナリーでは再検査の手間を惜しみ歴代担当が口頭で不正の手口を継承していたようだ。
 このように、跡を絶たない事故・品質トラブル・不正を防止するため、いま、求められているものは、これらを生みだせない職場環境、見逃せない管理体制、放置できないシステムではないだろうか。
 事故・品質トラブル・不正を、「生み出さない、見逃さない、放置しない」ではなく、悪意をもってしても、これらを「生み出せない、見逃せない、放置できない」職場環境の構築が喫緊の課題だと考える。
 専門的な知識のある担当者が、なぜ不正を起こしてしまったのか。再発防止には、一連の関係者の判断のどこに問題があったのかを明らかにすることが求められる。
 関係者の判断に
その場の空気が影響してはいなかったか?
 山本七平著「空気の研究」の中に、次のような件(くだり)がある。
   
「空気」とはまことに大きな絶対権を持った妖怪である。一種の「超能力」かも知れない。(中略)
   この「空気」なるものの正体を把握しておかないと、将来なにが起こるやら、皆目見当がつかないこと
   になる。

 組織の中で、「---------と思うが、どうか?」と上が言えば、それを受け、下は動かざるを得なくなるのではないか。ここは、
「どうか?」で止めてはいけない
その場の空気が関係者の判断に影響を及ぼすようではいけない。
時には、その場の空気に水を差すことができる組織風土(共有・伝承されている価値観・行動規範・信念の集合)でなければならない。
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 このように繰り返されている不祥事が ”品質立国日本” の信頼を揺るがしています。
2018年2月21日、日本品質管理学会、日本科学技術連盟、日本規格協会が共催し、経済産業省と日本経済団体連合会の後援を得て、早稲田大学小野記念講堂において、”品質立国日本”の揺るぎなき地位の確立と次世代への継承を目的に緊急シンポジウムが開催されました。
 日本品質管理学会誌「品質」(Vol.48,No,2,2018)には、ルポルタージュ「緊急シンポジウム”品質立国日本”を揺るぎなくするために~品質不祥事の再発防止を討論する~(緊急シンポジウム実行委員会)」が10ページに渡り掲載されています。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。 (2018.10.18)
                                           

35-13)改むるに憚ることなかれ(住友重機械工業子会社の場合)

 孔子は、人の上に立って政治を行う者の心掛けるべきことを次のように述べています。
 そして、「過ちを犯した場合には、ぐずぐずせず、すぐに改める」、このことは政治家に限ることなく、人として心掛けるべきことと考えます。

 
子 曰、「君 子 不重 則 不 威 。學 則 不固 。主忠 信。無己 者。過 則 勿改 。」    
                                      (論語・学而編)

子曰く、
 「君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ち
 ては則ち改むるに憚ること勿かれ。」と。             (出典:わかりやすい論語・孟子(鎌田正))
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 2018年10月2日、住友重機械工業の完全子会社である住友重機械ハイマテックスは製鉄や機械メーカーの生産設備向け部品の検査データを改ざんする不正(9月12日にクボタが同様の不正を公表したことを受け、社内調査実施で発覚)があったことを発表しました。取引先66社の内、国内外の38社に不正製品を納めていたとのことです。「検査項目を参考値や目標値程度に取り扱っていた」のが不正の理由であると広報担当者は釈明しています。
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 不正を起こすか起こさないかは「
不正が起こらないような企業風土の醸成不正ができない製造ラインの構築」の程度に大きな開きがあるように思われてなりません。
 専門的な知識のある担当者が、なぜ不正を起こしてしまったのか。再発防止には、一連の関係者の判断のどこに問題があったのかを明らかにすることが求められます。
 関係者の判断に
その場の空気が影響したのでしょうか?
 山本七平著「空気の研究」の中に、次のような件(くだり)があります。
   
「空気」とはまことに大きな絶対権を持った妖怪である。一種の「超能力」かも知れない。(中略)
   この「空気」なるものの正体を把握しておかないと、将来なにが起こるやら、皆目見当がつかないこと
   になる。

 組織の中で、「---------と思うが、どうか?」と上が言えば、それを受け、下は動かざるを得なくなるのではないでし
ょうか。ここは、
「どうか?」で止めてはいけないのです。その場の空気が関係者の判断に影響を及ぼすようではい
けないのです。時には、その場の空気に水を差すことができる組織風土(共有・伝承されている価値観・行動規範・信念
の集合)でなければならないのです。

 このように繰り返されている不祥事が ”品質立国日本” の信頼を揺るがしています。
2018年2月21日、日本品質管理学会、日本科学技術連盟、日本規格協会が共催し、経済産業省と日本経済団体連合会の後援を得て、早稲田大学小野記念講堂において、”品質立国日本”の揺るぎなき地位の確立と次世代への継承を目的に緊急シンポジウムが開催されました。
 日本品質管理学会誌「品質」(Vol.48,No,2,2018)には、ルポルタージュ「緊急シンポジウム”品質立国日本”を揺るぎなくするために~品質不祥事の再発防止を討論する~(緊急シンポジウム実行委員会)」が10ページに渡り掲載されています。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  (2018.10.2)
                                           

35-12)改むるに憚ることなかれ(自動車業界の場合)

 孔子は、人の上に立って政治を行う者の心掛けるべきことを次のように述べています。
 そして、「過ちを犯した場合には、ぐずぐずせず、すぐに改める」、このことは政治家に限ることなく、人として心掛けるべきことと考えます。

 
子 曰、「君 子 不重 則 不 威 。學 則 不固 。主忠 信。無己 者。過 則 勿改 。」    
                                      (論語・学而編)

子曰く、
 「君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ち
 ては則ち改むるに憚ること勿かれ。」と。             (出典:わかりやすい論語・孟子(鎌田正))
 
 図1は、2015年以降、印象に残った不祥事をまとめたものです。
 自動車業界で問題となっている不正は検査燃費に関するものです。
 検査に関わる不正は、製品出荷前の完成車検査を資格を有しない社員が行っていた問題のことで、日産自動車とスバルで行われていました。
 燃費に関わる不正は、独フォルクスワーゲン(VW)社で行われ、2015年9月に発覚しました。排ガス規制逃れの違法ソフトウェアを搭載したもので巨額な補償問題へと発展しました。その後、日本でも複数のメーカーから完成車の抜取検査において試験データの改ざんなどの不適切な取り扱いが行なわれていたことが公表されています。

図1.2015年以降、
  印象に残った不祥事(15件)

 本項では、特に、日本における燃費に関わる不正について、発覚から現在までの大まかな経過を辿ってみます。   
 2016年:三菱自動車工業の燃費試験データ改ざん問題発覚
 2016年:スズキの法令で指定されていない独自の燃費測定問題発覚
 2018.6.5:SUBARU(スバル)が完成車の検査工程で、新たな不正が見つかったと発表。4月末に書き換え問題の
      報告書を公表した際には、吉永社長は「現時点で他に調査が必要な事案はない」としていた。
 2018.7.9:日産自動車が完成検査時の燃費・排出ガスの測定に関する調査の中で、日産自動車九州以外の国内全車両
      製造工場において製造された車両について、一部の排出ガス・燃費測定試験において以下の不適切な行為が
      あったことを公表した。
     (1)試験環境を逸脱した排出ガス・燃費測定試験を行っていた
     (2)測定値を書き換えて、検査報告書を作成していた
 2018.7.9:国土交通省は、燃費・排ガスの抜取検査で、スバル、日産自動車の不正が発覚したことを受け、自動車
      メーカー、輸入車業者に不正がないか調査・報告するよう要請。
 2018.8.8:スズキが完成車の燃費・排ガスの抜取検査において、四輪車6401台で不適切な取扱いがあったと国土交通
      省に報告した。
 2018.8.8:ヤマハ発動機が完成車の燃費・排ガスの抜取検査において、二輪車7台で不適切な取扱いがあったと国土交
      通省に報告した。
 2018.8.9:マツダが完成車の燃費・排ガスの抜取検査において、72台で不適切な取扱いがあったと国土交通省に報告
      した。
 2018.9.26:日産自動車が、完成検査における抜取検査の不適切な取扱いについての詳細調査結果についてとりまとめ
      国土交通省に報告。今回の事案に関する調査結果及び日産自動車としての認識、並びに再発防止策の概要は
      日産自動車ホームページ参照。
 2018.9.28:SUBARU(スバル)が検査不正に関する最終報告書を国土交通省に提出。燃費・排ガス測定データの
      改ざんが遅くとも1990年代前半から行われていた可能性が高いこと、また、ブレーキやメーターの検査に
      関する新たな不正(手順の逸脱)があったことも合わせて公表した。

 これで、国内自動車8社(トヨタ、日産、ホンダ、三菱自工、マツダ、スズキ、ダイハツ、SUBARU)の内、これ
らの
問題を引き起こしていないのは、トヨタ自動車、ダイハツ、ホンダの3社のみとなりました。不正を起こすか起こさないかは「不正が起こらないような企業風土の醸成不正ができない製造ラインの構築」の程度に大きな開きがあるように思われてなりません。
 専門的な知識のある担当者が、なぜ不正を起こしてしまったのか。再発防止には、一連の関係者の判断のどこに問題があったのかを明らかにすることが求められます。
 関係者の判断に
その場の空気が影響したのでしょうか?
 山本七平著「空気の研究」の中に、次のような件(くだり)があります。
   
「空気」とはまことに大きな絶対権を持った妖怪である。一種の「超能力」かも知れない。(中略)
   この「空気」なるものの正体を把握しておかないと、将来なにが起こるやら、皆目見当がつかないこと
   になる。

 組織の中で、「---------と思うが、どうか?」と上が言えば、それを受け、下は動かざるを得なくなるのではないでし
ょうか。ここは、
「どうか?」で止めてはいけないのです。その場の空気が関係者の判断に影響を及ぼすようではい
けないのです。時には、その場の空気に水を差すことができる組織風土(共有・伝承されている価値観・行動規範・信念
の集合)でなければならないのです。

 このように繰り返されている不祥事が ”品質立国日本” の信頼を揺るがしています。
2018年2月21日、日本品質管理学会、日本科学技術連盟、日本規格協会が共催し、経済産業省と日本経済団体連合会の後援を得て、早稲田大学小野記念講堂において、”品質立国日本”の揺るぎなき地位の確立と次世代への継承を目的に緊急シンポジウムが開催されました。
 日本品質管理学会誌「品質」(Vol.48,No,2,2018)には、ルポルタージュ「緊急シンポジウム”品質立国日本”を揺るぎなくするために~品質不祥事の再発防止を討論する~(緊急シンポジウム実行委員会)」が10ページに渡り掲載されています。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  (2018.10.1)
                                           

35-11)改むるに憚ることなかれ(クボタの場合)

 孔子は、人の上に立って政治を行う者の心掛けるべきことを次のように述べています。
 そして、「過ちを犯した場合には、ぐずぐずせず、すぐに改める」、このことは政治家に限ることなく、人として心掛けるべきことと考えます。

 
子 曰、「君 子 不重 則 不 威 。學 則 不固 。主忠 信。無己 者。過 則 勿改 。」    
                                      (論語・学而編)

子曰く、
 「君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ち
 ては則ち改むるに憚ること勿かれ。」と。             (出典:わかりやすい論語・孟子(鎌田正))
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 2018年9月12日、クボタは検査の品質データを改ざんする不正(7月25日に内部通報で発覚)があったことを発表しました。対象は鉄鋼メーカー向けに出荷している鋼板などの生産設備の部品の納入先99社の内、85社に不正があった部品を出荷していたとのことです。 これまでの調査では2013年10月から2018年7月の間に出荷した約21000本の内、硬さや配合比率の書き換えが3633本あったことが確認されているとのことです。
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 不正を起こすか起こさないかは「
不正が起こらないような企業風土の醸成不正ができない製造ラインの構築」の程度に大きな開きがあるように思われてなりません。
 専門的な知識のある担当者が、なぜ不正を起こしてしまったのか。再発防止には、一連の関係者の判断のどこに問題があったのかを明らかにすることが求められます。
 関係者の判断に
その場の空気が影響したのでしょうか?
 山本七平著「空気の研究」の中に、次のような件(くだり)があります。
   
「空気」とはまことに大きな絶対権を持った妖怪である。一種の「超能力」かも知れない。(中略)
   この「空気」なるものの正体を把握しておかないと、将来なにが起こるやら、皆目見当がつかないこと
   になる。

 組織の中で、「---------と思うが、どうか?」と上が言えば、それを受け、下は動かざるを得なくなるのではないでし
ょうか。ここは、
「どうか?」で止めてはいけないのです。その場の空気が関係者の判断に影響を及ぼすようではい
けないのです。時には、その場の空気に水を差すことができる組織風土(共有・伝承されている価値観・行動規範・信念
の集合)でなければならないのです。

 このように繰り返されている不祥事が ”品質立国日本” の信頼を揺るがしています。
2018年2月21日、日本品質管理学会、日本科学技術連盟、日本規格協会が共催し、経済産業省と日本経済団体連合会の後援を得て、早稲田大学小野記念講堂において、”品質立国日本”の揺るぎなき地位の確立と次世代への継承を目的に緊急シンポジウムが開催されました。
 日本品質管理学会誌「品質」(Vol.48,No,2,2018)には、ルポルタージュ「緊急シンポジウム”品質立国日本”を揺るぎなくするために~品質不祥事の再発防止を討論する~(緊急シンポジウム実行委員会)」が10ページに渡り掲載されています。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  (2018.9.13)

35-10)改むるに憚ることなかれ(日立化成の場合)

 孔子は、人の上に立って政治を行う者の心掛けるべきことを次のように述べています。
 そして、「過ちを犯した場合には、ぐずぐずせず、すぐに改める」、このことは政治家に限ることなく、人として心掛けるべきことと考えます。

 
子 曰、「君 子 不重 則 不 威 。學 則 不固 。主忠 信。無己 者。過 則 勿改 。」    
                                      (論語・学而編)

子曰く、
 「君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ち
 ては則ち改むるに憚ること勿かれ。」と。             (出典:わかりやすい論語・孟子(鎌田正))
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 2018年6月29日、日立化成は製品検査の一部で不正行為(顧客と取決めた検査を実施せずに出荷)があったことを発表しました。対象は名張事業所で製造した「工場の非常用電源に使う産業用鉛蓄電池」、約6万台で、納入先は約500社に上るとのことです。同事業所の品質保証部長が2018年5月に所長へ不正を報告し、6月になって本社が把握した後、2011年4月から2018年6月までの製造分を調査したところ、安全性の問題は確認されていなかったとのことです。今後、外部専門家による特別調査委員会を設置して原因を究明するとしています。詳細は日立化成ホームページに記載されています。  
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 不正を起こすか起こさないかは「
不正が起こらないような企業風土の醸成不正ができない製造ラインの構築」の程度に大きな開きがあるように思われてなりません。
 専門的な知識のある担当者が、なぜ不正を起こしてしまったのか。再発防止には、一連の関係者の判断のどこに問題があったのかを明らかにすることが求められます。
 関係者の判断に
その場の空気が影響したのでしょうか?
 山本七平著「空気の研究」の中に、次のような件(くだり)があります。
   
「空気」とはまことに大きな絶対権を持った妖怪である。一種の「超能力」かも知れない。(中略)
   この「空気」なるものの正体を把握しておかないと、将来なにが起こるやら、皆目見当がつかないこと
   になる。

 組織の中で、「---------と思うが、どうか?」と上が言えば、それを受け、下は動かざるを得なくなるのではないでし
ょうか。ここは、
「どうか?」で止めてはいけないのです。その場の空気が関係者の判断に影響を及ぼすようではい
けないのです。時には、その場の空気に水を差すことができる組織風土(共有・伝承されている価値観・行動規範・信念
の集合)でなければならないのです。

 このように繰り返されている不祥事が ”品質立国日本” の信頼を揺るがしています。
2018年2月21日、日本品質管理学会、日本科学技術連盟、日本規格協会が共催し、経済産業省と日本経済団体連合会の後援を得て、早稲田大学小野記念講堂において、”品質立国日本”の揺るぎなき地位の確立と次世代への継承を目的に緊急シンポジウムが開催されました。
 日本品質管理学会誌「品質」(Vol.48,No,2,2018)には、ルポルタージュ「緊急シンポジウム”品質立国日本”を揺るぎなくするために~品質不祥事の再発防止を討論する~(緊急シンポジウム実行委員会)」が10ページに渡り掲載されています。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  (2018.6.29)

35-9)改むるに憚ることなかれ(日本碍子(通称表記:日本ガイシ)の場合)

 孔子は、人の上に立って政治を行う者の心掛けるべきことを次のように述べています。
 そして、「過ちを犯した場合には、ぐずぐずせず、すぐに改める」、このことは政治家に限ることなく、人として心掛けるべきことと考えます。

 
子 曰、「君 子 不重 則 不 威 。學 則 不固 。主忠 信。無己 者。過 則 勿改 。」    
                                      (論語・学而編)

子曰く、
 「君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ち
 ては則ち改むるに憚ること勿かれ。」と。             (出典:わかりやすい論語・孟子(鎌田正))
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 2018年5月23日、日立ガイシは製品検査の一部で不正があったことを発表しました。
「顧客と取決めた完成品の寸法検査をしなかったり、抜き取り検査数が少なかったりしたが、適切に検査した」と虚偽報告していたもので、不正は1990年代から2018年3月末にかけて行われ、対象製品は「碍子」などの絶縁部品で、国内外約500社向けの契約件数約100万件、販売数は約1億個。
 日本ガイシによると、2017年10月からグループ全製品を対象とした品質関連の自主点検において顧客との契約で定められた規格通りの受渡検査を実施していない事例が存在したことを2018年1月16日に確認。 その後、直ちに是正と製品品質の確認に着手し、現時点では顧客との契約に基づく受渡検査への切替を完了し、切替前の製品も含めて規格通りの受渡検査に合格することを確認したとのこと。詳細は日本ガイシのホームページに記載されています。  
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 不正を起こすか起こさないかは「
不正が起こらないような企業風土の醸成不正ができない製造ラインの構築」の程度に大きな開きがあるように思われてなりません。
 専門的な知識のある担当者が、なぜ不正を起こしてしまったのか。再発防止には、一連の関係者の判断のどこに問題があったのかを明らかにすることが求められます。
 関係者の判断に
その場の空気が影響したのでしょうか?
 山本七平著「空気の研究」の中に、次のような件(くだり)があります。
   
「空気」とはまことに大きな絶対権を持った妖怪である。一種の「超能力」かも知れない。(中略)
   この「空気」なるものの正体を把握しておかないと、将来なにが起こるやら、皆目見当がつかないこと
   になる。

 組織の中で、「---------と思うが、どうか?」と上が言えば、それを受け、下は動かざるを得なくなるのではないでし
ょうか。ここは、
「どうか?」で止めてはいけないのです。その場の空気が関係者の判断に影響を及ぼすようではい
けないのです。時には、その場の空気に水を差すことができる組織風土(共有・伝承されている価値観・行動規範・信念
の集合)でなければならないのです。

 このように繰り返されている不祥事が ”品質立国日本” の信頼を揺るがしています。
2018年2月21日、日本品質管理学会、日本科学技術連盟、日本規格協会が共催し、経済産業省と日本経済団体連合会の後援を得て、早稲田大学小野記念講堂において、”品質立国日本”の揺るぎなき地位の確立と次世代への継承を目的に緊急シンポジウムが開催されました。
 日本品質管理学会誌「品質」(Vol.48,No,2,2018)には、ルポルタージュ「緊急シンポジウム”品質立国日本”を揺るぎなくするために~品質不祥事の再発防止を討論する~(緊急シンポジウム実行委員会)」が10ページに渡り掲載されています。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  (2018.5.23)

35-8)改むるに憚ることなかれ(シチズン電子の場合)

 孔子は、人の上に立って政治を行う者の心掛けるべきことを次のように述べています。
 そして、「過ちを犯した場合には、ぐずぐずせず、すぐに改める」、このことは政治家に限ることなく、人として心掛けるべきことと考えます。

 
子 曰、「君 子 不重 則 不 威 。學 則 不固 。主忠 信。無己 者。過 則 勿改 。」    
                                      (論語・学而編)

子曰く、
 「君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ち
 ては則ち改むるに憚ること勿かれ。」と。             (出典:わかりやすい論語・孟子(鎌田正))

 
2017年11年10日、シチズン時計株式会社は「当社連結子会社による取引先企業向け製品出荷時の不適切行為の判明と第三者委員会の設置に関するお知らせ」をホームページに掲載しました。シチズン時計株式会社の連結子会社であるシチズン電子株式会社及びその完全子会社であるシチズン電子タイメル株式会社によるコンプライアンス違反事象が判明したことを受け、第三者委員会を設置することにした旨が記載されていました。
 不適切行為の概要は次のとおり。
  
●シチズン電子については、取引先企業との取決めにおいて、供給している製品の製造拠点を変更した場合には、
  取引先企業にその変更を申請することになっていたにもかかわらず、一部の取引先企業に対して、その変更申請を行
  わなかったことに起因し、それ以後、取引先企業と取り決めた従前の製造拠点で製造されたことを示すロット番号を
  印字したラベルを製品に貼付するなどして出荷を続けていたことが判明。
  ●さらに、シチズン電子による不適切行為は、複数の部門にまたがって行われており、出荷作業については同社の
  子会社であるシチズン電子タイメルにおいて行われているなど、関係部署等が広範囲に及んでおり、また、過去に既
  に是正がなされた製品も含め、対象製品、期間、出荷先の取引先企業の範囲などを含め、確認に時間を要しており、
  網羅的な事実関係の確認には更に時間を要する見込み。

 第三者委員会の調査の結果、シチズン電子の不適切問題(製造場所を偽って別の部品を出荷していた)については、2010年4月~2017年6月の約7年の間に119社へ計13億超個を出荷していたことが明らかになりました。
 さらに、このようなシチズン電子の不適切問題を調べる過程で新たな不正が発覚しました。
2018年2月10日の徳島新聞は「シチズン時計は9日、子会社のシチズン電子が開発段階の照明用部品の試験データを改ざんし、取引先に提出していたと発表した。」と報じました。「データ不正は2012年4月~2016年12月、照明器具向けの発光ダイオード(LED)部品の寿命を予測する試験21件で行われ、主に米国メーカーへ提出したとのことです。
 結局、
2018年2月9日付で、社長ら二人が引責辞任をしました。第三者委員会は売上至上主義や閉鎖的な企業風土が原因だと指摘しています。

 このように繰り返されている不祥事が ”品質立国日本” の信頼を揺るがしています。
2018年2月21日、日本品質管理学会、日本科学技術連盟、日本規格協会が共催し、経済産業省と日本経済団体連合会の後援を得て、早稲田大学小野記念講堂において、”品質立国日本”の揺るぎなき地位の確立と次世代への継承を目的に緊急シンポジウムが開催されました。
 日本品質管理学会誌「品質」(Vol.48,No,2,2018)には、ルポルタージュ「緊急シンポジウム”品質立国日本”を揺るぎなくするために~品質不祥事の再発防止を討論する~(緊急シンポジウム実行委員会)」が10ページに渡り掲載されています。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。   (2018.5.2)

35-7)改むるに憚ることなかれ(宇部興産の場合)

 孔子は、人の上に立って政治を行う者の心掛けるべきことを次のように述べています。
 そして、「過ちを犯した場合には、ぐずぐずせず、すぐに改める」、このことは政治家に限ることなく、人として心掛けるべきことと考えます。

 
子 曰、「君 子 不重 則 不 威 。學 則 不固 。主忠 信。無己 者。過 則 勿改 。」    
                                      (論語・学而編)

子曰く、
 「君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ち
 ては則ち改むるに憚ること勿かれ。」と。             (出典:わかりやすい論語・孟子(鎌田正))

 
 
2018年2月23日、宇部興産のホームページに「品質検査に関する不適切行為について」が掲載され、同日、社長記者会見が行われました。これを受け、3月23~24日、マスメディア各社は宇部興産の不正を一斉に報道しました。
 宇部興産の報道発表資料には「宇部興産及び丸善石油化学が折半して出資する宇部丸善ポリエチレンが過去に販売した製品の一部につき、生産を請け負う千葉石油化学工場において顧客との契約に基づく製品検査項目の一部を実施していなかったことが判明したので、公表した」とあります。以下は、その概要です。
(1)対象製品は低密度ポリエチレン製品のうち主として押出被覆用途向けに販売された製品で、同社が販売するポリエチレン数量の約7%に相当。
(2)2017年11月より宇部興産グループ全製品の品質調査を行っていた中で、千葉石油化学工場が生産を請け負う低密度ポリエチレン製品において、顧客への納入仕様書に規定された製品検査項目の一部について実際には試験・分析をしていないにもかかわらず、検査成績表に記載している事実が
2017年12月11日に確認されたとのこと。
(3)対象となる製品の出荷先は33企業グループ(50社)。
なお、 不正の開始時期は調査中と記載されていますが、一部メディアでは1990年代から行われていたと報道されています。
 また、
2018年4月27日、宇部興産は弁護士および社外取締役で構成される調査委員会からの調査報告書の受領時期が当初予定の4月末から6月初旬頃に変更されたことをホームページ上で「検査上の不適切行為に関する調査委員会の調査報告書受領時期に関するお知らせ(更新)」として公表しています。遅延の理由は、宇部興産のステークホルダーからの納得および信頼を得るに足る水準を確保するため、グループ会社も含めて対象範囲を拡大した調査を行うには更に時間を要するとのことです。

 このように繰り返されている不祥事が ”品質立国日本” の信頼を揺るがしています。
2018年2月21日、日本品質管理学会、日本科学技術連盟、日本規格協会が共催し、経済産業省と日本経済団体連合会の後援を得て、早稲田大学小野記念講堂において、”品質立国日本”の揺るぎなき地位の確立と次世代への継承を目的に緊急シンポジウムが開催されました。
 日本品質管理学会誌「品質」(Vol.48,No,2,2018)には、ルポルタージュ「緊急シンポジウム”品質立国日本”を揺るぎなくするために~品質不祥事の再発防止を討論する~(緊急シンポジウム実行委員会)」が10ページに渡り掲載されています。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。   (2018.5.1)

35-6)改むるに憚ることなかれ(東レ子会社の場合)

 孔子は、人の上に立って政治を行う者の心掛けるべきことを次のように述べています。
 そして、「過ちを犯した場合には、ぐずぐずせず、すぐに改める」、このことは政治家に限ることなく、人として心掛けるべきことと考えます。

 
子 曰、「君 子 不重 則 不 威 。學 則 不固 。主忠 信。無己 者。過 則 勿改 。」    
                                      (論語・学而編)

子曰く、
 「君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ち
 ては則ち改むるに憚ること勿かれ。」と。             (出典:わかりやすい論語・孟子(鎌田正))

 
2017年11月29日「東レは28日、子会社の東レハイブリッドコードが製品検査データを改ざんしていたと発表した。不正は2008年4月から16年7月に149件あり、強度などを偽装したタイヤの補強材などを13社に納入していた。16年7月に問題を把握しながら1年超も公表しておらず、情報開示の姿勢を問われそうだ。」と徳島新聞は報じています。
 東レは、改ざん公表の前日、11月27日に有識者委員会を立ち上げ、製品検査データの書き換えに関する調査及びそれに基づく再発防止策の策定などを委託していましたが、有識者委員会による「調査報告書(2017年12月25日)」を受領したため、
12月27日に公表したものです。(赤字・太字など強調は筆者)
 報告書によると、データ改ざんに関与したのは2008年4月~2011年12月、2012年1月~2016年9月に品質保証室長を務めた二人のみで、組織的な関与はなかったと判断しています。また、実行者である品質保証室長からは「検査業務中、測定装置の劣化によって異常値を示すケースがあったが、部品調達の都合上、修理すると納期に間に合わないと判断。「僅差の外れについては品質に問題はない」とし、データを書き換えていた」との供述が得られています。
 
2018年3月30日、東レは「品質データに関する東レグループ一斉調査結果のお知らせ」を公表し、法令違反や製品の安全性に影響がある事案はなく、公表すべき案件はないことを確認したとしています。
 ところで、東レが改ざんを公表した翌日、
2017年11月29日の世耕経済産業大臣の閣議後記者会見で次のような質疑応答がありました。  
   
Q:昨日、東レが子会社の方で一部製品の検査データを改ざんしていたことを明らかにしました。去年7月に把握
   していたにもかかわらず、昨日の公表となりました。経団連の榊原会長が社長を務めていた時代にも不正がありま
   した。 このような日本を代表するような会社の不正が明るみになったことについての受け止めと、社会に影響が
   なければ公表しないという企業姿勢がいいのかということについて、大臣の見解を教えてください。
   A:既に複数の素材メーカーの事案が生じている中で新たな不正事案が判明したということは、極めて遺憾であり
   ます。 東レから報告があった後、直ちに担当部局から適切な顧客対応、そして再発防止策の実施などをしっかり
   と進めるように指示したところであります。私は、引き続き日本の製造業というのは、やはり高い品質で世界から
   信頼を得ていると思っていますが、こういう事案が非常に五月雨式に出てきている、そして公表のタイミングもは
   っきり言って非常に遅い。こういうことは日本の製造業の信頼を傷つけかねないことだと思っております。もう
   既に、産業界においては、自らの会社でこういった類似の事案がないかどうかを確認する動きがあると承知してい
   ますが、これはもう当然のことだと思います。そして、そういう中で、万一類似の事案が確認をされた場合には、
   顧客対応などとは別に速やかに社会に対して公表をして、社会からの信頼回復に全力を注ぐことを期待したいと
   思います。


 このように繰り返されている不祥事が ”品質立国日本” の信頼を揺るがしています。2018年2月21日、日本品質管理学会、日本科学技術連盟、日本規格協会が共催し、経済産業省と日本経済団体連合会の後援を得て、早稲田大学小野記念講堂において、”品質立国日本”の揺るぎなき地位の確立と次世代への継承を目的に緊急シンポジウムが開催されました。
 日本品質管理学会誌「品質」(Vol.48,No,2,2018)には、ルポルタージュ「緊急シンポジウム”品質立国日本”を揺るぎなくするために~品質不祥事の再発防止を討論する~(緊急シンポジウム実行委員会)」が10ページに渡り掲載されています。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。 (2018.4.28)

35-5)改むるに憚ることなかれ(神戸製鋼所の場合)

 孔子は、人の上に立って政治を行う者の心掛けるべきことを次のように述べています。
 そして、「過ちを犯した場合には、ぐずぐずせず、すぐに改める」、このことは政治家に限ることなく、人として心掛けるべきことと考えます。

 
子 曰、「君 子 不重 則 不 威 。學 則 不固 。主忠 信。無己 者。過 則 勿改 。」    
                                      (論語・学而編)

子曰く、
 「君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ち
 ては則ち改むるに憚ること勿かれ。」と。             (出典:わかりやすい論語・孟子(鎌田正))

 2018年4月26日,
「神戸製鋼所の製品データ改ざん問題で東京地検特捜部と警視庁捜査二課が捜査に乗り出したことが25日、関係者への取材で分かった。組織ぐるみで不正を繰り返していた疑いがあり、不正競争防止法違反(虚偽表示)罪の適用を視野に全容解明を進める。日本のメーカーへの信頼を失墜させた不祥事は、刑事事件に発展する可能性が高まった。」と徳島新聞は報じています。

 神戸製鋼所を巡っては
2017年10月8日にアルミ製品の一部で強度などの性能データを改ざんして納入していたことが公表されて以降、アルミや銅、鉄鋼製品などで強度などの検査データを改ざんして出荷していたことが次々に明らかになりました。 神戸製鋼所のホームページには「不適切行為への対応について」のページがあり、次のように記され、随時更新されています。(赤字・太字など強調は筆者)
   
2018年3月6日付の報告書において、外部調査委員会の調査によって明らかになった事実関係とともに、その
   原因分析や再発防止策を公表しております。当社グループは、今後とも最優先事項としてお取引先様とともに安全
   性の検証に取り組むとともに、明らかになった事実を受け止め、将来に亘り風化させることなく、再発防止策の項
   で述べた抜本的改革を進めてまいります。」

 
 2018年3月6日付「当社グループにおける不適切行為に関する報告書」で、改ざんには複数の役員や元役員が関わっていたこと、国内外の23工場で改ざんがあったこと、納入先が600社以上に及ぶことなどが明らかになりました。
 アルミ製品を製造していた真岡製造所では遅くとも1970年代に改ざんが始まっていたようです。真岡製造所(特に品質保証部の各品質保証室)では、検査結果の改ざんにより製品を出荷する行為を、「トクサイ」と呼んでいたと記されています。報告書では、社内基準を満たさないが 公的規格又は顧客仕様を満たす製品を再検査等することなく出荷する処置や、顧客仕様を満たさない製品を顧客の同意を得た上で出荷する処置を意味する、通常の「特採」とは性質が異なるため「トクサイ」と記載している旨、注釈が加えられています。
 この「トクサイ」は三菱マテリアル子会社立花金属における不正手段の「社内特採」と類似しています。また、三菱マテリアル子会社ダイヤメットにおける改ざん不正始まりの可能性が1977年頃であるなど、共通する点が多いのも気になります。ものづくりの現場で何が起きていたのでしょうか。
 報告書における原因分析の件では、原因を二つに分けて詳述しています。
 【直接的原因
  ① 工程能力に見合わない顧客仕様に基づいて製品を受注・製造していたこと
  ② 検査結果等の改ざんやねつ造が容易にできる環境であったこと
  ③ 各拠点に所属する従業員の品質コンプライアンス意識が鈍麻していたこと
 【根本的原因
  ① 収益偏重の経営と不十分な組織体制
  ② バランスを欠いた工場運営と社員の品質コンプライアンス意識の低下
  ③ 本件不適切行為を容易にする不十分な品質管理手続
 
 このように繰り返されている不祥事が ”品質立国日本” の信頼を揺るがしています。2018年2月21日、日本品質管理学会、日本科学技術連盟、日本規格協会が共催し、経済産業省と日本経済団体連合会の後援を得て、早稲田大学小野記念講堂において、”品質立国日本”の揺るぎなき地位の確立と次世代への継承を目的に緊急シンポジウムが開催されました。
 日本品質管理学会誌「品質」(Vol.48,No,2,2018)には、ルポルタージュ「緊急シンポジウム”品質立国日本”を揺るぎなくするために~品質不祥事の再発防止を討論する~(緊急シンポジウム実行委員会)」が10ページに渡り掲載されています。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。 (2018.4.26)

35-4)改むるに憚ることなかれ(三菱マテリアル子会社の場合②)

 孔子は、人の上に立って政治を行う者の心掛けるべきことを次のように述べています。
 そして、「過ちを犯した場合には、ぐずぐずせず、すぐに改める」、このことは政治家に限ることなく、人として心掛けるべきことと考えます。

 
子 曰、「君 子 不重 則 不 威 。學 則 不固 。主忠 信。無己 者。過 則 勿改 。」    
                                      (論語・学而編)

子曰く、
 「君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ち
 ては則ち改むるに憚ること勿かれ。」と。             (出典:わかりやすい論語・孟子(鎌田正))

 2018年3月28日、三菱マテリアルは、子会社で発覚した品質データ改ざん問題の最終報告書を発表しました。
 この最終報告書は、三菱マテリアルのホームページにある「当社子会社における不適合品への対応状況について」というお知らせに「当社子会社における不適合品に関する特別調査委員会最終報告について」の表題で掲載されています。
 この最終報告書には西村あさひ法律事務所が作成した次の調査報告書が添付されています。
 ◎三菱マテリアルあて調査報告書
    「3月27日付、三菱アルミニウム株式会社における不適切事象及び子会社管理上の問題点に関して」
 ◎三菱マテリアルあて調査報告書
    「3月27日付、ダイヤメット新潟工場における焼結製品の品質管理体制の実態について」
 これらによりますと、子会社の「ダイヤメット」では1977年ごろから不正が行われていた可能性があり、経営陣が改ざんを知りながら会社の存続を優先し、出荷を続けていたほか、親会社の監査に対し、前の社長の指示で改ざんを示す資料の隠蔽を図っていたとしています。
 また、子会社の「三菱アルミニウム」では、少なくとも1990年代後半には不正が行われ、データの改ざんマニュアルとも言える「特採処置実施規定」があったことも確認されました。
 さらに、立花金属では社内特採、ダイヤメットでは最終検査不実施、最終検査の後追い実施、不適合品流出の放置などの不正が判明しています。
 特別調査委員会の調査により、長期的、組織的な不正の実態が明らかになりましたが、グループ各社に染みついたこのような不正体質を抜本的に改めるのは容易ではなさそうです。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。 (2018.3.29)

35-3)改むるに憚ることなかれ(三菱マテリアル子会社の場合)

 孔子は、人の上に立って政治を行う者の心掛けるべきことを次のように述べています。
 そして、「過ちを犯した場合には、ぐずぐずせず、すぐに改める」、このことは政治家に限ることなく、人として心掛けるべきことと考えます。

 
子 曰、「君 子 不重 則 不 威 。學 則 不固 。主忠 信。無己 者。過 則 勿改 。」    
                                      (論語・学而編)

子曰く、
 「君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ち
 ては則ち改むるに憚ること勿かれ。」と。             (出典:わかりやすい論語・孟子(鎌田正))

 三菱マテリアルは
2017年11月23日、子会社の三菱電線工業、三菱伸銅、三菱アルミニウムの3社で検査データの改ざんなどの不正があったと発表しました。三菱電線工業と三菱伸銅は契約した品質基準に満たない製品の検査データを書き換えて出荷していたようです。不正出荷した顧客は258社に上ります。(以下、色付・太字強調は筆者)
 この発表を受けて、
11月24日、世耕経済産業大臣は閣議後の記者会見で次のように述べています。
 Q:(略)神戸製鋼に続いて、三菱グループでもデータ不正が発覚しました。一グループにとどまらない問題となってきましたけれども、日本のもの作りへの信頼への懸念がさらに深まりそうですが、大臣の御所見をお願いします。
 
A:既に日産、神戸製鋼、スバルといった個別の事案が生じている中で新たな不正事案が判明したことは極めて遺憾だと思っています。 (略)関係する企業がしっかりと原因究明と再発防止に取り組んで、そしてその結果を産業界全体で共有をして、このような事案が今後ほかで起きないよう取り組むことが重要だと思っています。 (略) 多くの日本企業の製品は、引き続き世界で高い信頼を得ているわけでありまして、今回出てきた複数の事案は、その信頼を裏切る行為でありまして、そういった信頼を裏切ることがないよう、産業界にはしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 Q: (略)やはりこれは個社の問題なのか、日本の製造業として、もうかなりはびこっている問題なのかということがまず1点目。それから2点目は、出荷の停止が行われてから事実関係の公表まで1カ月程度かかっています。 (略)この期間というのは適正なのか。なかなか自分から公表する姿勢が昨日のリリースからも見受けられなかったんですけれども、その点、大臣の所見をお願いします。
 
A:私は、基本的に今回の問題は、まあ、複数出ていますけれども、あくまでも個社の問題だと思っています。何か業界で打ち合わせをしているとか、業界で慣行があるとか、そういう話ではないんだろう。ただ、個社のコンプライアンスに関する、あるいは顧客に対する情報提供に関して甘い考えがあった会社があったということだと思いますので、これを機会に二度と起こることがないように、しっかりとこの反省点と再発防止の考え方というのを産業界全体で共有をしていくということが重要だと思っています。 公表に、今回、三菱マテリアルの件は、公表にはっきり言って半年以上かかっているわけであります。これは確かに時間がかかっていると思います。 (略)
 三菱マテリアルのホームページには”5分でわかる三菱マテリアル”の中で「三菱マテリアルのDNA~各事業のルーツ」が紹介されており、三菱電線工業と三菱伸銅は金属事業の関係会社に含まれています。
 三菱マテリアルは、三菱の創始者・岩崎彌太郎が1871年に九十九商会において手掛けた炭鉱・金属鉱山事業がルーツとなっています。両社が属する金属事業について「5分でわかる」では次のように紹介されています。
 明治から大正・昭和にかけて、日本の近代化のために必要とされる銅をはじめとする金属の需要に応えるために全国各地で金属鉱山を稼行するとともに、1917年に各地銅鉱山の低品位鉱の利用、排ガス対策の観点から当時最新の反射炉を有する製錬所を香川県直島に設置。銅鉱山の山元で行う小規模製錬から進化した日本屈指の大規模臨海製錬所となり、今日も操業が行われています。
 三菱マテリアルのホームページに「当社子会社における不適合品への対応状況について」というお知らせが随時アップされています。
 
2017年12月28日の「当社子会社における不適合品に関する特別調査委員会中間報告について」には西村あさひ法律事務所が作成した次の調査報告書が添付されています。
 ◎三菱伸銅あて調査報告書「12月27日付、若松製作所における不適合品の出荷に関して」
 ◎三菱電線工業あて調査報告書「12月27日付、簑島製作所におけるシール製品等の品質管理体制の実態について」
 これらの調査報告書からは、長期的、組織的な不正の実態が明らかになりました。
「顧客との取り決めよりも技術力に優れたわれわれの判断で問題ない」というおごりの蔓延により、不正が常態化していたようです。
 三菱伸銅では「
ポイント表」(改訂記録上、1999年5月20日には存在)、三菱電線工業では「シルバーリスト」(1996年頃には存在?)と呼ばれる「裏マニュアル」の存在が明るみになりました。これらの裏マニュアルこそが、不適合品を適合品として日常的に出荷していた不正の根源です。
 さらに、
2018年2月8日、三菱マテリアルは子会社である三菱アルミニウム、立花金属工業、ダイヤメットの3社で新たな品質不正があったと発表しました。
 測定データの改ざんが行われた対象製品の出荷先は合わせて約500社に上る模様です。
 この発表を受け、
2月9日、世耕経済産業大臣は閣議後の記者会見で次のように述べています。
(略)
 Q: 昨日、三菱マテリアルが新たに子会社3社の不正を発表しましたが、大臣の受け止めは、どのようなふうに受け止められているかということと、あと今後経産省としてどのように対応していくのか、お考えをお聞かせください。
 
A: 昨年12月の調査発表で、「これ以上の不正事案はない」と公表していたにもかかわらず、新たな不正事案がまた出てきたということは、先の調査の信頼性を損ねるものでもありまして、極めて遺憾であります。とんでもないと思っています。経産省からは、安全性の検証や顧客への説明を速やかに完了して、原因の究明、再発防止策の検討を迅速に行うよう、改めて指示をしたところであります。 加えて、今後予定している全国で120カ所と聞いていますが、全ての拠点の現地調査を速やかに完了することを求めていきたいと思っております。 ともかくしっかりと膿を出し切って、お客様はもちろんのこと、社会全体からの信頼回復に三菱マテリアルグループはしっかりと取り組むよう最大限の努力を求めたいと思っています。 (略)
 
2018年2月20日、三菱マテリアルのホームページには、「当社子会社における不適合品に関する特別調査委員会中間報告(2)について」がアップされました。この中間報告には、西村あさひ法律事務所が作成した三菱電線工業あて調査報告書「2月19日付、簑島製作所におけるシール製品等の品質管理体制の実態について」が添付されています。
 この報告書の 2原因分析の(5)項では「
品質を管理できているというおごりの意識」について詳述されています。
 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。 (2018.3.27)

35-2)改むるに憚ることなかれ(日産自動車の場合)

 孔子は、人の上に立って政治を行う者の心掛けるべきことを次のように述べています。
 そして、「過ちを犯した場合には、ぐずぐずせず、すぐに改める」、このことは政治家に限ることなく、人として心掛けるべきことと考えます。

 
子 曰、「君 子 不重 則 不 威 。學 則 不固 。主忠 信。無己 者。過 則 勿改 。」    
                                      (論語・学而編)

子曰く、
 「君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ち
 ては則ち改むるに憚ること勿かれ。」と。             (出典:わかりやすい論語・孟子(鎌田正))

2017年10月3日の定例記者会見で、石井国土交通大臣は、今回の日産自動車による検査の不正問題について「(一部抜粋)型式指定自動車の製作者が、完成検査を適切に実施していなかったことは、自動車の使用者等に不安を与え、かつ自動車型式指定制度の根幹を揺るがす行為であり、極めて遺憾であります。」と答えています。
 不正発覚から現在までの印象に残った動きを整理してみました。

2017年9月30日、「日産が無資格審査、21車種6万台販売停止」(徳島新聞(1)総合)。 これは国土交通省の立ち入り検査等で明らかになったものです。 10月3日に行われた定例記者会見で石井国土交通大臣は次のように答えています。
(問)日産の検査の不正問題についてお尋ねします。 西川社長が昨日、121万台をリコールすると発表しました。 大臣の受け止めと新たに判明した事実関係、それと今後の国土交通省の対応についてお聞かせください。
(答)今般、日産自動車の型式指定自動車を生産している全6工場におきまして、完成検査において不適切な取扱がなされていることが、当省の立入検査等により明らかになりました。型式指定自動車の製作者が、完成検査を適切に実施していなかったことは、自動車の使用者等に不安を与え、かつ自動車型式指定制度の根幹を揺るがす行為であり、極めて遺憾であります。 当省といたしましては、自動車の安全性の確保を最優先に考え、既に販売・登録された車両の市場措置等の対応を至急検討するとともに、事実関係の詳細を調査し、再発防止策を検討、報告するよう指示いたしました。(以下省略)
10月5日、「悪質偽装広がる不信 日産、ずさん管理露呈」(徳島新聞(33)社会)
10月7日、「無資格審査 日産リコール116万台 国交省に届け出 対象38車種に拡大」(徳島新聞(3)総合)
10月30日、報道発表資料「日産自動車(株)における完成検査の不適切な取扱いを受けた他の自動車メーカー等における確認の結果について」によると「国土交通省では、日産自動車(株)における完成検査の不適切な取扱いを受け、本年9月29日、その他の自動車メーカー等に対して、同様の不適切な取扱いの有無等に係る調査を実施し、その結果を一ヶ月以内に報告するよう要請しました。別紙のとおり、(株)SUBARUより、完成検査において不適切な取扱いを実施していたとの報告を、その他の自動車メーカー等においては、不適切な取扱いはなかったとの報告を受けております。」と公表されました。
11月3日、「無資格審査日産2工場立ち入り 国交省再発防止策を確認」(徳島新聞(11)経済)
11月7日、「日産社内資格試験も不正受験者、解答を丸写し」(徳島新聞(28)社会)
11月18日、「日産無資格審査38年前から調査報告社長引責辞任を否定」(徳島新聞(3)総合)
11月21日、報道発表資料「日産自動車(株)への不適切な完成検査に関する指示について」によると「本年9月29日付で日産自動車(株)に対し不適切な完成検査の過去からの運用状況等、事実関係の詳細を調査し及び再発防止策を検討し、一ヶ月を目処に報告するよう指示したことを受け、11月17日に同社より事実関係の調査結果及び再発防止策が報告を受けました。
 報告書の提出を受け、同社に対し自動車局長から下記のとおり、[1]及び[2]に係る事項について指示し、[3]に係る事項について通知しました。
 [1] 報告に記載された再発防止策の実施を徹底すること 
 [2] 当面の間、本報告に記載された再発防止策の実施状況について、四半期毎に報告すること  
 [3] 再発防止策の実施状況を踏まえるとともに、立入検査の結果や今般の報告内容を精査した上で、
    必要に応じて追加措置がありうること 」が公表されました。
11月21日に行われた定例記者会見で石井国土交通大臣は次のように答えています。
(問)日産自動車による不適切な完成検査の問題で、報告書が提出されましたが、まずこれについての受け止めと、報告書の内容について日産自動車が実際にこの実態をどこまで把握しているのか、再発防止に向けた内容といえるのかについて、大臣のお考えを教えてください。
(答)日産自動車に対しましては、9月29日に指示を行った事実関係の詳細調査、再発防止策の検討については、その後発覚した一連の不適切事案を含め、1ヶ月を目途に報告するよう指示していたところでありますが、11月17日に日産自動車より報告がありました。 国土交通省としましては、日産自動車が報告書においてとりまとめた再発防止策を着実に実施し、完成検査における不適切な取扱いが二度と行われることのないよう、改めて強く求めてまいります。
12月22日に行われた定例記者会見で石井国土交通大臣は次のように答えています。(前段省略)
(問)その日産自動車も、無資格検査で本日、立入検査となりました。その狙いと今後の対応についてお伺いします。 (答)9月29日に指示を行った事実関係の詳細調査、再発防止策の検討については、その後発覚した一連の不適切な事案を含め、1ヶ月を目途に報告するよう指示をしていたところ、11月17日に日産自動車より報告がなされたところです。この報告書では、今回の事案の背景として、社内監査や内部通報の形骸化、管理者層と完成検査現場との壁の存在等が挙げられており、それらを踏まえた再発防止策が記載されております。今般、この報告書の内容が適正かどうか等を確認するため、日産自動車本社に立入検査を実施しています。国土交通省といたしましては、今般の立入検査の結果も踏まえ、必要となる対応について厳正に対処することとしております。(下線強調は筆者、以下省略)

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。 (2017.12.29)

35-1)改むるに憚ることなかれ(2017不正事例5件)

 孔子は、人の上に立って政治を行う者の心掛けるべきことを次のように述べています。
 そして、「過ちを犯した場合には、ぐずぐずせず、すぐに改める」、このことは政治家に限ることなく、人として心掛けるべきことと考えます。

 
子 曰、「君 子 不重 則 不 威 。學 則 不固 。主忠 信。無己 者。過 則 勿改 。」    
                                      (論語・学而編)

子曰く、
 「君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ち
 ては則ち改むるに憚ること勿かれ。」と。             (出典:わかりやすい論語・孟子(鎌田正))

 次図は昨年発覚した不正事例のうち、特に印象が強かった5件です。

図1.2017不正事例5件


 失敗した場合には、嘘をついたり、隠したり、辻褄合わせに走ることなく、適切に対応するしか道はありません。同じ失敗を繰り返さないために何をなすべきかを考えなければならないのです。辻褄合わせに費やす労力は再発防止に向けなければなりません。知らないことは知るように努力をしなければなりません。聞いてわかることは聞く、調べてわかることは調べる努力を怠ってはならないのです。

 論語は「学而」から「堯曰」までの全20編で構成されています。孔子と彼の高弟の言行を弟子達が記録した書物で、512の文章からなっています。儒教における四書(『論語』『孟子』『大学』『中庸』)の一つです。二千数百年前に東洋に現れた偉大な人物、孔子の言行を集めた『論語」は現代を生きる我々が読み返すべき良書の一つではないでしょうか。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。 (2017.12.29)

35)改むるに憚ることなかれ(論語・学而編)(再掲)

 孔子は、人の上に立って政治を行う者の心掛けるべきことを次のように述べています。
 そして、「過ちを犯した場合には、ぐずぐずせず、すぐに改める」、このことは政治家に限ることなく、人として心掛けるべきことと考えます。

 
子 曰、「君 子 不重 則 不 威 。學 則 不固 。主忠 信。無己 者。過 則 勿改 。」    
                                      (論語・学而編)

子曰く、
 「君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ち
 ては則ち改むるに憚ること勿かれ。」と。             (出典:わかりやすい論語・孟子(鎌田正))

 失敗した場合には、嘘をついたり、隠したり、辻褄合わせに走ることなく、適切に対応するしか道はありません。

 筆者は安全情報メモ20)ものづくりの現場で失われたものの中で次のように総括しました。
   2000年に失敗学の提唱者である畑村は「失敗体験が真の科学的理解を生む」流れを図1のように表現しました。
   そして、「ある失敗を次の失敗の防止や成功の種に結びつけるには失敗が起きるに至った原因や経過などを正しく
   分析した上で、知識化して誰もが使える知識として第三者に情報伝達することが重要なポイントとなる」と指摘し
   ています。
   また、日本品質管理学会の複合技術領域における人間行動研究会では ヒューマンエラーや標準不遵守に起因する
   事故の未然防止のための従来の方法を整理するとともに、必要に応じて新しい手法の開発を行い、これらをパッケ
   ージ化された方法論として体系化することをねらいとして活動し、2002年には最終報告書「人間行動に起因する
   事故・品質トラブルの未然防止のための方法論の体系化」をまとめています。
   これらに共通しているのは失敗(事故やトラブルなど)の本質(真実)を見抜く確かな眼が必要であるという視点では
   ないでしょうか。IT技術の発展により誰もが簡単に世界中から欲しい情報を手に入れることができるようになりま
   した。この行為は特別に責められるものではありません。しかし、入手した情報を安易に利用することにより生じ
   る弊害があることを忘れてはなりません。本来、知識や経験は努力して、苦労して身につけるべきものです。真偽
   は元より本質を見抜く努力を怠るとそのつけは自分に返ってくるでしょう。今、正に、組織を構成する個々の知的
   レベルが試されています。バブル崩壊以降の失われた10年(あるいは20年)の間に、ものづくりの現場で失われた
   「本質(真実)を追求する意欲」を復活しなければなりません。

 失敗した場合には、嘘をついたり、隠したり、辻褄合わせに走ることなく、適切に対応しなければなりません。同じ失敗を繰り返さないために何をなすべきかを考えなければならないのです。辻褄合わせに費やす労力は再発防止に向けなければなりません。知らないことは知るように努力をしなければなりません。聞いてわかることは聞く、調べてわかることは調べる努力を怠ってはならないのです。

 論語は「学而」から「堯曰」までの全20編で構成されています。孔子と彼の高弟の言行を弟子達が記録した書物で、512の文章からなっています。儒教における四書(『論語』『孟子』『大学』『中庸』)の一つです。二千数百年前に東洋に現れた偉大な人物、孔子の言行を集めた『論語」は現代を生きる我々が読み返すべき良書の一つではないでしょうか。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  
(2014.3.19⇒2017.12.29再掲)

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