消費生活問題メモ8Consumer information
8)はしご・脚立等の事故
2006〜2010年の間に、NITEの製品安全センターに通知された「はしごや脚立等の事故」は、189件ありました。それらの内、「専ら誤使用や不注意な使い方と考えられるもの」によるものは、121件(64%)あり、死亡・重傷など重篤な被害が多く発生しています。
NITEの事故情報データベース(1996〜現在までデータベース上で検索可能な情報)によると死亡者数は次のようになっています。
◆はしごの事故 12人
◆脚立の事故 10人
このため、製品安全センターは使用者が製品を正しく使用して事故を防止するための注意喚起を行いました。
以下は、報道発表資料の注意喚起の内容です。
(詳細は URL http://www.nite.go.jp/jiko/press/prs120322.html をご覧ください。)
ーーー本文ーーー
NITE製品安全センターに通知された製品事故情報のうち、平成18年度から平成 22年度の5年間に発生した、はしごや脚立等(※1)の事故は、189件(※2)ありま
した。被害の状況は、死亡事故が11件、重傷事故が72件、軽傷事故が97件、拡大被 害が1件、製品破損が8件(※3)でした。
はしごや脚立等の事故を事故原因別にみると189件のうち、「専ら誤使用や不注意な 使い方と考えられるもの(事故原因区分E)」によるものは、121件(64%)あり、
死亡・重傷など重篤な被害が多く発生しています。 はしごや脚立等の事故189件について事故を現象別に分類すると次のような事故が多 く発生しています。
@作業中にバランスを崩して転落した。
A昇降時にバランスを崩して転落した。
B不安定な場所に設置したためバランスを崩して転落した。
はしごや脚立等の事故は、平成20年度から増加傾向にあり、誤った使い方をしないよ う注意することによって防ぐことのできる事故が多いため、正しく使用し事故を防止する
よう注意喚起することとしました。
(※1)はしご、脚立(三脚型脚立及びはしご兼用脚立を含む)及び踏み台を指す。
(※2)平成24年2月29日現在、重複、対象外情報を除いた件数。
(※3)被害状況で「死亡」、「重傷」、「軽傷」と同時に「拡大被害」や「製品破損」が発生している場合 は、
「拡大被害」や「製品破損」にはカウントせず。
ところで、労働災害におけるはしごや脚立の事故はどのようになっているのでしょうか。
厚生労働省の「職場の安全サイト(http://anzeninfo.mhlw.go.jp)」には各種の労働災害統計がまとめられています。次表1は、事故の型別、起因物別の死傷災害の発生状況(2010〜2012年)におけるはしごや脚立等による死傷者数を示したものです。
表1 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
全産業 事故の型 起因物 死傷者数、
墜落・転落 はしご等 ( )内、死亡者数
2012年 119,576(1,084) 20,275(268) 4,628(29)
2011年 119,622(2.342) 20.051(282) 4.549(23)
2010年 116,733(1,180) 19,458(310) 4,381(41)
2012年の労働災害の死亡者数では、墜落・転落の割合が最も高くなっています。そして、上表1に示すとおり、墜落・転落事故の約23%の起因物が「はしご等」になっています。
このため、労働安全衛生規則には次のように規定されています。はしごや脚立を使用する場合は注意が必要です。
(移動はしご)
527条 事業者は、移動はしごについては、次に定めるところに適合したものでなければ使用し てはならない。
1 丈夫な構造とすること。
2 材料は、著しい損傷、腐食等がないものとすること。
3 幅は三十センチメートル以上とすること。
4 すべり止め装置の取付けその他転位を防止するために必要な措置を講ずること。
(脚立)
528条 事業者は、脚立(きやたつ)については、次に定めるところに適合したものでなければ使 用してはならない。 1 丈夫な構造とすること。
2 材料は、著しい損傷、腐食等がないものとすること。
3 脚と水平面との角度を七十五度以下とし、かつ、折りたたみ式のものにあつては、脚と水平面との 角度を確実に保つための金具等を備えること。
4 踏み面は、作業を安全に行なうため必要な面積を有すること。
当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。
(2013.10.13)
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