消費者庁
消費者庁は2008年1月18日に福田康夫首相が第169回国会で行った施政方針演説の中で示した、「消費者行政を統一的、一元的に推進するための、強い権限を持つ新組織」の構想を具体化した行政機関です。
施政方針演説では次のように述べられています。
(略)国民に新たな活力を与え、生活の質を高めるために、これまでの生産者・供給者の立場からつくられた法律、制度、さらには行政や政治を国民本位のものに改めなければなりません。国民の安全と福利のために置かれた役所や公の機関が、時としてむしろ国民の害となっている例が続発しております。私は、このような姿を本来の形に戻すことに全力を傾注したいと思います。
今年を「生活者や消費者が主役となる社会」へ向けたスタートの年と位置付け、あらゆる制度を見直していきます。現在進めている法律や制度の「国民目線の総点検」に加えて、食品表示の偽装問題への対応など、各省庁縦割りになっている消費者行政を統一的・一元的に推進するための、強い権限を持つ新組織を発足させます。併せて消費者行政担当大臣を常設します。新組織は、国民の意見や苦情の窓口となり、政策に直結させ、消費者を主役とする政府の舵取り役になるものです。既に検討を開始しており、なるべく早期に具体像を固める予定です。(略)
そして、2009年9月1日、消費者庁は消費者の視点から政策全般を監視する組織の実現を目指して 発足しました。
消費者庁の詳細につきましてはホームページ(http://www.caa.go.jp/)に記載されています。
消費者庁は「消費者・生活者が主役となる安全・安心社会の実現を目指して」おり、所管する業務は多岐にわたっています。当事務所では多岐にわたる業務の中から、特に「消費者安全」を採り上げ、安全・安心社会の実現の一助となるような情報を発信していきたいと考えています。
消費者安全
消費者庁の「消費者安全」では「消費者の生命・身体の安全の確保」が取り組みの中心です。以下は、消費者庁の主な取組み内容です。
1)基本情報一元化
・消費者安全法〜消費者安全法に基づき、関係機関から事故情報を一元的に集約し、その分析・原因究明等を行い、
被害の発生・拡大防止を図る。
いわゆる「すき間事案」への対応に取り組む。
・消費生活用製品安全法(重大事故情報報告・公表制度)〜消費生活用製品の製造事業者等は重大な製品事故が発生
したことを知ったときは10日以内に消費者庁に報告しなければならない。
消費者庁は当該事故情報を迅速に公表するなどの措置を行う。
2)事故調査に関連する取組み
・消費者安全調査委員会〜消費生活上の生命・身体被害に係る事故の原因を究明するための調査を行い、被害の発生
又は拡大の防止を図る。
3)その他所管・共管法令に基づく取組み
・食品安全基本法〜食品の安全性を確保するためには、リスク評価、リスク管理とリスクコミュニケーションを一体
として進めることが必要。消費者庁では、関係府省庁と連携して、リスクコミュニケーションの推
進を図る。
・製造物責任法〜製品の欠陥によって生命・身体又は財産に被害を被ったことを証明した場合に、被害者が製造会社
などに対して損害賠償を求めることができることとした民事ルール。
消費者安全調査委員会
消費者安全調査委員会は、消費生活上の生命・身体被害に係る事故の原因を究明するための調査を行い、被害の発生又は拡大の防止を図ることを目的として、2012年10月1日に設置されました。
消費者庁のホームページ(http://www.caa.go.jp/)には
「消費者安全調査委員会発足後の生命・身体被害情報の適切な処理及び対応のための体制について」
(2012年11月現在) が掲載されています。
情報の入手から対応までの流れが記載されていますが、特筆すべきはその情報量の多さです。
・「消費者安全法」による通知〜約2,900件/年
・「消費生活用製品安全法」による報告〜約1,200件/年
・「医療機関NT事故情報DB」、「NITE事故情報照会案件」その他〜約22,000件/年
情報の点検と要対応事案の効率的な抽出と対応が極めて重要になります。
当事務所では「消費生活問題メモ」として、「多発し、多様化する製品事故の未然防止」に向けた参考情報を発信していきます。