9)阿波の土柱
2013.4.13の徳島新聞に「土柱保全へ樹木伐採」の記事が掲載された。阿波市教委は2011年になって有識経験者らでつくる調査委員会を設置し、現地調査などを行い、この度、保存管理計画を初めて策定したとのことである。
土柱の保全については1997年に旧阿波町が文化庁から保存管理計画の策定を要請され、1998年に策定委員会を設置したものの途中で放棄した経緯がある。通常、要請されたものを10年以上も放置することは考えられない。その間、土柱は崩落が進み、埋没の危機にある。
土柱は当事務所から西に約24km、車で約40分のところにある。2013.5.2、崩落が進む土柱を訪れた。土柱は130万年前の地層(礫や砂からなる段丘礫層)が斜面崩壊し、風雨により浸食されてできたものである。阿波の土柱には波濤ヶ嶽、橘嶽、筵嶽、不老嶽、燈籠嶽の5嶽がある。波濤ヶ嶽が最も規模が大きく、高さ10m前後の柱が南北約90m、東西約50mの範囲に多数立っている。波濤ヶ嶽の展望台へは車椅子でも移動が可能である。
日本では世界三大土柱としてイタリアのチロル地方、米国のロッキー山脈、阿波の土柱が挙げられている。1934年5月1日に国の天然記念物に指定された。とくしま88景にも選定されており、付近一帯は土柱高越県立自然公園に指定されている。 (2013.5.7)
阿波の土柱
2013年5月2日撮影
阿波の土柱(波濤ヶ嶽)
2013年5月2日撮影
次の写真は2013年4月13日付け、徳島新聞に掲載されていた阿波市教委提供の阿波の土柱(波濤ヶ嶽)である。約60年前と比べ、崩落や土砂の堆積が進んでいることがわかる。景勝地の適正管理に期待したい。
阿波の土柱(波濤ヶ嶽)
出典:徳島新聞(2013.4.13)