安全情報メモ11Safety information
11)事故・品質トラブル原因の解析
ものづくりの現場では種々の事故・品質トラブルが発生しています。
労働災害や品質クレーム、あるいは、労働災害や品質クレームには至らなかったが生産活動に支障をきたした事故や品質トラブルについては、その原因を可能な限り解析し、同様な事故や品質トラブルの再発防止もしくは未然防止に繋げていかねばなりません。この原因の解析はリスクアセスメントにおける危険性又は有害性(ハザード)の特定・評価とも密接な関係があります。
ものづくりの現場において製造ラインなどのシステムの安全度を科学的に解析する手法として次のようなものがあります。
@FTA(Fault Tree Analysis)
目標は事故・品質トラブルの起こり易さを確率論的に数値で評価することにあるが、個々のデータ収集が不十分
なことが多く、数値で評価することは困難なことが多い。
AETA(Event Tree Analysis)
FTAが事故・品質トラブルの結果を設定して原因解析を進めるのに対し、ETAはFTAの逆の方向(初期事象⇒
結果)に原因解析を進める。
BHAZOP(Hazard and Operability Study)
ガイドワードを用いて一連の質問を行いながら解析を進めるところが特徴であるが、この解析には当該システム
や専門的な技術に関してかなりの知識を有する者の参画が必要である。
CWhat-ifおよびChecklist法
プロセスプラントの開発、設計や運用段階におけるハザード分析に用いられる。質問を行いながら対策を定めて
いく方法である。
DFMEA(Failure Modes Effects Analysis)
システムを構成する要素などの故障が及ぼす影響を定性的に解析する手法である。元は米国の自動車協会が開発
したものであり、信頼性解析の分野で用いられていた。
EFMECA(Failure Modes Effects and Criticality Analysis)
FMEAに危険度(数値化)の考えを加え、システムを構成する要素などの故障が及ぼす影響を定量的に解析する
手法である。
FNTSBの4つのM
4つのMとはNTSB(National Transportation Safety Board:米国の国家運輸安全委員会)が事故調査の時に基本
にしている災害の基本原因のことである。
Man(エラーを起こす人間要因)
Machine(機械設備の欠陥、故障などの物的要因)
Media(作業の情報、方法、環境などの要因)
Managemrnt(管理上の要因)
事故や品質トラブルに至るまでの経過を時系列に洗い出し、いずれのMに相当するのか判断し、対策を進める
手法である。
G特性要因図
石川馨が考案した、特性と要因の関係を系統的に線で結んで表した図のことである。イシカワ・ダイアグラム
とも呼ばれる。また、魚の骨のように見えることからフィッシュボーン・チャート、魚の骨図とも呼ばれ、関連
する要因を大中小(大骨、中骨、小骨)に分類し、体系的に検討する手法である。
事故や品質トラブルの原因を科学的に解析し、真の原因に一歩でも近づくことこそがこれからの安全管理の基本と考えます。
当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止のための方策を提案するとともにものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。
(2013.5.15)