技術情報メモ21Technical information
21)金属材料のひずみ速度
金属材料の機械的性質は変形時の温度や速度(ひずみ速度)の影響を受けます。
ひずみ速度はひずみの時間的変化の割合のことで、単位は「s−1 」です。
多くの材料において、変形中の応力は,ひずみと温度およびひずみ速度によって変化するので、ひずみ速度は重要な変数の一つです。一般に、ひずみ速度が大きくなると材料の変形中の応力も大きくなります。
ここで、ひずみ速度について少し詳しく説明します。
長さ(L)の試験片が(dL)伸びることによるひずみ(ε)の増分は、
dε = dL/Ldε −−−(1) で与えられます。
従って、ひずみ速度は、
dε/dt =(dL/Ldε)・1/dt
=(1/Ldε)・(dL/dt) −−−(2)
(2)式において試験片の一端は固定されているのでdL/dtは引張速度を示しています。
試験片の長さLは、試験中、徐々に伸長するので、引張速度が一定でも、ひずみ速度は徐々に減少します。
また、試験片の長さ(L)は試験中の測定が困難なため、試験前の試験片の長さ(L0)を用いて、
(3)式のようにひずみ速度を表示することが多いようです。
dε/dt =(dL/dt)/L0 −−−(3)
次の論文はひずみ速度「10-6〜102(s-1))」の範囲を一種類の試験機で調べた研究報告です。
・極低炭素鋼の下降伏応力に及ぼす温度およびひずみ速度の影響について(坂巻清司、稲田貞俊、1974)
身近な例では
・時速60 km/hで衝突した自動車が受けるひずみ速度は103 s-1
・1995年の阪神・淡路大震災で家屋や建物が受けたひずみ速度は概ね100 s-1
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