技術情報メモ31Technical information
31)生産工学(VAとVE)
価値ある製品を生産するために、設計が満足しなければならない項目があります。機能、コスト、納期は最優先すべき項目です。ここでは、製品設計において活用できる価値分析と価値工学(VA&VE)について紹介します。
VA(Value Analysis)は、1947年、GE社のL.D.Milesによって提案されたものです。その後、米国の国防総省がVE (Value
Engineering)と名付けて導入したとされています。
VE(Value Engineering)とは、最低のコストで性能、信頼性、品質、保全性を損なわずに求めている機能を達成するために、製品やサービスの機能的研究をする組織的努力です。式で表現すると次のようになります。
価値(Value)=機能(Function)/コスト(Cost)
日本には、1960年頃に導入されました。 当初は製造メーカーの資材部門に導入され、そのコスト低減の成果の大きさが注目されました。その後、適用範囲が広がるとともに、あらゆる業種で活用されるようになり、小集団活動にも導入されています。
この価値分析は設計だけではなく、生産現場や購買部門など、ものづくりに関係するすべての部門の参加、協力が不可欠です。小集団活動では、ブレーンストーミングが有効です。また、多くの事業場で採用されている提案制度は現場の作業者が自分に関係している作業の改善を考え、表現する場として積極的に活用されるべきと考えます。
価値分析・工学の手順は概ね次のようになります。
@情報収集
A機能の抽出・定義
VEにおける機能(F)とは、「その目的が存在し、そのものがなくては困る働き」のことで、「達成しなければならな
い目的または用途」のことを言います。使用機能、使用感、品質、耐久性、リサイクル性などが含まれます。
B機能系統図の作成
機能系統図とは、抽出・定義された機能群が、製品の最終目的とどのような関係にあるのかを明らかにするため、機
能相互の関係を整理して表す図のことです。
C機能評価
得られた機能系統図をベースに機能評価表を作成します。そこから、コスト(C)を算出し、価値(V)を求めます。
Dアイデア発想
改善のためのアイデアをブレーンストーミングなどにより顕在化させます。
Eアイデアの具体化・洗練
アイデアを具体化し、対策の手順などを決定します。
当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。 (2013.8.9)