長さの単位「m(メートル)」はフランス革命のあった1789年にフランスで生まれました。その背景には、いわゆる「産業革命」による産業の飛躍的な発展がありました。国際条約である「メートル条約」は1875年に制定され、17か国が署名しました。日本は1885年に加盟し、
1891年に度量衡法を制定しました。この度量衡法は、1952年の計量法の施行に伴って廃止されました。 1960年に開催された第11回国際度量衡総会において、メートル原器を長さの基準とすることをやめ、物理現象による長さの定義に改められました。経時変化を避けるため、メートル原器からクリプトン86原子のスペクトル線の波長を用いて定義する方法に変更されたのです。そして、国際単位系(SI)が採択され、国際的に度量衡が統一されました。
その後、1983年に開催された第17回国際度量衡総会において、メートルの定義は「1秒の 299 792 458分の1の時間に光が真空中を伝わる行程の長さ」に変更されました。これはレーザー技術の発展によるものですが、定義に忠実な波長の直接測定は困難であったようです。そこで、「よう素安定化ヘリウムネオンレーザ」の国際機関による勧告値を採用しています。その正確さは、国際比較により確保していますが、定義に忠実な波長測定を行うための研究も継続されています。
質量の単位(kg)は1875年に制定されたメートル条約に基き、「国際kg原器の質量」と定義されました。この国際kg原器はプラチナ(90%)、イリジウム(10%)からなる合金製で直径と高さが何れも約39mmの円柱形で、フランス・パリ郊外セーヴルの国際度量衡局(BIPM)で保管されています。
国際度量衡局(BIPM)(Bureau International des Poids et Mesures)はメートル条約に基づいて1875年に設立された研究機関です。また、国際度量衡委員会(CIPM)は、BIPMの活動やメートル条約に基づく単位系の維持などの実施状況の監督を行っています。前述の国際度量衡総会(CGPM)(Conference
generale des poids et mesures)はBIPMとCIPMの上位機関として位置づけられており、4年毎にパリで開催されています。
SI単位系は七つの基本単位(時間・長さ・質量・電流・温度・物質量・光度)を使ってすべての単位を表現できる体系となっていますが、これらの単位は互いに独立したものではありません。例えば、長さ(m)は上述のメートルの定義から明らかなように「1秒の
299 792 458分の1の時間に光が真空中を伝わる行程の長さのように光速度を定義値として扱っています。
基本単位の中には基本物理定数を用いて定義されている単位だけではなく、質量のように「もの(キログラム原器)」で定義されている基本単位もあります。このように全ての基本単位を基礎物理定数で定義しようとする流れのなか、2011年に開催された第24回の国際度量衡総会において、「kgの再定義」が決議されました。プランク定数によるキログラムの定義が提案されたのです。kg原器のような人工物では、経年変化による値の変動を避けることができないため、kg原器による基準を廃止し、新しい定義を設けることになったようです。しかし、1年前倒しで開催された2014年の第25回国際度量衡総会では、「kgの再定義」は、プランク定数その他の必要な定数の精度が不十分として、延期されました。
2018年に予定されている第26回国際度量衡総会では、kgを含むSI単位系の基本単位の再定義が議論されます。 BIPMのホームページには、「新しいSI」について、以下のように記載されています。
Towards the “New SI”... At its 24th meeting (October 2011) the CGPM adopted
a Resolution on the
possible future revision of the International System of Units (the
SI). This Resolution takes note of
the CIPM‘s intention to propose a revision of the SI, and sets out
a detailed road-map towards the
future changes. Resolution 1 of the CGPM (2011): On the possible future
revision of the International
System of Units, the SI ーThe rest is omitted.−
また、BIPMのホームページには「Joint CCM and CCU roadmap towards the redefinition of
SI in 2018」が示されています。
図1.Conditions from CCM Recommendation G1(2013)(出所:BIPMホームページ)
現在、「1kg」はメートル条約(1875年)に基き、「国際kg原器の質量」と定義されています。国際kg原器は直径・高さともに約39mmの円柱形の、プラチナ(90%)、イリジウム(10%)からなる合金製で、フランス・パリ郊外セーヴルの国際度量衡局(BIPM)で保管されています。
国際度量衡局(BIPM)(Bureau International des Poids et Mesures)はメートル条約に基づいて1875年に設立された研究機関です。
BIPMのホームページの英語版には、冒頭、次のように記載されています。
The task of the BIPM is to ensure world-wide uniformity of measurements
and their traceability to the
International System of Units (SI).
It does this with the authority of the Convention of the Metre, a diplomatic
treaty between fifty-six
nations, and it operates through a series of Consultative Committees,
whose members are the national
metrology laboratories of the signatory States, and through its own laboratory
work.
The BIPM carries out measurement-related research. It takes part in,
and organizes, international
comparisons of national measurement standards, and it carries out calibrations
for Member States.
一方、国際度量衡委員会(CIPM)は、BIPMの活動やメートル条約に基づく単位系の維持などの実施状況の監督を行っています。
国際度量衡総会(CGPM)(Conference generale des poids et mesures)はBIPMとCIPMの上位機関として位置づけられており、4年毎にパリで開催されています。
2011年10月21日、国際度量衡総会において、「kgの再定義」が決議されました。kg原器のような人工物では、経年変化による値の変動を避けることができないため、kg原器による基準を廃止し、新しい定義を設けることになったようです。予定とおり進めば、2014年の第25回国際度量衡総会で承認されます。
BIPMのホームページには、「新しいSI」について、以下のように記載されています。
Towards the "New SI"...
At its 24th meeting (October 2011) the CGPM adopted a Resolution on the
possible future revision of the
International System of Units (the SI). This Resolution takes note of
the CIPM's intention to propose a
revision of the SI, and sets out a detailed road-map towards the future
changes.
Resolution 1 of the CGPM (2011): On the possible future revision of the
International System of Units, the SI
ーThe rest is omitted.−