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4)セレンディピティとブレイクスルー
1974年に厚生省薬務局長通知として医薬品に関するGMP(Good Manufacturing Practice)が作成され、1980年に厚生省令として公布された。入社(1977年)の頃はこのGMPへの対応で製造ラインの改造、新工場建設などによる休日出勤、早出、残業が多かった。
しかし、ファクトリーオートメーション、メカトロニクスなどの流れに乗り遅れないように電気の知識不足を補うため、徳島大学短期大学部電子工学科(夜間コース)の二年に編入学した。残業も多かったが、幸いにも留年することなく二年で卒業できた。社会人と学生の二足の草鞋を履いた経験から「時間は無いと嘆くものではなく自分で作るもの」であることを確信した。会社生活では技術部門、資材部門、研究開発部門、製造部門と渡り、数多くの経験を積むことができた。
人生いろいろ、選択と実行を繰り返して今の自分がある。選択に迷った時、頼りになるのは苦労して身に着けた知識と経験だと思う。また、何かを始めるのに遅すぎることはないし、目標を持って挑戦し続けるときっと何かが見えてくる。
Serendipityという言葉がある。思わぬものを偶然に発見する能力とか、幸運を引き寄せる力の意味である。困難に直面したとき、これを乗り越えるために、考え続けることがある。どれくらい考えるかは人それぞれであるが、とにかく向き合わなければ何も始まらないのである。考え続けていなければ、その幸運はすぐ隣にいても気が付かないのである。 考え続けることによってのみ、立ちはだかっていた壁を突き破る(Break
through)幸運を獲得する可能性が生まれる。それでも、それは可能性であって100%保証されたものではない。Serendipityとはそのようなものである。研究者、技術者の中にも自分が手掛けた仕事でそのようなことを実感された方は多いと思われる。
しかし、Serendipityの大切さは分かっていても、日々の仕事に追われ、立ち停まり考えるゆとりを無くしてはいないだろうか。困難な壁に直面したり、失敗した時こそ、言い訳や辻褄合わせを考える前に一度大きく深呼吸して脳を活性化させてみてはどうだろうか。私はこれからも「直面する困難をBreak throughするためにSerendipityを持ち続けたい」と思っている。(2013.1.12)